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狐鬼 第二章

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尚(なお)も遠慮勝ちな態度でいる
すずめに「俺、ミルク珈琲(コーヒー)ね」と告げるや否(いな)や店内扉を勢い良く開ける

「よろしく」

暫し、此方を窺うも
御使い先の三軒隣、珈琲(コーヒー)屋に入店する姿を見送った後
振り向き様(ざま)

「俺、「妹」が欲しかったんだよね!」

屋外(アウトドア)椅子の上
器用に胡座を掻くサーファー仲間に満面の笑顔で言うが
相手は「(親に)お願いすれば良かっただろうが」としか言えない(笑)

なので、まんま言う

「(お願い)したの!」
「(お願い)したけど却下されたの!」

「お願いしたのかよ」噴(ふ)きだし笑うも
くろじの願望にも(親の)却下の理由にも思う所があるのか、続ける

「だろうよ」
「お前ん家(ち)、上に三人いるもんな」

然も

「三人とも姉ちゃん(笑)」

到頭、寸劇(コント)の如く
頭を抱えるくろじが是又、大袈裟に「青年(?)の主張」をする

「だから俺、「妹」が欲しかったんだってえ!」

心底、如何でもいいとばかり
鼻を鳴らすサーファー仲間が屋外(アウトドア)椅子の背に凭れた

「一人っ子の俺には姉でも「妹」でも羨ましいがな」
「ま、兄でも弟でもいいけど?」

如何でもいい筈が引き摺られたのか
自分(サーファー仲間)の願望をぽろっと語るも速攻、否定される

「俺 嫌(やだ)!」
「断然、「妹」がいい!」

「うるせえよ」
「お前は看板娘(婆(ばばあ)三姉妹)で我慢しとけ」

然う、件(くだん)の珈琲(コーヒー)屋
「波女」はくろじの実家だ

補足するならば

此方のサーフショップは「父親」の実家
彼方の珈琲(コーヒー)屋は「母親」の実家となる

「はつね」と「くろじ」の関係同様
此方(両親)も「幼馴染(おさななじみ)の腐れ縁」同士だ

「其処だよ、其処!」

「何処」だよ?
と、高揚(ヒートアップ)するくろじにサーファー仲間が半目を呉れる

「姉ちゃん等(ら)の「弟」願望は受理されて」
「俺の「妹」願望は却下されんのはマジ、可笑しいって!」

瞬間、サーフブランドのロゴを硝子(ガラス)一面に貼り付けた
店内扉が開(あ)く也

「貴方(アンタ)、未だ(妹願望)言ってんの?」

殆、呆れた様子で吐き捨てる
声の主人(ぬし)は吃驚(びっくり)している「弟」に容赦なく追撃する

「つか、商店街中に丸聞こえだから」
「恥ずかしいから止めよ?」

注文品を載せた盆(トレー)を片手に仁王立つ
「姉」を前に唇をへの字にしたまま顳顬を掻く「弟」の様子に
(マジ、三姉妹に頭が上がらねえんだな)内心、笑うサーファー仲間が助け舟なのか
「ども、仕事が早いっすね」等(など)と挨拶がてら手を振る

「姉」も一旦
「「はやい・うまい・やすい」が店(うち)の標語(モットー)だからね」と笑顔で返すも

「貴方(アンタ)と三女(アタシ)、年の差幾つよ?」

然して「母さん幾つよ?」と続くのも御決まり
散散、「妹」を切望した幼少時代にも
散散、言われ続けた台詞(セリフ)にくろじは外方を向くが
散散、言い続けた自分(姉)にとっては可愛い「弟」だ

大層、年の離れた「弟」の後頭部を軽く撫でて
出前の盆(トレー)事(ごと)、手渡す

「で、彼(あ)の子(コ) バイトの子?」

興味津津
お目目爛爛ですずめの話題をしたがる「姉」を
勿論、くろじは相手にするきもなく「シッシ」と手で払う

抑、(すずめに)御使いを頼んだ時点で此の流れは想定内
なのに、面白がるサーファー仲間が喜喜として答える

「くろ(じ)が軟派(ナンパ)した子(コ)」

「!!おい!!」

盆(トレー)を引っ繰り返す(無事)勢いで突っ込むも
「姉」相手に訂正する機会を失ったくろじは
瞬時に「キャーキャー」と黄色い声を発して小走りで(珈琲屋に)戻っていく
(姉の)後ろ姿を引き止める事が出来なかった

然して

裏切らない(姉の)反応に
当然、サーファー仲間は腹を抱えて馬鹿わらう

作品名:狐鬼 第二章 作家名:七星瓢虫