* シュトルム文人交遊録: 恩寵と秘蹟の物語より
*
【内容・一覧】: PV.1696.---
1.【Prof.イモヌスと騎士文化】:Ritter-Kultur
2. 独文訳: 翻訳編 :
・漱石の「猫」より:
・孔子と子路:中島敦「弟子」より
* 芥川龍之介の「鼻」より
・「針の眼」:ケン・フォレット より
* 夏は夜 : 秋は夕暮れ : 冬は つとめて
「枕草子」 より
* いと やんごとなききわにはあらぬが、すぐれて・・:
「源氏物語」 より
3. 【井上靖と散文詩集】:
4. 「文学への構図】:Promenade:
5. 「聖S.病院にて】:St. S. Krankenhaus;
6. The College Student Days; Fragment;
* 山鳩のロマンツェ : 詩
* 蝉しぐれ: 詩
7. 恩寵と秘蹟の物語「消えない印」:
Das unauslöschliche Siegel
8. シュトルム:文人交遊録: T.Storm
附・創作・断章
9. ドイツの東洋学者、詩人:リュッケルト
: Rückert
10. エラリ・クイーン :Ellery Queen
* - * ) ) *
Prof.イモヌスの三回目の講義はこんな風な内容である。騎士道とともに12世紀以来、新たな騎士文化の担い手として作法や教養を身につけ新たな騎士文学の隆盛期がやってきたのだという。英雄叙事詩とミンネザングである。
英雄叙事詩として名高いのは作者不明の「ニーベルンゲンの歌」だが、これは騎士文化や道徳の影響はまだ、薄く、見られるのはゲルマン的勇敢さと忠誠心、そして復讐であるというのだ。
Es gibt in den mittelhoch-dt. Dichtungen zwei große literarische Gebiete ;Dem einen gehört Volks-Epos, dem anderen gehört Ritter-Dichtung 騎士文学.(Höfisches Epos 英雄叙事詩 und Minnesang.ミンネザング) Das Erste wird durch die ritteliche Kultur und Sitte nicht so viel beeinflußt,und behalt das rein germanische Lebens-Gefühl . In dieser Hinsicht wird das erstere von dem letzteren unterschieden.
Unter den berühmten Volks-Epen ist Nibelungen-Lied (「ニーベルンゲンリート) das typische, das um 1200 von dem unbekannten Dichter geschrieben wurde.
In diesem Epos ist das Christentum der Helden nur eine äuerßliche Form. In ihren Herzen der Menschen lebt noch der alte germanische Geist 古いゲルマン的精神 der Tapferkeit 勇敢さ,Treue 忠誠心 und Rache 復讐... .
*- * ((
授業が終わると岩崎がまた、おい、と聞いてきた。そこで、何か残ったものがあったかと聞き返すと、まあな、今日はタップファーカイトゥとかトゥロイエとか、いや、そうだ、ラッヘという語彙が印象深く残ったよ、と云う。 それは良かった、随分と慣れてきたじゃないか、語彙感覚があるんだから、その調子でいくと、語学も十分修得できると道之助は云うと、「ニーベルンゲン・リート」は文庫本でも購入できるし、あの作品は復讐が凄まじいから読んでみたら面白いからと云い、さあ、これからどうする、と聞くと、偶には雀荘にでも行って時間を過ごしてくる、授業も次の時間は空いているから、とそそくさと行ってしまった。
そこで道之助は近くにいた沢田に、おい、お茶でも飲みに行こう、清水谷公園の近くに和風喫茶があるからと声をかける。すると、そうするか、で、二人よりかは広美さんも誘ってみたらどうだ、俺のほうは藤尾くんに声をかけてみるから、彼女の笑顔はいつみても堪らんからなあ、といって意外な一面を垣間見せて道之助を驚かせた。 桑子道之助氏の優雅な青春交遊・抄 より
*- *- ))
* 漱石の「猫」より:
Am Ende von Sosekis < Ich bin ein Kater > gibt es eine Szene.;
「吾輩は猫である」の最後に、猫がビールを飲むところがある。
Nachdem er ein Glas Bier getrunken hat ,ist er sich ganz betrunken ,dann fällt er in einen Topf hinein, und stirbt er behaglich.
一杯のビールを飲み酔ってしまい、壺に落ち、安楽往生する。
ここで思い出すのは、ドイツの怪奇幻想作家として知られるホフマンに「雄猫ムルの人生観」という作品があることだが、 このことも漱石は作品で書いているのだ。百年前に死んでいるにもかかわらず、 とは後期ロマン派のホフマンが書いたのはちょうど100年前にあたることから、そう書いているのだが、わざわざ幽霊になって遠い冥途のドイツから飛んできて大気焔をあげ、吃驚させたというのである
漱石は何故こんなことも書いたかと云うと、弟子のひとりにドイツ文学専攻の学徒小宮豊隆がおり、彼からそんな話題を耳に入れていたらしいのである。
また、九州の田舎から都会に出てきて都会の空気と学問に触れた豊隆が美祢子のストレイシープ(迷える仔羊)に惑わされる「三四郎」のモデルにもなっているというのである。
*- *- ))
*【 孔子と子路 】: 中島敦「弟子」より
Konfuzius hatte wieder gefragt :Magst du lernen ?
Was sind die Vorteile für das Lernen ? :So sagte Zilu.
Und dann begann Konfuzius zu predigen ,daß man die wissenschaftliche Studium erfordern sollte.
