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根岸 郁男
根岸 郁男
novelistID. 64631
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プールサイドフィクション

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伊達「知らないんですか。これだからね、警察は信用できん。二年前の事だ。うちの孫娘が他校からこの事件のあった中学校に転校してきた。桜の満開する四月で入学式後のことだった。学校側は否定しているがいじめはもうすでに始まっていた。いじめグループとは死んだ三人のいじめグループだ。孫娘は人一倍正義感の強い娘でいじめを見て知らぬふりのできない子だった。百目鬼君と似たような子を日常茶飯事いじめていていた彼らの行動が許せなく、彼らの前に立ち向かっていった。彼等にとってはそれが気に入らず今度はいじめのターゲットをうちの孫娘に変えた。最初は戦っていたが所詮女の子。男子三人にまともに戦って勝てる筈がない。いじめは執拗に行われた。私は、もう学校へは行くなといったが、彼女は意地になって登校した。いつも痣だらけになって帰ってくる彼女をみて私と、その子の両親を学校に出向き、いじめをやめるように抗議したが、いじめの実態はないと学校側が主張した。同級生が証拠となる動画を撮影して提出したがそれも処分されてしまった。」
玉川「学校側は何故調査しようとしなかったのか」
伊達「知っているでしょ。三人グループのリーダーのご両親は市議会議員の大御所。学校側にも多額の献金をしている。彼らの圧力があったのさ。そんなことも知らないんですか。」
   蝶野、玉川、聴いている。
伊達「そのうち、孫娘は疲れたのか、自宅で首を吊って亡くなった。学校側がは入学当初より精神疾患があったと主張して、いじめによる暴行死とは認めなかった。警察も来たが精神疾患による自殺だとして事件にはならなかった」
玉川「そんな馬鹿な、ありえない話だ」
伊達「ふふふ、それがあるんですよ。私は警察からも学校側かも見放され、平然と登校しいじめを続けている彼等をこれ以上許すことは出来なかった。警察が学校側が何もしないのだったら、私が成敗してやろうと、そう思っていました。だから今回のことは私に巡ってきたチャンスだったんです」
   玉川、蝶野、不審げに見ている。

〇 中学校 職員室
   TVモニターにニュースが流れる。
アナウンサー「先日、午後十一時頃中学生が刺殺された事件で犯人が逮捕されました」  TVモニターに映し出される、犯人。警察に連行される。
アナウンサー「昨夜、挙動不倫な男を尋問したところ、犯人の体内から使用したと思われる覚せい剤と所持品から匕首が発見されました。血痕が付着していたことから中学生殺害を自供しました。」
   亡くなった東頭力也の写真がぼかしを入れてTVモニターに写し出される。
教職員「東頭力也くん殺害の犯人が逮捕されたようですよ」
   TVを見ていた教職員が中にいる職員に向けて喋る。
アナウンサー「犯人は正当防衛を主張しているようです。街を歩いたら言いがかりをつけてきたので殺されると思い、自己防衛ために所持していた匕首で刺したということです」
   集まってきた教職員達、TVモニターを見ている。

〇 中学校 教室 休み時間
   休み時間なので皆、それぞれの場所でワイワイガヤガヤしている。
   突然、教室の引き戸が開いて、生徒が入ってる
生徒C「さっき、職員室の前を通ったら先生たちの声がして、東頭力也を殺害した犯人が捕まったと騒いでいたよ」
   教室の隅にいた百目鬼、鬼束が振り向く
百目鬼「東頭くん殺害の犯人が捕まった?」
鬼束「すべての犯人が捕まって一件落着だね」
百目鬼「…実はそうではない部分もある…」
   百目鬼、宙を睨む。
   鬼束、怪訝に百目鬼を見る、
   百目鬼の顔。

〇  百目鬼印刷所 玄関
   百目鬼進士、鍵を使い、引き戸を開き中に入る。
   百目鬼、印刷所中にはいり、インク保管場所から、少しインクの付着したビニールロープと、取っ手のついた円形の重石を手に取る。

〇  通学路  夕刻
   百目鬼、黒いリュックサックを背負い自転車で疾走する。

〇 中学校 屋上プール
   プールサイドに立つ百目鬼、重石にビニールロープを繋ぐ。
   百目鬼、プールの排水溝近くに来ると、ビニールの巻き付いた重石をプール内に投げ込む。
   ゆっくり沈んでいく重石。澱んでいて重石は見えなくなる。
百目鬼「準備完了」

〇  中学校 屋上プール 《翌日》
   プールサイドに立ちプール内を覗き込んでいる猿子、蟹江。
   水面から百目鬼の手だけが出て、二人の足首を掴む。
   水中に引き込まれていく猿子と蟹江。

〇 プール内 水中
   百目鬼、ビニールロープの先端を持って猿子と蟹江の首に巻き付ける。

〇 中学校 校舎の裏手
   東頭、猿子、蟹江の三角形の形の中に囲まれている百目鬼進士。
   蟹江、少しジャンプして百目鬼の背中を蹴る。
   百目鬼、バランスを崩し、よろめいて東頭の前に行く。
東頭「こっちじゃねえよ、ばか」
   東頭、膝頭で百目鬼の腹部を突く。
   百目鬼、ガクリと膝を付く。
   猿子、百目鬼の背中の襟を掴み体を起こす。
猿子「どこ見てんだよ、こっちを見な」
   猿子、百目鬼の体を正面向かせる。
   猿子、頭突きをし、頭が下がったところで右手で殴る。
   百目鬼、後退りして転ぶ。百目鬼、ゆっくり立ち上がる。
   百目鬼、切れた唇から血を拭く。
   東頭、背後から、百目鬼の半ズボンを下げる。
   百目鬼、下半身をさらけ出される。
猿子「(指をさし)おう、一丁前におちんちんに毛が生えてやがる」
蟹江「(覗き込んで)ちっちぇえー」
東頭「こっちにも見せな」
蟹江「リーダーも見たいとさ。」
   蟹江、百目鬼の体を東頭側に見せる。
東頭「はあ、ちっちえおちんちんに、真っ黒、くろ助の毛が生えてやがらぁ」
   百目鬼、股間を隠す。
   東頭、蟹江、猿子、笑っている。

〇 プール内 水中内
   百目鬼、猿子の首に巻き付けたビニールロープの紐をさらにきつく引っ張る。
百目鬼「(死ね、死にやがれ)」
ぶくぶく、泡を出しながら、首からビニールロープを外そうとしている猿子と蟹江。
   百目鬼、ビニールロープの先端を重石に繋ごうとしている。
   猿子、百目鬼の背中を蹴る。
   百目鬼、体を反らす。
   百目鬼、水面を蹴り、浮上しようとする。
   蟹江、百目鬼の足を引っ張り、浮上させまいとしている。

〇 中学校 屋上プール プールサイド
   伊達、が急ぎ足でくる。
   伊達、水面から手を出している百目鬼の手を掴む。  
   掴んだ手。
   百目鬼、水面から顔を挙げる。
   伊達、百目鬼を引っ張り上げる。
伊達「あとはまかせてくれ。今度はわしの番だ」   
   伊達、水面から頭を挙げてきた猿子、蟹江の頭を足で蹴る。
   蹴る。蹴る。蹴る。
   百目鬼、その様子をみている。

〇 犬小屋
   伊達の飼っている犬が犬小屋に繋がれている。
   犬の足元に地面に埋められて少し見えている、犯行に使用された取っ手のついた重石。
   犬、その上に立っている。

〇 中学校 教室  
   教師が教団に立ち、生徒達、机に座り授業を受けている。
   百目鬼、宙を見らんでいる。

【おわり】