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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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「オオカミ婆ちゃん」なのか

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 ここは、地味だが、昔から北海道の産物をメニューに多く取り入れて、値段も良心的、味もそれなりで安心手頃な店である。

 入り口に消毒用のアルコールがあった。自動検温器はなかった。せっかく鏡に今朝の顔を映してみようと思ったのに、ちょっと残念である。

 入ると、中年のウェイトレスが「おひとり様ですか?」と質問した。
〈一人しかいないのは、見ればわかるじゃないか。それとも透明人間が私の後ろにいるとでも思っているのか?〉

 しかし私は、「ハイ、一人です」と素直に答えた。
次に彼女は言った。
「お客様、アルコールは飲まれますか?」
意外な質問にドギマギしたが、すぐに立ち直って、できるだけ正確な回答をした。
「ハイ、もしかすると飲むかもしれません」
すると、ウェイトレスはさらに意外なことを言った。

「コロナ接種済みの証明書をお持ちですか?」
そんなもの持ってくるわけがない。
もちろんヤブ田は3回目のワクチン接種もとっくに受けている。
だけど、接種を証明する書類は家に置いてある。
急いでいけば往復30分もかからないと思ったが、面倒なので止めた。
〈接種済み証明書は家にあります。私は確かに3回目までワクチン接種ずみです。信用できなければ、出るとこに出ましょう。〉と、のどから出そうだったが、そこは大人のヤブ田、グッと堪えて、
「アルコールは消毒だけでいいです」と告げて、テーブルについた。