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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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「オオカミ婆ちゃん」なのか

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 高齢男性は92歳。疲れ切った顔で私に訴えるような目を向けた。

 少し長くなるが経過を書いておく。
3か月前に、自宅で転倒して腰を強く打ち、起き上がれなくなって、ずっと寝たきりだった。
息子の言い分によると、何度も病院に連れてゆこうとしたが、行きたくないと拒否されて、二日まで家にいたそうだ。
三日の午後、近くの整形外科を受診した。
三が日なのにその整形外科はよく診てくれたものだ。レントゲンを撮り、骨折がないことを確かめて、痛み止めとシップを処方された。

 しかし、食欲はなく、どんどん弱っていくのが目に見えるので、ヤブ田がパートで勤めているこの病院に、ぜひ入院させてほしいと頼み込んできた。

 診察すると、92歳の高齢者は「すみません」と頭を下げた。
「いや、いいんですよ。入院できるかどうか、まず診察と血液検査をしてみましょう」ヤブ田は優しく言った。

 胸の診察をしようと下着をめくりあげて私は驚いた。
上半身はガリガリに痩せて、皮膚も黒ずんで汚れている。

足を見せてもらった。
むくみがあるかどうか、打撲があるかなどが知りたかったのだ。
私は一瞬目を疑った。