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15、16、17と


 
コロナの専門家は二種類に分けられる。ひとつはだいたい、
 
画像:トニーたけざきのガンダム漫画72−73ページ アフェリエイト:トニーたけざきのガンダム漫画
 
こんな感じに、
 
「緊態解除など以ての外! 繝驥の榊鴨縺は瑚蠎譚吶の驕阯を隱蟶せしめ、晞橿を蟷さぬ豐輔は驛繝を蜉迚させ繧繝を阻む事この上なし! そして繧苓=髣繝という斐えを蜚え翫け溘闊蝙狗に豌りきりの髱逶な檎悄を増やしたに過ぎないのです! あえて言いましょう、制限あるのみと! そもそもが膚蠎な苓譚莠螟であったものが莉雁に屓譽し豌莠し、やがては倶險の薙して譖けよう郢驛を玖えるに翫るものなのです。それこそが蜚吶への溘闊であり、蝙狗たる鄂峨の蜻壹を蝙しているのがわかりませんか。即刻!蛻閠しなければならない!!」
 
などとギャンギャン声を限りにわめき立てるが、何言ってるのか聞いても全然理解できない。こういう人に、
 
「ワクチンを受けた人間はもう大丈夫じゃないのですか」
 
などと訊いても、
 
「それはですね、そもそもが膚蠎な苓譚莠螟であったものが莉雁に屓譽し豌莠し、やがては倶險の薙して譖けよう郢驛を玖えるに翫るものなのです。それこそが蜚吶への溘闊であり、蝙狗たる鄂峨の蜻壹を蝙しているのがわかりませんか。即刻!蛻閠しなければならない!!」
 
という調子でこちらの質問に応えるのでなく、持論をひたすら繰り返すばかり。対して、
 
「だから、ワクチンを受けた人はもう大丈夫じゃないんですか」
 
と言っても、
 
「ですから緊急事態宣言を解除してはいけないのです! 感染者数が減ったからと言って油断してはいけません。専門家のワタシには、〈波〉が来る危険がかつてないほど高まってるのがわかるんですよ。そもそもが膚蠎な苓譚莠螟であったものが莉雁に屓譽し豌莠し、やがては倶險の薙して譖けよう郢驛を玖えるに翫るものなのです。それこそが蜚吶への溘闊であり、蝙狗たる鄂峨の蜻壹を蝙しているのがわかりませんか。即刻!蛻閠しなければならないんです!!」
 
とわめくばかりなので対話というものが成立しない。マスコミや木っ端政治家はいい。そうだそうだと一緒になってわめいていれば気分も晴れるんだからな。
 
画像:トニーたけざきのガンダム漫画ブライト アフェリエイト:トニーたけざきのガンダム漫画
 
でも首相とか都知事なんかは、おれもここに適当なことをいろいろ書いてきたけれどそういうわけにもいかないんだろう。質問に少しはまともな返事をくれる学者を探してみるのだけれど、訊くやつ訊くやつ、
 
画像:鈴木刑事部長アップ
 
だいたいこんな顔したやつで、左右に目を泳がせながら、
 
「それはですね、確かなことは言えないのですがごにょごにょごにょごにょごにょごにょごにょごにょ。ごにょごにょごにょごにょごにょごにょごにょごにょ……」
 
という調子。これがもうひとつのタイプで、コロナの専門家というのはこのふたつのどっちかしかいない。〈ギレン〉か〈鈴木刑事部長〉だ。刑事部長に質問を続ける。
 
「緊急事態宣言を解除していいと思いますか」
 
「え、え、え、え、ええとですね、確かなことは言えないのですがごにょごにょごにょごにょごにょごにょごにょごにょ。○○科医で著述家のM・ナントーカ・カントッカが言うところではごにょごにょごにょごにょごにょごにょごにょごにょ。さらに○○大学のジューン・ハーガー教授の論文によるとごにょごにょごにょごにょごにょごにょごにょごにょ……」
 
こんな感じで結局やっぱり、まともに答える人間はいない。マスコミなどにはこれもまたいい専門家なんだろうが、あなたが首相や都知事だったら、
 
画像:トニーたけざきのガンダム漫画ブライト アフェリエイト:トニーたけざきのガンダム漫画
 
この画のデギン公王から紙を剥がしたような顔をするところに違いない。
 
コロナの専門家は二種類しかない。一方は狂っているしもう一方は自分が何も知らないことを隠そうとして嘘をついてる。昭和の戦争の参謀もそのどっちかだったわけだが、そろそろほんとに嘘の壁がボロボロひび割れ崩れ始めたような気もするがどうなんでしょね。まあ来年の今頃には、誰もが、
 
「学者どもに騙された。今にしてみりゃあいつら全員、ナンバーくじの予想をしていたのがわかる」
 
と言ってんじゃないかと思うが。
 
しかし、大人はまだいいとしても、たとえば今に高校の特に二年生だったりするとそう言うだけじゃ済まないだろな。グリ森事件はおれが中学を卒業して高校に入るのと同時に起きたが、おれの高校生活にさして影響あるでもなかった。
 
しかしコロナ発生のときに中学を出て去年に高校一年。今年が二年。
 
その歳の子は話が違う。来年の今頃マスクを外せたとしても、高校三年の秋から先はもう高校生活と言えない。〈人生で最も貴重〉と呼ばれる2年半をそっくり奪われ取り戻せない。〈禍〉が本当のものならともかく、すべて大人の嘘だった。去年の夏休み前に〈禍〉と言うほどの状況は既に終わりを迎えていて、その後はただ、
 
画像:実写ヤマト敬礼
アフェリエイト:SPACE BATTLESHIPヤマト
 
これと変わらぬ〈ヤマトごっこ〉の「俺が世を救うんだ」祭りに付き合わされただけだった、と知ったなら。でもってこの〈第一艦橋員〉どもが責任を取らず反省もせず、見苦しい言い訳並べるばかりとなれば、高校生活を奪われた者は納得できないだろう。
 
 
   「現実の高校生活なんてものは
   マンガに描かれるようなのと違うよ」
 
 
そうひとことに言うのは容易い。そして事実でもある。特におれなんか、高校時代は嶽本野ばら『下妻物語』の主人公を男にしたようなもんだったから、毎日が〈エリア88〉に入ってしまった風間真の心境だった。
 
アフェリエイト:下妻物語
 
アフェリエイト:エリア88
 
あるいは、『魁!クロマティ高校』の神山か。ビーバップハイスクールなやつらに囲まれ、「おれはこいつらと違う、違う……」と心につぶやき続ける日々。
 
アフェリエイト:魁!クロマティ高校
 
アフェリエイト:ビーバップハイスクール
 
15、16、17と、それがおれの人生だった。だから現実の高校生活はマンガに描かれるようなものと違うと言うことはできる。できるが、しかしそう言っても、今に高校二年の者は納得できないだろう。やっぱりマンガそのものじゃないのか、と、いや、そうではなくってですね、学校が牢獄なのはわかっているがそれでも修学旅行とか文化祭とかあるだろって話だ。マンガそのものでないとしても高校の三年間でしか得られぬものがいろいろとあるはずなんじゃないのかって話だ。
 
自分達はそれをすべて取り上げられた――今に高校二年の者が言いたいのはそれであり、たぶん、生きている間、ずっと言い続けることになる。〈禍〉が本当のものならともかく、すべてがバカな大人どもの〈ヤマトごっこ〉だったとなれば。
 
作品名:端数報告5 作家名:島田信之