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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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「オオカミ婆ちゃん」なのか

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「でも、混むんでしょ、コロナが心配だな」と言うと、
「そうですね、土日は混みますよ。」と答えた。
「そうなの。いつまでやってるの?」と聞くと、「ちょっと失礼」と言って、奥に引っ込んだ。
まもなく、新聞のチラシを持ってきて、「月曜日までですね」と教えてくれた。

 親切な人なのだ。〈そうか、月曜は用事があるしなあ。土日は混むんだろ。今日しかないか〉

「じゃ、今日これから行ってみるよ」と返事して、急いで散髪を切り上げてもらった。

 帰り際、鏡で見ると、白髪ぼかしの効果は十分あった。
5歳以上、若返ったようだった。これで元気に「北海道」に行ける。

 私が北海道に魅かれるのは、高倉 健の影響だけではない。
学生のころ何度か友人と北海道旅行をして、阿寒湖から知床まで遊んだことがあるが、その時のことは一生の宝のように心に残っている。
景色はもちろん胸にしみたが、何と言っても毛ガニが美味かった。

 一緒に旅した友人たちはまだ元気で生きているが、会えば必ず北海道の毛ガニの話になる。(あの頃毛ガニは今ほど高くなかった。ちょっと無理すれば私たちでも手が届いた)

 「北海道」は一駅先のデパート、9階催し物会場にあった。
金曜で比較的空いているらしいが、それでも大勢の人いきれが伝わってきた。

 入り口で手指のアルコール消毒をした。検温器の関所がないのが、少し物足りなかった。
フェイスシールドとゴーグルは省略したが、マスクを二重にして入場した。