ドクターヤブ田の、血液型大研究
再検査が行われ、まもなく、結果が出た。
予想通り、彼女はAB型だった。
母子手帳に記載されていたB型は、何かの間違いだったのである。
血液型は遺伝で決まっているから、生まれてから死ぬまで決してかわることはない。
彼女は、還暦の時に、血液型がB型からAB型にかわったことになる。
B型として過ごした60年だったが、人生ひとめぐりが終わり、新たなスタート地点に立った時、血液型もAB型に変わったことは喜ばしい。
60年間、彼女はおそらく、マイペースで、周囲の迷惑など気にせず、楽しく生きてきたのだろう。
しかし、これからは、そのような生き方を改めて、時と場合を選びながら、周囲に気遣いを忘れずに生きてゆかなければならない。
多少の二面性のため、他人から変人扱いされることもあろうが、芸術に関心を持ち、高い感性に磨きをかけて、豊かな余生を送ることになるだろう。
今回の血液型検査は、彼女にとって、素晴らしい人生第二の門出だった。
作品名:ドクターヤブ田の、血液型大研究 作家名:ヤブ田玄白