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H.SOMMER-夏目
H.SOMMER-夏目
novelistID. 69501
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* 日夏耿之介とゴシック・ロマン:夜明けの唄;

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ひたすら リンデンの甘く 狂ほしき聲に悩む・・とか、


 夜は 縞蜥蜴の艶なる寂莫に くだちて 

女よ きみが火の吐息に 塩素の妖気を虹はく・・とか。



 あまり、これまで読んだこともない表現であり内容だから、眼を逸らそうと思うのだが、やはり気になってしまう、そんな詩なんだね、と云うと、
   
あまりのめり込まないほうがいいと、まともな忠告をくれるのがまた、アン・ドゥ・トゥロワくんらしくて 道之助は ほっとしたり 気も休まるのである。

桑子道之助氏の優雅な青春交遊・抄 より




    * - (( ( * 自由律俳句 :.--->

   
  + 川べりに 波と遊ぶや 紋白蝶 

 
  + 奥津城や きりぎりす彷徨ふ 去年(こぞ)の秋 


  + 干し柿に 白き粉ふく 漱石忌
     
       * (( *


  ・庭にきて ひと懐かしや 鳩一羽


  ・落葉の 樹木にのこりし 柿三つ  


         + * +

・春なれや 汝れは何して どこへゆく 


        
  *- (( ( *三行詩選 より :---

【つれづれドイツ語選】:--


 * Blick in den Himmel, Aus der Ferne, Ein Ton einer Flöte,


Eine Wolke zieht vorbei, Blau und klar,


Eine friedliche Gegend,


Am helllichten Tag, Bäume stehen in einer Reihe,


Und regieren mit Gipfeln ...))) *-



・見上げれば 遠くより鳴り響く フルートの音色

   雲の棚引きて いよいよ碧く 白昼のやすらぎのなか

    峰峰に伍して 屹立する樹木 !!... )) * -



*- * - ))) * キャッチ・フレイズ:

ある書道家がリクエストすると、見事な書体で書いてくれる。楷書をはじめとして、行書や隷書、相撲文字のような筆太の文字でも対応してくれる。

 道之助はある時、思いついてリクエストをした。
「和泉式部日記と愛の遍歴」:これを書いてもらえますか。すると、10日ばかりすると書いたものを見せてくれた。楷書と行書で直ぐに魅了された。見事な筆遣いである。それで二週間ほどして、次にこんなのをリクエストした。


「現代の不条理劇とゴドーを待ちながら:ベケット」これは戦後まもなくに書かれた絶望と孤独と不条理な現代劇で、当初はその内面の心理が理解し難く不評であったというが、今なおよく上演される劇として知られているのである

 こんなことから、道之助の脳裏にはいろいろなキャッチ・フレイズが夜、ベッドに体を横たえると浮かぶようになった。例えば、こんなふうに。--->>

 ・トーマス・マンの「魔の山」と サナトリウムでの文学談義、


 ・ベートーヴェンの第九と シラーの歓喜に寄す、


 ・ゲーテの「ファウスト」と 悪魔メヒストフェレス、



 また、ある時は、こんなフレーズも脳裏を横切っていく。--->>


 
 ・松本清張の「球形の荒野」と 1964年東京オリンピック、


 ・漱石の「三四郎」と 迷える仔羊:ストレイシープ、



 漱石が脳裏に浮かんでくると、次々に続いたのも不思議ではない。


 ・漱石の「虞美人草」と 紫の女 藤尾、

 
 ・夏目漱石と則天去私、 usw.---



道之助はこんなフレーズを思い浮かべながら、書道家はどんな筆遣いをして応えてくれるか いつも楽しみにしているのである。



**-- )) * The Cricket Poem : Grasshopper--:


Is the Cricket not sad , walking einsam in its footsteps?


It looks heavy and lifeless .


In the summer ,it did not show up all day long,


And continued to cry without appearing in the middle of the day,


As if the time had stopped in the afternoon of God Pan,


Singing in the grass , and also at night .


It continued to sing cool air and silence .


But now, it is clealy wandering all alone in my garden ,


As if searching for the Okutsuki Castle.


Ah, the cold air is creeping in, and


A late autumn afternoon with falling leaves. >>---



* 蟋蟀の唄: こおろぎ ---:


  こおろぎは 悲しからずや その足取りの

  重く生気なき うしろ姿 : 百年のいのちを消耗したよう  

足を引きずり 彷徨いゆく


   夏には 終日 姿も見せず鳴きつづけ

  真昼には 時間の止まったようなパン神の午後を

   草叢で鳴き 夜には黒洞々のなか 一日の暑さを かき消し 

      涼気と静寂を うたいつづけていたのだ



 なのに いま 顕わにも ひとり彷徨いゆく


   奥津城はどこかと探し求めるように


 嗚呼 冷気が忍び寄る


  枯葉の舞い散る 晩秋の午後 ・>>---


*- ))) *-