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フランちゃん ~掌編集・今月のイラスト~

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 だが、水野は『このドラマを生かすも殺すも相手役次第、主役の人気を更に高めたいならば相手役を演じられるのは一人しかいない』と頑張った、自分でもありがちなストーリーだと思いながらも、好美なら必ず上手く行く、主役も好美も活かすならこの展開しかないと考えていたのだ。
 事実、好美は、ドラマの冒頭ではさほど可愛いとも思えなかった女の子を、回を追うごとに輝いて行くように演じ切った。
ドラマの熱心な視聴者は『あたしも素敵な恋をすればあんな風に可愛くなれるかな』とばかりに感情移入し、最初は目立たなかった相手役を結果的に磨いて行くことになった主役も大いに人気を上げる結果になった。

 そのドラマ以降、好美は重要な役にしばしば起用されるようになり、演技力の確かな若手女優として知られるようになって行った。

▽   ▽   ▽   ▽   ▽   ▽   ▽   ▽

「どうだろう? もう一度フランちゃんを演じてくれないかな……」
 水野がそう切り出したのは『モンスター・ハウス2』制作することになったから。
 だが前作終了から二年の間に好美はすっかり人気女優に育っている、今更フランちゃんの特殊メイクで演じてくれとも言いにくかったのだが、水野の中ではもう『フランちゃん=山田好美』それ以外に考えられなかったのだ。
 だが、黄色いセーターに身を包んだ好美はひまわりのような笑顔を見せてくれた。

「良いですよぉ、私の出世作ですから喜んで、あたしは『モンスター・ハウス』のおかげで世に出られたみたいなものですから」

 その傲りのない、謙虚で素直な笑顔に水野も思わず釣り込まれて笑うと、好美は二年前に初めて顔を合わせた時と同じポーズをして見せた。
「フンガー♡」