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皆さんの中にNHK『未解決事件』の番組を録画したものでもお持ちの方がおられましたら、ちょっと聴いてみてください。〈9.18森永の声〉は明らかに男の子だが、〈11.14ハウスの声〉はそれほど性別がはっきりしてないのがわかると思います。「女の子だ」と言われたら、「そうかもしれない」と思うような……。
 
 
〈彼ら〉は手紙に嘘と本当を混ぜて書いてる。すべてを信じるわけにはいかない。
 
 
もちろんそうだが、グリ森事件においてはすべてが警察とマスコミに都合のいいことを〈本当〉とし、そうでないのは〈嘘〉と決めつけるやり方で捜査と報道が行われてきた。だから解決できなかったんじゃないのかと、疑ってみるのはおかしいだろうか。

画像:映画罪の声ふたつの日付
 
画像:映画罪の声新春警察かるたの記事拡大
 
これだ。まず警察が嘘をつき、さらにマスコミが話を歪め、また警察がそれに引きずられる形で捜査を行った。だから解決できなかったんじゃないのかと、疑ってみるのはおかしいだろうか。
 
小学2年の男子と女子。それに小学1年の男子。これは警察とマスコミに嘘と決めつけられてきている。「もしや本当じゃないのか」と疑ってみるのはおかしいだろうか。
 
まずは自分の耳を信じてみるべきじゃないのか、というのはおかしな考えだろうか。おれはそう思わないので考えてみよう。
 
まずは最初の7月6日の丸大への指示の声だ。『罪の声』では【子供の声は3つ】とするためなかったことにされているし、そもそも又市=丸大の脅迫自体になるべく触れずに済まそうとするためそれでいいものらしいが、実際のグリ森事件では存在するし〈彼ら〉によれば小1の男子の声となっている。しかしこいつは公開されていないために聴くことができない。
 
そしてなんだかずいぶんと妙な声であったようで、『キツネ目』の本に、
 
画像:キツネ目128-129ページ最初の子供の声
アフェリエイト:キツネ目
 
こう書かれている。《異様な唸り声と響き》ねえ。《言語障害の子供の声を》ともあるけど、うーん、と思う。なんでまたそんな。
 
どういうことだろ、と最初に読んでからずっと思ってきてたのだが、今になって、「もしや」と思いつくことがある。もしやひょっとして、それはテープを逆にまわしてダビングした声なんじゃないか。
 
たとえば子供に、
《うそんめちいうゆじにんじいか》
と読ませて声を録音し、逆に再生させたなら、
「かいじんにじゆういちめんそう」
となりはするけどその声は、霊界から響く亡者の叫びのごとき異様な唸り声となる。昔のアナログテープレコーダーではそういうことができたりしたし、おれが持ってたラジカセでもオートリバース機構の不具合で音が逆に再生されて異様な唸りになることがあった。
 
だからひょっとしてそれじゃないかな。〈彼ら〉は最初、子供が何を読んだのかわからないようにするために、逆に書いたものを読ませてダビングで逆転させた。しかしその後にようすを見ると、気にしたり不審に思った気配もない。だから、
「これは大丈夫だ」
と思って次から普通に読ませたものを使い、ダビング時にちょっと回転をいじる程度の加工で済ますようにした。
 
それが森永やハウスでの声だ。簡単ながらに加工されているために、女の子の声がそれとはわかりにくくなっていたりもする。当人が気づくことがないのはもちろん、誰かが聞いて万一にでも、
「これはあの子の声じゃないか」
などと言うことがないよう気を配っていた。〈彼ら〉は決して子供の未来を奪うような者達でない――。
 
というのはないだろうか。もしもおれの考え通り、最初の丸大への指示の声がテープを逆にしたものなら、大いに有り得ることになるが、公開されていないために確かめようがない。
 
わけだが、どのみちエンデンブシが言うように声を使われた子供が苦しんでたり、一味や黒幕に殺されたりしているなんていう話はバカバカしいと思うね。ないだろ、そういうことは。しかし、子供のひとりが大人になって自分が声の主だと気づくというアイデアは、何度も言うが素晴らしい。もしもおれがこれを使って話を作るとしたらどうするか考えてみるかな。
 
 
こんなのはどうだろう。時効成立直前の1999年11月14日。23歳のM子の許にしばらく会わなかった伯父さんが現れ、酔っぱらって、
「あれから15年かあ。わしが犯人のひとりでな、あの柵の向こうんとこに隠れてたんやが、パトカーが来てクルマが逃げて、置き去りにされてもうたんや。M子ちゃんは小学2年やったな。テープの声はM子ちゃんの声やで。忘れとるやろ」
と言う。最初は笑って信じなかったM子だったが……。
 
 
と。ああ、なんか、おもしろい話になりそうな気がする。ちょっと考えてみようかしらん。
 
てなところで今回は終わり。今年もよろしく。
 
作品名:端数報告5 作家名:島田信之