Evasion 2巻 和洋折衷『妖』幻想譚
(あーあ、起こしちゃった……)
と、クリスはリルを宥める久居を見る。
(久居さんにもお礼言いたいんだけど……)
「耳がぁぁ、ボクの耳がぁぁぁっ!」
「まずは落ち着いてください!」
何だかよくわからないけれど、リルは耳が無いと大泣きしている。
そんな事あるわけがないと、クリスは思う。
多分、布の上から触ったからじゃないだろうか。
クリスは、まだしばらくお礼を聞いてもらえそうにない二人の様子に、がっくりと肩を落とし、大きくため息を吐いた。
作品名:Evasion 2巻 和洋折衷『妖』幻想譚 作家名:弓屋 晶都