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HERRSOMMER夏目
HERRSOMMER夏目
novelistID. 69501
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* 日夏耿之介とゴシック・ロマン:夜明けの唄;

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*   
【内容・一覧】:

1. Pussy Cat: 夜明けの唄
ライト・ヴァース
3. 日夏耿之介とゴシック・ロマン:

  * 自由律 俳句:
* 短詩抄 より 
  * The Cricket poem:

      )) ) * Pv316.-
   
* -* - (( ( * = 夜明けの唄 

Pussy cat! pussy cat! pussy cat!
きみ 夜明けのPussy Catを 見たかい・?
 Pussy cat! pussy cat! pussy cat!
Pussy Catは 彼女とともに まだ ベッドの上
 ほの暗く ほの温かく 微睡み
 彼女が 寝返りを打ち うつぶせになると
 Pussy Catは その下に 隠れる 
 彼女が 仰向けになると Pussy Catもまた 
   可愛い姿を 見せる
 ほの暗く ほの温かく 微睡み
  軽く 指で触れれば 
  Pussy Catは ぴくっと肌を震わせる

  Pussy cat ! pussy cat! pussy cat! )))
  かわゆい かわゆい かわゆい仔猫よ! *( (( *

      *- - * :

 アメリカの短詩にも 仔猫を 比喩として描いた 詩がある:

   霧が漂ひくる  仔猫の足取りで 
   霧は しずかに 腰をすえる そうして
   港や街を つつむように漂っている 
しばらくして 漂った霧は また うごきだす
  
 といった何気ない描写だが、これが結構いい。よく知られたサンドバーグの短詩だが、それとは知らず、気に入った道之助はアメリカン・ポエトリィの幾つかの詩とともに分厚い詞華集から訳したことがある。
  なかには、インク壺のなかに数えきれない朱色の魔神が藻掻きあっているほどに棲みついていて、それがペン先から飛び出して、白いページの上を走り回っている、とても小さいけれど、心に浮かぶいろいろなことを書き記していく摩訶不思議、などといったような詩(スティーブン・クレイン)もある。
  また、甘くよく冷えたプラムに対する愛着を歌った日常的な短詩(ウィリアム・カーロス・ウィリアムズ)などもある。
どれも読みやすく、訳しやすい詩ばかりだ。難しい顰めっ面で読む詩ばかりがいいとは限らない。優れた詩とは限らない。単純で日常的で、何気ないところに詩の素材は点在しているのだ。

  *- * - +
  それに比べたら、道之助が訳した閨秀詩人の一連の詩は自然・神話・秘蹟といい、罪と恩寵と救済といい、魔術界と聖なる縮図といい、なんと異世界なことだろう。
 それでも、いや、それ故に愉しく、やりがいのある世界だと思うのは少しく後からついてくる。作者が精魂込めて打ち込んだに違いない作品が素晴らしいものであればあるほど、奥が深く、すぐ納得でき理解できると思ってはいけないのだ。それに気づく充実感も、苦心しつつ愉しんでいるうちに味わえてくると道之助は思う。
:
*- )) ) * 仔羊皮;パリンプセスト

  日夏耿之介を知っているかいと大学の同窓のアン・ドゥ・トゥロワくんにあるとき聞いてみる。と、いや、よくは知らないが、名前ぐらいはと云う。 彼は大正詩壇にゴシック・ロマンと云われる独自の詩的世界を構築したのだと道之助は先を続けた。彼は英文学者でもあるのだが、翻訳にも評論にも歌にも多方面で業績を残し、81歳の生涯を生きた。こんな詩が目に付いたものだから、きみも知っているかもしれないと思ってねというと、まあ、知らないだろうが、どんな詩なのかい、というから道之助はニヤリとして、パリンプセストという語彙が前からずっと気に入っていてね、といい手渡したのはこんな詩である。:

おん身 淡紅の 仔羊皮
   パリンプセストの美装に 見惚れ
     書棚よ 東方ペルシャの「・・・」
      愛の詩會の 狂ほしい 一字一句

 なかなかいい詩だと思うが、また、いかにもおどろおどろしい詩だよね、とアン・ドゥ・トゥロワくんは云う。
昔は豪華本に 羊の皮を用いて美装したというが、外見ばかりか、遙か東方の書の内容にも惚れこんでしまったのだね。
ゲーテも晩年は 東方にこころ傾け、一途な愛をこめて「西東詩集」West-östlicher Divanなるものを書き綴ったが、やはり、東方は神秘な国、族長の国でもあり、ある意味で魅力が感じられるのだろう、と道之助。
 分かる気もするがカッコ内の「・・・」は何だいと聞くから、聞いたこともないような書物の題なので、この際はぼかしておこうと書かないでおいたのさ。まあ、気になったら調べてみたらどうかね、ぼくはパリンプセストという語彙にひかれていたものだから、こうしてきみにも見せてみたかったのさ。
 耿之介の詩には実に、耽美的で官能的で幻想的でロマンティシズムに満ちた詩が多いのだ。zB.:

 三人の 処女らは 愛の王子が足音を 嗅ぎつつも 
ひたすら リンデンの甘く 狂ほしき聲に悩む・・とか、
 夜は 縞蜥蜴の 艶なる寂莫に くだちて 
女よ きみが火の吐息に 塩素の妖気を虹はく・・とか。

 あまり、これまで読んだこともない表現であり内容だから、眼を逸らそうと思うのだが、やはり気になってしまう、そんな詩なんだね、と云うと、
   あまりのめり込まないほうがいいと、まともな忠告をくれるのがまた、アン・ドゥ・トゥロワくんらしくて 道之助は ほっとしたり 気も休まるのである。
桑子道之助氏の優雅な青春交遊・抄 より

    * - (( ( * 自由律俳句 :.
   
  + 川べりに 波と遊ぶや 紋白蝶  
  + 奥津城や きりぎりす彷徨ふ 去年(こぞ)の秋 
  + 干し柿に 白き粉ふく 漱石忌
     
       * (( *
  ・庭にきて ひと懐かしや 鳩一羽
  ・落葉の 樹木にのこりし 柿三つ  

         + * +
・春なれや 汝れは何して どこへゆく 

         *- *- ((( * 短詩より

 * Blick in den Himmel,
Aus der Ferne, Ein Ton einer Flöte,
Eine Wolke zieht vorbei,
Blau und klar, Eine friedliche Gegend,
Am helllichten Tag,
Bäume stehen in einer Reihe,
Und regieren mit Gipfeln ...))) *-

・見上げれば 
    遠くより 鳴り響く フルートの音色
   雲の 棚引きて
    いよいよ 碧く 白昼の やすらぎのなか
   峰峰に 伍して