小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

アウトドアで鍋 (おしゃべりさんのひとり言 その75)

INDEX|1ページ/2ページ|

次のページ
 

アウトドアで鍋



子供の頃、野外でご飯を食べるのって楽しかったでしょ。
幼稚園の遠足にお弁当を持って行って、動物園で食べた。
その幼稚園では、毎日母さんが作ってくれるお弁当を教室で食べるんだけど、それを外に持ち出して食べるって発想が子供にはなかった。
「お外でご飯食べてもいいの?」って先生に聞いた覚えがある。

小学校になって、野外で自炊する『飯盒炊爨(はんごうすいさん)』を経験した。
若い人は知らないかもしれない。飯盒という箱のようなアルミ製のお釜でご飯を炊くんだ。
その後何度もそれをやって、当時の子供はサバイバルなご飯の炊き方を心得ていた。
でもご飯だけじゃ話にならないから、メニューはいつも手軽なカレーライスだったな。

その後、僕らの成長に伴って、飯盒炊爨よりもっと手軽に、使い捨てのアルミトレーで焼きそばを作ることが増えた。
飯盒は嵩張るから、リュックとかで持ち歩くのが大変だったんだ。
焼きそばを一回経験すると、もう飯盒に出番はなくなった。
もっと成長して大人になってから、アウトドアって言えばBBQという時代がやって来た。
どこに行っても炭火で肉を焼く。だれもがBBQ一択でアウトドアの食事を楽しんだ。

それが最近になって、急にアウトドアブームが盛り上がり、様々な料理を楽しむ動画がSNSにアップされると、単にお肉を焼くだけじゃ物足りないのか、テーブルセッティングまでおシャレに、見た目重視?のアウトドアの食事が主流になった。
それで最近人気の調理器具が、『メスティン』ってやつ。簡単にご飯が炊けるって評判だ。
でもそれ、小さい飯盒に過ぎない。時代が一巡して元に戻った感じがする。

僕もアウトドア大好きだから、キャンプや車中泊はよくする。
外で料理っていうのも、妻が料理好きなんで、20年位前からすでに、ピザにローストビーフ、パエリア、そしてアヒージョ(当時はオイルフォンドュって呼んでたな)とか作って楽しんでた。
でもお勧めは鍋料理。あんまりやらないと思うけど、外でつつく鍋、楽しいんだよ。

で、今回はその思い出。

中学2年の時、クラス替えの直後に、春の遠足があったんだ。
僕だけ、1年の時に仲の良かった友達と別々のクラスになって、孤立してしまった。
名前もよく知らなかった新しいクラスメイトと班を組んで、その遠足に行くことになったんだけど、目的地はある湖のほとりのキャンプ場。
観光バスで行って、自分たちで昼ご飯を作って食べたら、周辺のマスの養殖場の釣り堀やフィールドアスレチックで遊ぶことが出来る。
特に釣り堀は人気で、早く行かないと待ち時間が出来ると予想した。
だから、出来るだけ昼飯を早く済ませて、釣り堀、その後フィールドアスレチックって予定を立てたんだ。
その計画を他の班に知られると、真似されて釣り堀が込み合うことになると嫌だから、僕の班は秘密裡に行動することにした。

班の仲間と相談したのは、いかに早く昼飯を終えるかということ。
サンドイッチを持って行くとかいうのはNG。
学校行事として、ちゃんと料理をしないといけない。
その出来栄えを競うという企画があって、先生が審査する。
他の班は定番のカレーや焼きそばが多い。
でも僕らはもっと簡単に早く出来てしまう料理を考えた結果、誰かが提案した『水炊き』に決定した。
これなら湯が沸騰したらすぐに食べ始められて、後片付けも大鍋だけでいい。
鍋はキャンプ場で借りられるから、食材を袋に入れて持って行くだけでOK。
事前にバレないように『肉じゃが』で申請して、大鍋のレンタルを予約した。

そして遠足当日、現地に付いてオリエンテーションか何かがあったと思うけど、よく覚えてなくて、すぐに料理を始めたような記憶しかない。
すぐ火おこし、薪を細かく割って、着火剤代わりに周囲に落ちていた松の枯葉をくべると、白い煙が周囲に上がったのを覚えている。

場所は湖の波打ち際に近い、一番いいロケーションを確保していた。
他の班はダラダラ行動している。
でも僕たちの目的はズバリ、料理。
それを早く済ませることに集中していたので、誰もがテキパキと行動する。
友達が大鍋を借りて来てくれた。でもそれは予想以上に大きかった。

すると、炊事場の小屋が遠いことに気付いた。
鍋に水を入れないといけないが、意外に底が浅く平べったい鍋だったのだ。
こんなのじゃ、水を入れて持ち運ぶのが難しい。
バケツでもないと面倒な距離である。