【内容・一覧】: PV.1696.---
1.【Prof.イモヌスと騎士文化】:Ritter-Kultur
2. 独文訳: 翻訳編 :
・漱石の「猫」より:
・孔子と子路:中島敦「弟子」より
* 芥川龍之介の「鼻」より
・「針の眼」:ケン・フォレット より
* 夏は夜 : 秋は夕暮れ : 冬は つとめて
「枕草子」 より
* いと やんごとなききわにはあらぬが、すぐれて・・:
「源氏物語」 より
3. 【井上靖と散文詩集】:
4. 「文学への構図】:Promenade:
5. 「聖S.病院にて】:St. S. Krankenhaus;
6. The College Student Days; Fragment;
* 山鳩のロマンツェ : 詩
* 蝉しぐれ: 詩
7. 恩寵と秘蹟の物語「消えない印」:
Das unauslöschliche Siegel
8. シュトルム:文人交遊録: T.Storm
附・創作・断章
9. ドイツの東洋学者、詩人:リュッケルト
: Rückert
10. エラリ・クイーン :Ellery Queen
* - * ) ) *
Prof.イモヌスの三回目の講義はこんな風な内容である。騎士道とともに12世紀以来、新たな騎士文化の担い手として作法や教養を身につけ新たな騎士文学の隆盛期がやってきたのだという。英雄叙事詩とミンネザングである。
英雄叙事詩として名高いのは作者不明の「ニーベルンゲンの歌」だが、これは騎士文化や道徳の影響はまだ、薄く、見られるのはゲルマン的勇敢さと忠誠心、そして復讐であるというのだ。
Es gibt in den mittelhoch-dt. Dichtungen zwei große literarische Gebiete ;Dem einen gehört Volks-Epos, dem anderen gehört Ritter-Dichtung 騎士文学.(Höfisches Epos 英雄叙事詩 und Minnesang.ミンネザング) Das Erste wird durch die ritteliche Kultur und Sitte nicht so viel beeinflußt,und behalt das rein germanische Lebens-Gefühl . In dieser Hinsicht wird das erstere von dem letzteren unterschieden.
Unter den berühmten Volks-Epen ist Nibelungen-Lied (「ニーベルンゲンリート) das typische, das um 1200 von dem unbekannten Dichter geschrieben wurde.
In diesem Epos ist das Christentum der Helden nur eine äuerßliche Form. In ihren Herzen der Menschen lebt noch der alte germanische Geist 古いゲルマン的精神 der Tapferkeit 勇敢さ,Treue 忠誠心 und Rache 復讐... .
*- * ((
授業が終わると岩崎がまた、おい、と聞いてきた。そこで、何か残ったものがあったかと聞き返すと、まあな、今日はタップファーカイトゥとかトゥロイエとか、いや、そうだ、ラッヘという語彙が印象深く残ったよ、と云う。 それは良かった、随分と慣れてきたじゃないか、語彙感覚があるんだから、その調子でいくと、語学も十分修得できると道之助は云うと、「ニーベルンゲン・リート」は文庫本でも購入できるし、あの作品は復讐が凄まじいから読んでみたら面白いからと云い、さあ、これからどうする、と聞くと、偶には雀荘にでも行って時間を過ごしてくる、授業も次の時間は空いているから、とそそくさと行ってしまった。
そこで道之助は近くにいた沢田に、おい、お茶でも飲みに行こう、清水谷公園の近くに和風喫茶があるからと声をかける。すると、そうするか、で、二人よりかは広美さんも誘ってみたらどうだ、俺のほうは藤尾くんに声をかけてみるから、彼女の笑顔はいつみても堪らんからなあ、といって意外な一面を垣間見せて道之助を驚かせた。 桑子道之助氏の優雅な青春交遊・抄 より
*- *- ))
* 漱石の「猫」より:
Am Ende von Sosekis < Ich bin ein Kater > gibt es eine Szene.;
「吾輩は猫である」の最後に、猫がビールを飲むところがある。
Nachdem er ein Glas Bier getrunken hat ,ist er sich ganz betrunken ,dann fällt er in einen Topf hinein, und stirbt er behaglich.
一杯のビールを飲み酔ってしまい、壺に落ち、安楽往生する。
ここで思い出すのは、ドイツの怪奇幻想作家として知られるホフマンに「雄猫ムルの人生観」という作品があることだが、 このことも漱石は作品で書いているのだ。百年前に死んでいるにもかかわらず、 とは後期ロマン派のホフマンが書いたのはちょうど100年前にあたることから、そう書いているのだが、わざわざ幽霊になって遠い冥途のドイツから飛んできて大気焔をあげ、吃驚させたというのである
漱石は何故こんなことも書いたかと云うと、弟子のひとりにドイツ文学専攻の学徒小宮豊隆がおり、彼からそんな話題を耳に入れていたらしいのである。
また、九州の田舎から都会に出てきて都会の空気と学問に触れた豊隆が美祢子のストレイシープ(迷える仔羊)に惑わされる「三四郎」のモデルにもなっているというのである。
*- *- ))
*【 孔子と子路 】: 中島敦「弟子」より
Konfuzius hatte wieder gefragt :Magst du lernen ?
Was sind die Vorteile für das Lernen ? :So sagte Zilu.
Und dann begann Konfuzius zu predigen ,daß man die wissenschaftliche Studium erfordern sollte.
作品名:* シュトルム文人交遊録: 恩寵と秘蹟の物語より 作家名:HERRSOMMER夏目