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空と海の道の上より

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 そして入り口の門のところで見かけた半紙くらいの大きさの貼り紙には「謹んでおひろめさせて頂きます」の書き出しで、昭和六十二年三月三日白血病の診断であと三ヶ月の命と言われ入院した三十八才の娘さんが、信心のお蔭で九月十五日無事退院、皆様もどうぞ信仰をして下さい。うまく書けませんが高知の方のそんな意味の書かれているのがありました。この世の中には普通では考えられないようなことが昔ではなく、今も本当に起こっているのだなと改めて思いました。

 その方の歌に、
「み仏の慈悲の心に無駄はなし 妙というのは仏のはからい」
とありましたが、私もおはからいによって毎日を過ごしています。今日はこの辺で終ります。
電話で言われた通り、ご近所の菊屋さん、松本のおばあちゃん、坂口さんなどの思い出せる限りの困ったり病気の方の為に、祈ったりお経を唱えたりさせてもらいます。自分のことは何もお願いせず人様のことばかり祈っていますけれど、私は反対に家族の皆様の祈りによって辛いこともちっとも苦にならず過ごしています。
 四月二十六日 午前四時四十分
 太龍寺ふもと 民宿龍山荘にて

作品名:空と海の道の上より 作家名:こあみ