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狐鬼 第二章

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(すずめの)頭を「いい子いい子」して室内へ促(うな)がす
くろじが(すずめの)後をついて行こうとする、はつねを阻止する

「?はあ?」と、素っ頓狂な声を上げた
はつねの腰を掴まえて(室外へ)連れ出すや否や、玄関扉を閉める

「?!はあ?!」

一層、大きく届く
はつねの声を聞きながらすずめは突っ掛けただけの、其れを脱靴(だっか)する

本来なら

其れでも白狐の名前を呼んで
其れでも白狐の姿を探すのだろうが、分かっている

其れでも確かめたい事がある

寝室の、備え付けの衣服棚(クローゼット)
下部分は二段の箪笥(タンス)がある

腰を下ろす也(なり)
すずめは箪笥(タンス)の抽斗(ひきだし)を一段一段、引き抜いていく

然(そ)うして現れる「空間」

白狐には反対されたが
「彼」の為に
「彼女」の為に
すずめはこっそり「空間(ここ)」に置いていた

やっぱり

瑠璃紺色の川を泳ぐ、赤紅色の金魚が描かれた硝子風鈴
見事に割れてしまっている、硝子風鈴

問題は「其処」じゃない
問題は「此処(べつ)」にあるんだ

共に置いていた
少女 (ひばり)の白装束、彼(あ)の時の着物がなくなっている

やっぱり「神狐」相手に隠し事は出来ない

崩れるように
蹲(うずくま)る、すずめの口元が思い掛けず笑みで歪(ゆが)む

ああ、迎えに行ったのだ
ああ、一人で迎えに行ったのだ

自分は側にはいられない

分かっていた
分かっていたけれど

「さよなら」すら言えないとは思ってもいなかった

唯唯、其れが悲しい
唯唯、其れが泣き叫ぶ程、悲しい

作品名:狐鬼 第二章 作家名:七星瓢虫