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50代で高校生に混じって「京大」を7回受けたワケ

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50代で高校生に混じって「京大」を7回受けたワケ



(1)、良い英作文



 このタイトルは変ですよね。なぜなら、どの言語でも違いはないわけだから「良い作文ってなに?」と尋ねているようなもの。そんな質問に正解なんかありません。小説にせよ、エッセイにせよ人によって好き嫌いはあるのだから「この小説は良い文章」なんて発言したら笑いものですよね。



 だから、もっと的を絞って「受験で高評価を得られる英作文ってどんなものなんだろう?」という設問の方がマシ。でも、私はそれでは満足できませんでした。なぜなら、入試って相対評価じゃないですか。



 偏差値「B]ランクの大学に集まってくる受験生の平均的な英語力と、京都大学に集まってくる受験生の平均的な英語力は違います。だから、「受験で高評価」ではなくてもっと的を絞りたかった。だから、「京都大学の英語」としました。



 また、「高評価」というのも随分いいかげんな表現なので「8割」としました。京都大学の合格最高点は総合点のみ公表されています。科目別は分かりません。でも、過去の医学部合格者の得点開示を何人か教えてもらいましたが8割くらいが限界のようです。



「京都大学の英語で8割を超える勉強方法」。これが、私が京都大学を7回受けて調査をした理由です。





(2)、3種類の英語



 調査方法ですが、私の経験では日本には3種類の英語があると考えています。「受験英語」と「資格英語」と「ネイティブ英語」です。

 受験英語というのは、学校で習う英語です。塾や予備校でも教えている、入試のための英語です。書店に受験対策本として参考書も問題集もたくさん販売されています。

 資格英語というのは、受験英語とは異なります。ECCジュニアなどの英会話学校で教えている英語です。こちらは、学校の英語の授業とは異なるカリキュラムやテキストを用いています。たいていは、英語検定の「級」をめざして勉強しています。

 ネイティブ英語というのは、ABC放送やCNN放送のアンカーの使っている英語は英会話学校で習う人工的なスキットと異なります。あるいは、英語の歌。映画の中の俳優たちが使っているリアルな英語です。



(3)、発想の原点



 私がこの「3種類の英語」の存在に気づいたのは、自分の体験です。私の母校は三重県の四日市高校。その後、名古屋大学「教育学部」に現役合格できました。私は受験科目の中で英語が一番高得点だったので、英語単独なら京都大学合格水準でした。

 ところが、英語が全く話せませんでした。それで、受験英語はダメなんだと悟りました。



 そこで、大学時代は大学内の語学センターでネイティブ講師に英語を教わり、名古屋の今池のECCに通い、NHKの語学番組を聞き、高額なリスニングテープを購入して頑張って勉強を続けました。しかし、英検2級までは合格しても1級はムリでした。

 英語が話せる気がしませんでした。



 大学を卒業後は、塾講師をしていましたが

「英語が話せない英語講師なんてインチキだよね」

 と考えておりました。そこで、交換教師プログラムに応募してアメリカの中学校で教員をやりながら本場で英語を学ぼうと思ったわけです。



(4)、英検1級合格までにやったこと

 

 仕事柄、

「何を、どうやれば英検1級に合格できるのですか?」

 と尋ねられることが多い。しかし、特別な勉強方法などあるわけがありません。私のいたユタ州のローガンは田舎町だったので、大学の構内は別にして町中には日本人は誰もいません。そこは、カリフォルニアなどの西海岸の大都市とは違うわけです。



 私がやったことは、毎日学校に行って教師や生徒と話していたことだけ。言いたいことが言えない時は、相手が

「別の言葉でも何でも良いから話せ!」

 と言うから、知っている単語だけで話すと

「あーぁ、おまえが言いたいのは(英語)ということか?」

 と言う。そこで、一つの表現を覚えるわけ。そんなことを365日繰り返していただけ。何も秘密はない。



 しかし、3か月も経つと英語で夢を見て、半年も経つと英語で電話すると日本人と気づかれないくらいになった。最初の頃は、授業をすると

「なんで、そんなジジイみたいな表現をするの?」

 と尋ねられたが(受験英語を使っていたから)、帰国する頃には生徒と冗談を言いながら話が出来た。



(5)、日本の学校、予備校、塾の実情



 私は帰国後に失業すると困るので、アメリカから名古屋の7つの予備校、専門学校、塾に履歴書を送っておいた。中京地区なら、名古屋大学の学歴とアメリカに居た経歴があればどこかは雇ってくれると期待したわけだ。

 

 ところが、返事は一つもなく帰国したら失業した。それで、仕方なく失意のうちに実家にもどりアパートを借りて自分で塾を始めた。そして、

「どうして返事が来なかったのか考えた」

 私の結論は、実力だけでは信用してもらえないということだった。そこで、英検1級の資格を取ろうと決めた。



 1回目は筆記試験で落ちたので、過去問を5周くらいやった。2回目は筆記は通ったのに面接で落とされた。信じられない。3回目は筆記免除だったので、無事合格できた。そのまま、通訳ガイドの国家試験も受けて合格した。そして、名古屋のコンピューター総合学園HAL、名古屋ビジネス専門学校、河合塾学園、名古屋外国語専門学校などで昼間非常勤講師をさせてもらい、夕方は自分の塾で講師をやることになった。



 名古屋駅前のでっかいビルにあるんだから、中京地区では有名な学校ばかり。

「そんな所で講師をしているのだから、スゴイ人ばかりかな」

 と、ビビリながら行ってみたらそうでもなかった。旧帝卒の講師に会ったのは一人だけ。英検1級に合格している講師に会ったことはなかった。拍子抜けした。



 ところが、通ってくる生徒の中には帰国子女で英検1級に合格している子もいた。自分の塾も同じで、近所に京大受験生を指導できる講師がいないらしく京大医学部医学科を受験する子まで通ってくれるようになったのだった。

 すると、当然ながら

「先生は名古屋大学卒ですよね。いくら英検1級といっても本当に京大で8割とれるのかな?」

 と、尋ねられたりした(失礼かもしれないけど、相手も必死だからね)。

 

 それで、実証するしかなくなったわけです。50代の頃でした。その結果は、以下のようでした。



京大入試の成績開示

  平成18年、20年(文学部)    正解率の平均  66%(受験英語)

  平成21年、22年(教育学部) 正解率の平均  76%(資格英語)

  平成24年、25年(総合人間) 正解率の平均  79%(ネイティブ英語) 



(6)、日本の英語指導の実情



 私の塾生が〇〇の講習会に行って英作文の指導を受けたら違和感を持ったそうです。

「先生、こんな模範解答を教えてもらいましたが変ですよね?」

 実は、京大を受けて不合格になり同志社を卒業された講師が京大受験生を指導していることなんてザラにあります。