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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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「オオカミ婆ちゃん」なのか

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 さて、ここからが、本番である。

 トレーニングが終わって、サウナに入った。
たまたまサウナの中は、信介と薬丸氏、二人だけだった。
信介の眼の色が変わった。

 薬丸氏と離れて腰かけていたが、珍しく信介が声をかけた。
例によって「どうも」。
薬丸氏も「どうも」と応じた。

 二人は腰にタオルを巻き、上半身は汗で濡れながら裸である。
目をランランと光らせた信介は、じりじりと薬丸氏に近づいて行った。
1メートルぐらいの距離まで行って、薬丸氏にこう言ったのだ。

「今、ボクと二人っきりでサウナにいるのはどんな気持ちですか?」(このセリフのオカシサを文章で伝えきるのは難しい。)

 問われて、薬丸氏はキョトンとして、
「エッ」と信介の方を向く。
信介はさらに、薬丸氏ににじり寄って、立ち上がり、間近に迫った。

 何事かと思ったのだろう、薬丸氏は、身の危険を感じて、逃げ出した。
信介は大声で言った。
「あんなに俺に関心あるくせに」

 逃げる薬丸氏、追いかける信介。
薬丸氏はサウナから外に出て、大きなタオル入れの中に身を隠した。
このへんは、チャップリンの喜劇を見ているようだ。

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