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「ほんのちょこっと街ある記」 24/前橋、高崎、川口

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◆前橋市【人口 約33万人】

群馬県の歴史の中で、前橋市はすぐ隣に位置する高崎市と数回にわたって「県庁所在地争奪戦」を繰り返していることをネットの情報で見ていたので、やはり両市はライバルとして意識しているのでしょうね。

三重県の津市と四日市市も同じような経過を辿っていますが、あちらは40kmくらい離れているのに対して、前橋市と高崎市は10kmもないような距離です。

水戸駅を出て約3時間、午後2時30分頃に前橋駅に到着、群馬県の県庁所在地としてどのくらいの存在感を感じることが出来るか…、水戸市より5〜6万人ほど人口が多い分の街サイズに期待感を持って降りました。

そこでの第一印象は、前橋駅前周辺は人口に対して街のスケールとしてやや物足りない街並みです。

まあ土曜日だったこともあったのでしょうか、当初は市街地としての特徴的な雰囲気もあまり感じられず、車も人もパラパラ状態です。

それでも視線の先に背が高い建物がいくつか見えていて、駅前の通りを数百mほどまっすぐ歩くと横断歩道橋で囲まれた交差点がありました。

その交差点で交差する広い道路は片側3車線、その両側の歩道の樹木は背の高いケヤキ並木が数百mほど続き、時に10数階の高いビルが見え隠れして、メイン通りとしての上品さが感じられます。

中央分離帯には低木がきれいに植えられて、整備された道路に見えました。
新しいビルも建っていますが、街の成り立ち自体はある程度の歴史があるイメージが感じられます。やはり高崎市と競った部分があるのでしょう。

前橋駅で手に入れたイラスト地図を見ると、横断歩道橋がある大きな交差点から左手の方向に群馬県庁と前橋市役所が並んでいたので、迷わずそちらの方向へ向かいました。

少し左へカーブしながら20分も歩かないうちに、周辺から孤立したような30階建てくらいのヒョロっと背の高いレンガ色の建物が見え、一見してでっかいブロック造りのような建物だなぁと思ったら、それが群馬県庁でした。群馬県で一番高い建物とのこと。

その県庁舎は大きな通りのT字交差点の突き当りに位置しており、その左手前150mも離れていない敷地にはこちらも濃い茶色の12階建ての建物が立っているのが前橋市役所です。

しかし建物の外観デザインのせいなのでしょう、市役所の方が堂々としているように見えて、30階もあるような県庁の建物が失礼ながら何だか軽薄な建物に見えたのは何故でしょうか、全く不思議でした。

背の高い県庁舎の横の小さな芝生公園に置いてある石に腰かけて建物を見上げながら一休みです。群馬県にこんなに背が高くて容積が大きい県庁が必要なのかどうか…と余計なことを考えながらの見物です。

来る途中に自販機で購入した炭酸水で喉を潤した後に、県庁前のT字交差点を左折して2km近くはありそうな前橋駅方面へまた歩きました。

やや期待外れのように感じた街並みでしたが、それでも来てみないと分からないのはどの都市でも同じです。そんなことを思ううちにそろそろ陽が傾きかける時間になってきました。

今回の群馬県行きは、自分の中では前橋市と高崎市を比較した場合、どちらかと言うと高崎市の方に興味がありました。それは地図を見る限りでは高崎市の方が交通機関などの集積具合が高く、より県の中心都市のように感じたからです。

もちろん前橋市は33万人もの人口があるので私の街歩きに絶対外せない都市なのですが、全くの隣同士の街なので、つい比較してしまいました。

今回の計画当初は前橋市に宿泊するように予定していたのですが、予約して数日後に宿泊地を高崎市に変更したのは自分でも迷ったのでしょう。

さてその高崎市までは電車で10分ほどの距離です。電車の本数も割と多いので特に時間合わせをしなくても7~8分ほど待った次の電車でスムーズに高崎駅まで移動出来ました。


◆高崎市【人口 約37万人】

2つの新幹線の路線が交差する高崎駅なので乗降客も多いのでしょう、降り立った駅前の様子は、確かに前橋駅前より都会的で賑やかです。

ただ駅前広場が特に広い訳でもなく普通のサイズで「大きな街に来た」…とまでは感じられません。

着いた時間が夕方5時半過ぎ頃で、9月の北関東の日暮れ時間までにはまだ40分ほど余裕がありましたが、気が早いお店ではチラホラと灯りが付き始めるような感じでした。

駅前の道路周辺にはそれなりに背が高いビルがあり、正面の彼方には20階建てほどの立派な白い建物が見えたのが気になりましたが、駅周辺をちらほら見ながらまずはホテルにチェックイン、街歩きは翌日です。

予約していたホテルは思ったよりも駅に近く、6時過ぎには着いたので30分くらい休憩し、夜の帳が落ち始める頃に散策がてらの夕食です。

前日の水戸市と同様にこの街でも繁華街に行くのはやめて駅周辺の商業ビルにある食事処へ行くことにしました。日曜日でもあったし繁華街では恐らく半分くらいの飲食店は休業していると思ったからです。

昨晩の水戸駅横の飲食店街では思わぬ休業に戸惑ったので、高崎駅の横に建っているビル内の飲食店が営業しているか確認、こちらは日曜日にも関わらず普通に営業していたので和食メニューが多そうなお店で食事することにしました。

5~6種類の料理がセットになっている盛り合わせメニューを注文し、まずは生ビールを頼むと何と「まだ酒類の提供はやっていません。」と申し訳なさそうな店員さんの弁。

それはないやろ、店の入り口にもカウンターにも地酒などの瓶が数十本も並べてあるのに…と思ったところで仕方ありません。

支払いの時に「美味しかったですが、お酒があったらもっと良かったですねえ。」などとうそぶいてみたのがせめてもの抵抗でした。結局この街でもコンビニでお酒類を仕入れる羽目になりました。

さて翌日も朝から晴天です。

高崎駅前から伸びている道路がホテルの前を通っており、前日に見て気になった白いビルの方向に続いており、当然のようにそちらに向かいました。9時頃にはすでに少し強い日差しがくっきりと影を作ります。

向かった建物は高崎市役所でまだ新しい立派な建物です。周辺には木立の多い公園風のスペースや高崎城跡などもあったようで、落ち着いた環境の雰囲気を醸し出していました。

建物のすぐ前の掲示看板に、最上階には展望フロアがあるとの案内があったので、祭日でしたが市役所なら開けてあるだろうと思い中へ入ることにしました。

ところが1階ロビーには20人ほどの人が並んでいるではありませんか。

祭日なのに何だろうと思ったら「ワクチン接種会場」の受付があり、私も接種者と思われたのか受付に手招きされてしまいました。

受付けにいた市役所の職員とおぼしき人に事情を話して最上階の展望スペースに行きたい旨を伝えると、最上階でも接種しているのでフロアの半分しか展望利用出来ません…とのこと。

もちろんそれでもOKで、早速21階の展望階へ。
そこから見ると赤城山や榛名山など、広い関東平野と奥州とを分ける山々が展望出来て、あたかも上州を形作る境界線のように見えました。