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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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「オオカミ婆ちゃん」なのか

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 年賀状は全部で150枚ぐらいきた。
決まり文句でも添え書きがあるのはいい方で、半分ぐらいは添え書きなしのノッペラボーだった。
これは貰ってもほとんど感激がない。
アア、この人は生きてるんだ。ハガキが余ったので私にもくれたのだろう、と拗ねてしまう。

 添え書きはあっても、嬉しいのとそうでないのと二種類に分かれる。
とても嬉しかったのは5枚ぐらいあった。それは皆、私のことを気遣ってくれたり、褒めてくれたものである。
貰っても、何だか気分が悪かったのも5枚ぐらいあった。
 それには共通点があった。近況報告という名のもとに、自慢話をしているものだ。
本を出したとか、受賞したとか、夫婦仲良しだとか、家族全員元気で海外旅行したとか、以下省略。
〈そんなことヤブ田に聞かせてどうするんだ〉

 年賀状に目を通してとても疲れた。
たった数行の言葉の中にその人が浮かぶのだが、ヤブ田より自由にのびのび生きている人を想像するのは正直言って楽しくなかった。ヤブ田と同じか、ヤブ田より不自由な人を見つけると、心は和んだ。

 自分の狭い了見に腹が立ったが、それも仕方ないだろうと自分を許した。
今年も自分には甘いヤブ田である。
 

 令和4年元日、麻雀はよかったが、年賀状で心が乱れた。
初日としてはマア普通だったのかなあ。