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端数報告6

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〈もく星号事件〉というのをてんでわからんと前回書いたが、一応は旅客機の墜落事故で、トリ皮本から見せるとこうだ。セーチョー説は脂ギトギトで見ただけでウッとくるようなものなんだが、それを茹でてポン酢をかけて現代人がなんとか食えるようにしたもんとわかるでしょう。
 
《松尾氏》とあるのは事件当時の航空会社の重役だそうだが、セーチョーと違って「事故」と言ってるのがわかりますね。けどこの本は《だが、訓練された機長が、衝突すると分かっていながら高度を上げずに飛行するということがありうるのか。この点について、松尾氏も明確な説明はできないでいる》なんて書いている。
 
いや、次にある〈事故の責任が〜起こったものだ。〉ってのがその人の説明なんだろ。すげー明確じゃん。ケーブルテレビの〈ナショジオch〉にある『メーデー!航空機事故の真実と真相』ってシリーズ見てみろ。1シーズンに10から20でもう300近くあるエピソードの3分の1くらい、つまり最も多いのが「ベテランのパイロットがそんなミスをするのか」というようなもんだぞ。これに見せるナントカ便の話がそうかはともかくとしてな。
 
画像:メーデー番組表
 
逆に言えば管制官が嘘の指示をしたとしても、パイロットが気づいて回避する場合が有り得る。松尾って人はこれも言ってる。まったくその通りだ。航空機事故を仕組むんだったら機体に細工するか爆弾でも仕掛けるのが確実な方法で、海の上で〈事故〉が起きれば証拠は海底に沈んでくれて発覚のおそれはほとんどなくなる。ボイスレコーダーやフライトレコーダーがない時代であればなおさら――というのに気づけば謀略なんて話はバカバカしくて読む価値もないのがもうわかるんじゃないですかね。おれの場合はもうこれだけで与太と知るのに充分なんだが。
 
――とまあ、そうしたわけでこんなの読んでいたもんだからNHKの例の番組もどうせそれだろ、と見る前から思っていてやっぱりその通りだったという。こんなところで付け足しはいいかな。では、次をおたのしみに。
作品名:端数報告6 作家名:島田信之