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端数報告5

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「1年で殺人は米国の首都から消滅しました。システムが実施されて今年で6年。殺人事件の件数はゼロ。犯罪予知で皆安心。このシステムによりアメリカ国民は安全な暮らしを保証され、そればかりか自由を侵されることもありません。犯罪予知で皆安心。皆安心。皆安心。犯罪予知で皆安心! 選挙では“犯罪予防法案”の成立に1票を!」
 
画像:マイノリティ・リポート政府PR映像1 2 3
アフェリエイト:マイノリティ・リポート
 
これと同じだ。安心。安心。そう言っているように見えて、脅し文句を並べている。これは管理システムであり、抑圧装置だ。従え。従え。安心だろう。だから従え。従わないと、安全ではなくなるのだぞ。国家がこれはやってよい、これはやってはいけないと指示することに逆らわず、考えずに従うことがお前らの自由だ。解放されるだろう。マスクを着ければ閉塞感がなくなるだろう。安心だ、これで自由だという気持ちで心が満たされるだろう。
 
それでよいのだ。グリ森事件の犯人は社会の敵と思わないか。お菓子に毒を入れることで、何万人も殺そうとした。極悪人だ。ジョーカーだ。なんという非道。なんという邪悪。どれほど憎んでも憎み足りない。
 
防いだのはマスコミの力。そして全国の住宅街を、街宣カーで、
 
「ワタシがこの下妻の食の安全を護ります!」
 
などと叫んで流してまわった政治家達の力なのだ。そのおかげで多大な犠牲が出ることだけはなく済んだ。
 
というのが権力を持つ者達の言い分である。人は信じたいことを信じ、そうでないものを受け入れない。謎が解かれずに終わっていれば、権力を持つ者達に都合のいいことが真相とされる。グリ森事件は日本を恐怖のズンドコに突き落とそうともくろんだ何者かの陰謀。実行犯グループの背後に巨大な組織があった。それが、
 
画像:吉山利嗣今の閉塞感が漂う日本になったと思う こいつとか、こいつにとって、画像:四方修何の対応することもできないのにこちらの手口がわかるだけで
 
望ましい話だ。だから解決できなかった。
 
ということになっている。『マイノリティ・リポート』の話を出したついでにこの映画の〈殺人予知システム〉について話そう。勘違いしてはいけないが、このブログはもともとおれの小説を売るため書いて出してるもので、帝銀事件もグリ森もコロナの話もすべてそのためにあるのである。千人もがこれを盗み、百万人が盗もうと狙ってるのは知ってるが、おれはおれの小説を人に盗ませてやる気はない。このブログは盗んでくれた方がいいから盗ませてやってきただけだ。
 
『敵中』の続きは書かないし、『コート・イン・ジ・アクト』もタダで公開しない。グリ森事件についていま書き人に盗ませてやっているのは後でいい宣伝になると思ってのことでしかない。今に盗んでいるやつと、狙ってるやつに何を言っても無駄なのはわかっているがそれでいいのだ。
 
おれの小説『コート・イン・ジ・アクト3 少数報告』のタダで見せてはいないところに、
 
画像:少数報告よりイタコの話 少数報告表紙
https://novelist.jp/88813.html
 
このような箇所がある。これは以前に〈DLマーケット〉に出したときに作ったもんで、上のリンクを押しても読めない。『マイノリティ・リポート』では、殺人予知能力以外の力は持たないはずのアガサが突然イタコ能力を発揮し、
 
画像:彼は浜辺にいる 愛に満ちたこの家 動物に囲まれている
 
なんて言い出すシーンがある。2時間25分の映画の1時間57分のところだ。主人公とその妻は、死んだ息子がそこにいる話をすぐさま信じ込み、
 
画像:彼はウサギとキツネを飼っている 父親似でランニングが大好き それを聞きララは涙を流す
 
と言われて泣き出してしまう。アガサは自分に死者との交信能力がある証拠など何も見せていない。なのにどうしてこれが確かな話だとわかるのか。
 
元の薬液プールに漬けられるのがイヤさに嘘をついている可能性がある。「可能性がある」というだけだが、そう考えるおれは頭がおかしいだろうか。そう言えば『デスノート』を映画版だかアニメ版だかで見たときにも、死神リュークが、
「デスノートを使った者は天国にも地獄にも行かない」
と言うのを聞いて、聞いた途端に、
「え? それって地獄があるということなのか? 悪いことをしたやつは地獄へ行くのか。ならば八神ライトの裁きに意味はないんじゃないの。ただ殺しているだけで、〈裁いた〉ことにはならないのでは」
と思ったが、そう考えるおれは頭がおかしいだろうか。あのお話はおれの疑問に答えてくれずに終わっているが。
 
どうなんだろね。霊界がある設定の話を作るならそういうところ、ちゃんとしてほしいもんだと思うが、まあ無理な注文かもな。疑問を持たずに信じたトム・クルーズ演じる主人公は、
 
画像:まだ生きてるよ とアガサに言って、画像:死んではいないけど生きてもいない
 
というわけのわかんない答をされる。これはたとえば『ゴースト ニューヨークの幻』って映画でアカデミー助演賞を獲ったウーピー・ゴールドバーグ演じる霊媒師が、インチキ商売で人を騙して稼いでいたときに言うことと同じである。
 
画像:ゴースト解説 アフェリエイト:ゴーストニューヨークの幻
 
人は信じたいことを信じる生き物であるがゆえに、子供を亡くした親などにインチキ霊媒師が近づいて、
「ワタシには、霊界にいるアナタのお子さんが見える」
と言えば信じる者がいる。「あの子のためにどうすればいいんだ!」そう叫んで泣いてすがりつく者がいる。
 
そんな人から搾れる限りのカネを搾り取る人間がいる。そんな話をあなたもどこかで聞いたことがあるだろう。このシーンでこの映画がやってることは、それとまったく同じことだ。
 
と言うか、
 
 
スピルバーグは殺人犯に殺された子供は霊界で幸せになるなんて話をどうして知っていやがるんだ?
 
 
とおれは、このシーンをその昔にひとめ見たとき思ったのだった。詳しくはおれの『少数報告』を、いずれ有料でまた公開したときに買って読めとだけ言っておくが、この映画ではそこでトム・クルーズ演じる主人公は、
 
   *
 
「アガサ、君の母親を殺したのは誰? 誰がアン・ライブリーを?」
 
画像:殺したのは誰?
 
と訊く。うん、死者との交信ができるのならばその問いに答えられるはずだし、このふたりの子供を殺してしかし不明となっている犯人の名も言えてよさそうなもんである。それが言えたらこの少女にイタコ能力がある確かな証拠にもなる。しかし、
 
画像:聞いてジョン また逃げなくては 逃げて
 
この子はそう言って、肝心の問いに答えないのだ。トム演じる主人公を追う者達がそこへやって来るものだから、すべてウヤムヤに終わってしまう。
 
この子は殺人予知の他になんでも予知できるので、追手が来るのを知っていた。だからこのタイミングで、イタコ能力の芝居をした。のじゃねえのかよとおれは言いたくなったのだった。おれはこいつを映画館では見なくって、VHSのビデオで見たのが2004年くらいかな。デタラメぶりにとにかく腹が立って立って立って、
作品名:端数報告5 作家名:島田信之