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H.SOMMER-夏目
H.SOMMER-夏目
novelistID. 69501
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恩寵と秘蹟の物語:文芸学夜話:ホフマンと幻想怪奇小説

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また、同じロマン派からは後期のホフマン Hoffmannの短編「黄金の壺」Der goldne Topf、---
これは人間の眼には緑の蛇にしか見えない三姉妹の一人ゼルペンディーナに若い大学生アンゼルムスが、彼は後に詩人となるのだが、眼にとめて、 やがて恋をする幻想怪奇小説の手本みたいな作品でね、これはわが国でもよく読まれている作品で面白いと思うから推奨してもいいと思うがね、・・

 それから、更につづけると、ケラーKeller からは「緑のハインリッヒ」、

女の恋と生というドイツリートでもよく知られているシャミッソーChamissoからは「ペーター・シュレミール」つまり、「影のない男」、・・

そして ヴォルフによる作曲でリートとしてもよく知られた詩人メーリケMorike からは「画家ノルテン」Mahler Nolten、---
またフーケFouquetからは「ウンディーネ」つまり、水の妖精、---
さらにC.F.マイアーMeyerだの、レーナウLenauだの、簡潔な文体で書かれ人気の高かった戯曲「海の波、恋の波」Der Meeres und der Liebe Wellenなどで評価の高いオーストリアの劇作家グリルパルツァーGrillparzerだの、・・

こちらはあまり馴染みはないかもしれないがブラーテンPlaten や

長編「晩夏」Der Nachsommerでニーチェによって推奨されたが文体は冗長で、ナメクジの動きのように なかなか筋が進まないことで最後まで読み尽くす人は稀だろうなどと悪評も高く二分されたシュティフターStifter だの取り上げられているのだがね、
と道之助は楽し気に語っていると、安曇くんは相も変わらず丸顔に笑みを見せて嫌がらずに聞いているのである。・・

       Fortsetzung noch weiter: つづく

     * * )) ---*

*グリルパルツァーの詩: 7篇--

ハイセンビュッテル短編「パン職人M.の幸運と良き終焉」より


ところで、ここで少しそれるのだが、現代ドイツ作家のハイセンビュッテル

がグリルパルツァーの詩に触れて書いている短篇から、幾つかの引用されている詩をみてみようか。

  因みに、「パン職人ムルベカプセルの幸運と良き終焉」という作品からである。:---1.

 ・>- 牛が一頭 牧草地に放牧されると 貪り食べた

   花やハーブは 気にも留めず

   牛は うまそうに ひたすら 草を食べた


    グリルパルツァーの詞華集には、1860年2月に、伯爵夫人エンツェンベルクに贈ったこんな詩も引用されている。:---2.


 ・>- 4本の弦から 聞こえてくる音色は 

   弱弱しく まるで 戯れているよう

   けれども そこからは 不思議さも感じられる:

   こころと心が ひとつに融けあえば それで

    じゅうぶん 満たされる


    また、パン職人オトカーがいつも口ずさんでいるグリルパルツァーの詩には、こんなのもあった。:---3.


 ・>- ブルリッチの塩は 結婚式に

   花嫁が いなくてはならぬように

   消化には なくてはならない

   クルプフルツの狩人も 食事には

   ブルリッチの塩は 欠かさなかった

      S. 278. Reclam より


    また、嘗て、グリルパルツァーの詩から、ジッパー会社の広告には、こんな詩も引用されている。:---4.


  ・>- リビドーは 憧れと一対だ

   肌をみせる異教徒から 得られるものはなにか

   わたしも 服を身に着けないのが好きだ

    ジッパーからは 美的な感覚が 伝わってくる

    
    また、靴下会社の広告には、こんな詩の一節が使われた。:---5.


  ・>- 女性は 男の脚に うっとり

    男の自分には それは 全くない

   
     また、発砲ゴムマットレス会社の広告には、こんな詩が見事に取り入れられている。:---6.


 ・>- あなたは 今日も疲れ果て 眠りにつきたい

     昼も夜も 心身を 使い果たしたのだ

     さあ スマホから離れ 横になるがいい

     ヤンハーゲルに チューニングすれば 癒される
         S.279. Reclam より



     また、州選挙では 与党のある党派は次のような詩を引用し宣伝に活用した。:---7.

   ・>- 至って 順調 ! 静かな 祝福を !

     モラルが尊重される党なら 

     平和が護られ 安全も保障され

     州の発展は 間違いない    7⃣


**- *

    *- * ) Prof.イモヌス先生文芸夜話 :---続->>

 また、19世紀からはだね、ホフマンスタールからとりあげられていて、「672夜の物語」とか「影のない女」など、
 
 そして、20世紀からはだね、ニーチェのかの「ツァラトゥストラはかく語りき」Also sprach Zarathustraなど、

安曇くん、きみも知っているだろうがね、それから、カフカからは長編の「城」Das Schlossや「審判」Der Prozessなど、「城」は麓の近くには来たものの、なかなか辿り着けないという象徴性に満ちた話であり、「審判」は突然、何の前触れもなく逮捕されてしまうという不可解で、不条理な物語なんだがね、

それから、そう、T.マンからは「「ファウスト博士」など、

ムージルからは「特性のない男」Der Mann ohne Eigenschaftenなどが取り上げられているのだよ。
 
あ、そうそう、ここでちょっと憶いだしたのだがね、作家の中村慎一郎氏によれば、この「特性のない男」に関して、こんな面白い見解が述べられているんだよ。

それはだね、こんな内容なのだがね、と道之助は何と記憶から引っ張り出してくるのである。    つづく


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