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り狐:狐鬼番外編

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親心



「己は「鼻」が良いんだ」

「「神狐」相手ならば」
「何処だろうが何奴(どいつ)だろうが嗅ぎ分ける」

此の、金狐の主張には「例外」が有る

木木の隙間、金狐と少女の笑声を背に
踵を返す野良犬が一人、喋り出す

「うん、そうだね」
「御前が心配する様な事は無いよ」

「狐」では無く、「犬」の姿が功を奏した

等と、満足気な笑みを浮かべる
野良犬は足元が軽く、「見守り」が成功した結果を振り返った

「うん?」
「うん、御前も気に掛けるなら」

「下」に御出で
と、言うのは容易いが互いに知っている

自分が、「下」に来る理由も
相手が、「下」に来ぬ理由も互いに知っている

全ては己の、不徳の至りだ

如何にも苦笑いを浮かべる、野良犬が思い出す

何とも綺麗な、「命の珠」を持つ
何とも綺麗な、少女

「うん、上手く遣ってるよ」

彼(あ)れは「友」なのか
彼(あ)れは何(いず)れ「嫁」になるのか

何方(どちら)にせよ、楽しみだ

「流石、己の「息子」だね」

途端、ぴんと立つ両耳を一瞬で伏せる
野良犬が其れは其れは面目無く、言い直す

「うん、間違えた」
「己と、御前の「息子」だね」

然うして、頭上の月を仰ぐ
白銀(しろがね)色の月光を映す赤銅色の目が、「其れ」に差し変わる

奥の奥迄、透き通る銀色の、「眼」

「うん?、そうなの?」
「「さ狐(こ)、もう眠っちゃったの?」
作品名:り狐:狐鬼番外編 作家名:七星瓢虫