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端数報告5

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「今度こそ一千万と十億が!」
いや、その前に〈ダイカン株〉というやつはどうなったのかと思う間もなくその次に〈ウスイ株〉というのが出て、その次に〈ケイチツ株〉というのが出て、そして3月の春分の頃、〈シュンブン株〉というのが出たと言い出して、
 
「シュンブン株! シュンブン株です。今度こそ! ああ今度こそ日本で千万、世界で十億殺してくれる変異体が出てくれました。いーやっほう!」
 
と叫ぶんだけど、2週間後にまた別の変異体で……。
 
という。それに限らず何か出るたび前の話がウヤムヤになる。その繰り返しだったじゃないか。5月の初めになんていう名の変異体で千万死ぬと言っていて、6月末になんという名の変異体で千万死ぬと言っていたのか全然思い出せない。
 
でも言ってたよな。言ってたよな。その繰り返しだったよな。いいかげん気づけよ、全部名前倒れだって。一度毒を弱める道を〈選択〉したウイルスが、ふたたび猛毒を出す変種を生むもんじゃあないからそうなる。
 
ということに気づけってえの。コロナにしたら人間は死なれちゃ困る存在だから、積極的に殺しにかかる変種を生もうとすることなどないの。そんなの理解するために、専門知識は必要ないの。てわけでまた、図書館で妖精率を撮ってきたんだが、
 
画像:11月28日の新聞
 
こうだ。まあたいして変わらん。前回、「次は10月の縮刷版を」と書いたけれどもまだありませんでした。たぶん次くらいに撮って見せられるでしょう。
 
けど、横の《どこで集団感染》てのは一体なんだろうね。いつも思うがここに記事を書いてるやつは、脇に載せてる毎週の妖精率の数字をどう思ってるんだろ。
 
そもそも眼に入ってないのか。かもなあ。前回同じところに、9月の末に空気感染を認めた記事があったのをおれは見せました。
 
あらためて、
 
画像:空気感染認める記事一部拡大
 
あれを拡大したものを見せるが、この学者は何を言ってやがるんだろう。空気感染もマスクで防げると言ってるのか。バカバカしい。が、それが本当としても、この理屈なら24時間、寝るときも食事のときもマスクを外しちゃいけないことになるんじゃないのか。
 
飲食店が店先で「いかがですかあ」と売ってるパックの食べ物にも、そのパックの外にも内にもウイルスがタップリついてることになるんじゃないのか。
 
ここに書いてる理屈で言えば。だが、そんなことよりも、おれが何よりこの学者に訊いてみたいのが、
 
 
   「テレビでよく見る透明な衝立が
   あれば、空気感染でも大丈夫なの?」
 
画像:ショッカーの戦闘員に質問する子供 中島らものますます明るい悩み相談室表紙
 
だ。なんて答えるだろうね。
 
画像:マイノリティ・リポート聞いてジョンまた逃げなくては逃げて
 
こんな感じかな。その後おれは、下の画のようなことになってしまうのであろうか。
 
画像:マイノリティ・リポート捕まるトム・クルーズ
アフェリエイト:マイノリティ・リポート
 
コロナが空気感染なのは、早い段階で判明していたという。志村けんが死んだ頃にはもう既にだ。けれどもそれをWHOも厚労省もひた隠しにしてきていた。
 
1984年。6月末から7月初めの丸大食品の脅迫を、警察はひた隠しにし続けた。〈彼ら〉も手紙を出さずにいたため、11月まで世間はそれを知らなかった。
 
「ずいぶん厳しいですね」
 
「このころは警察も秘匿主義にイラついとったからなあ。他紙に後れとっちゃならん。スクープ合戦や」
 
と映画で松重豊が演じる男は言う。11月15日と12月11日。この間に社会の裏で一体何があったのか。
 
画像:ふたつの日付
 
この映画はそのポイントをごまかしている。飯田橋から永田町まで有楽町線で3駅という。しかしそのふたつの間に、なんという駅となんという駅が地面の下にあるのか。
 
わからない。乗っているのに思い出せない。おれの頭が悪いだけかもしれないけれど、そんなもん、もったいをつけて言うほどのことか。
 
としか思えん。〈オミクロン株〉の前にはなんという株で千万が死ぬことになっていたっけ。その前にはなんという株で千万が死ぬことになっていたっけ。
 
思い出せない。おれの頭が悪いだけかもしれないけれど、そんなもん、
 
 
   座敷わらしの亀丸さま
 
 
じゃないのかと思う。イタコ商売のオバサンは、それが商売であるというのに、降霊すべき座敷わらしの名前を憶えていなかった。
 
というのをちょい前のログに書いたね。当たり前だよ。そんなもん、憶えてられるわけがあるか。そのオバサンはな、昨日は○○さまというのを降霊する仕事をした。おとといは□□さまというのを降霊する仕事をして、その前は△△さまというのを降霊する仕事をした。
 
その前には◎◎さまで、その前には☆☆さまだ。だから今日に降霊するのを、いちいち憶えてられるもんか。そのオバサンはプロだから、逆に亀丸さまの名前を憶えられなかったんだと思うね。
 
11月15日と12月11日の間と言えばちょうど今年の今である。ナントヤラ株の名前を来週に誰も憶えてないであろう。けれども1984年、ふたつの日付の間に何があったのか。警察は何を秘匿しマスコミは何をスクープしようとしていたのか。
 
それはプロでも忘れていること、むしろプロが忘れていることである。エンデンブシもかわいそうに。このころ何があったのか、すべて曖昧にぼかされている。当時のプロが埋めて忘れて都合良くなかったことにしていた地雷を、エンデンブシは踏んだのだ。
 
というのがおれにはわかるのだけど、既に長くもなったのでこの続きはまたにしましょう。よって次回のおたのしみだ!
 
作品名:端数報告5 作家名:島田信之