プールサイドフィクション
プールサイドフィクション
《 登場人物 》
百目鬼 進士(15歳) 主人公
鬼束 陽菜乃(きづか ひなの)15歳
東頭 力也(15歳)いじめグループのリーダー
蟹江 千斗(14歳) いじめグループ
猿子 文太(14歳) いじめグループ
東頭 千也(12歳) 力也の弟
蝶野 英二 定年間際の刑事(64歳)
玉川(32歳)若手の刑事
長沼 (62歳)学校校長
笹森 (53歳)学年担当教師
寺西(28歳) 百目鬼の両親の印刷会社の従業員
我孫子(24歳)印刷会社の従業員
富田(56歳) 百目鬼印刷所の工場長
阿部子(15歳) 百目鬼の同級生 母が看護師
生徒B(15歳) 百目鬼の同級生
教職員
伊達 (68歳) 用務員さん
〇 某中学校 校舎 夏
コンクリート壁で四方を囲まれた要塞のような学校校舎。
シーンと静まり返って校庭には誰一人いない。
〇 校舎内 階段
階段を急ぎ足で駆け上がっていく中学三年の百目鬼進士(15歳)
半袖ワイシャツに半ズボン。
背中に黒い小さめのリュックサックを背負っている。
階段を上がるたびにリュックサックの中の荷物が揺れる。
〇 屋上 プール
屋上に設置された長さ50メートル、横が6コースのプール。
四方が3メートル以上ある鉄のフェンスで囲まれている。
四隅に設置されている防犯カメラ。
防犯カメラを見上げている私服姿の二人の中学生。猿子と蟹江。
猿子「蟹江、防犯カメラ、確かに作動していなんだな」
蟹頭「夏休み期間中は、スイッチはオフにするって用務員のおやじが、言ってた」
猿子「水泳部の練習があるときは万が一の事故に備えていつもオン、だけどな」
蟹江「今日は練習ないから切ってあるだろ」
猿子「本当だろうな、信用できねえな」
プールサイドに腕組みしている蟹江と猿子。
猿子「それにしても遅いな、あのバカ」
猿子、イライラしている。
〇 校舎内 階段
屋上にたどり着き、鉄の扉を押す百目鬼。
〇 屋上 プール
鉄の扉を開けて出てくる百目鬼。
逆光が、百目鬼の視線を遮る。
百目鬼、手をかざしてプールを見る。
足を開いて腕組みして立っている蟹江と猿子
蟹江「(猿子に)あのバカ、今来ました。」
猿子はスマホで誰かと話をしている最中。
猿子、やたらぺこぺこしている。
猿子、百目鬼を見ると、スマホを切る。
猿子と蟹江の前まで近づく百目鬼、息が荒い。
蟹江、百目鬼の首を鷲掴みして
蟹頭「きっさまぁ、俺たちを何時間待たすつもりだ。何様のつもりかよ」
百目鬼「どうもすみません。お金の隠してある場所がいつもと違っていて探すのに時間がかかりましたので」
百目鬼の襟首をつかんでいる猿子が
蟹江「じゃ、金は用意できたんだな」
百目鬼「もちろんです。少し遅くなってすみません」
猿子「離してやれよ、金を持ってきたんだから」
蟹江「そうはいかねえ、俺たちは、この炎天下でずっと待っていたんだ。すこしは気のすむようにさせてくれ」
百目鬼、急いで駆け上がってきたせいか、まだ息を切らしている。
猿子「ふん、好きにしな。おい、百目鬼、先に金をよこせ」
百目鬼、二人を見て
百目鬼「あれ、もう一人は」
猿子「リーダーのことか?。リーダーは今忙しいとさ。おまえから金をふんだくったらいつもの場所で待ち合わせって寸法さ」
百目鬼、うんうんと頷いている。
百目鬼、背中にかけていたリュックサックを外し中に手をいれる。
蟹江「そのリュックに金が入っているのか、よこせ」
猿子、リュックサックを奪い取ろうとする。
百目鬼「(掴みかけていた蟹江の手を振り払うようにどかし)これは渡さない。お金なら渡す」
蟹江「ふん、そうかい。偉そうに」
猿子、百目鬼がリュックサックに手をいれ探している仕草を見ながら
猿子「ずいぶん、重いな、鉄でもはいっているのか」
百目鬼、リュックの中から百万円の札束を掴んで蟹頭に渡す。
受け取る、蟹頭。
蟹江「(にやりと薄ら笑いし)俺の番だ。ちょいと顔を貸しな」
蟹江、百目鬼の襟首を掴み、プール脇に強引に引っ張っていく。。
蟹江「百目鬼、おまえは泳ぎが苦手だったよな」
百目鬼、返事をせず、下から上目遣いで見る。
百目鬼、襟首を引っ張られながらも、黒縁の眼鏡の中央を少しあげて睨みかえす。
猿子「遅れてきた分のお礼だ、しっかりと受け取れ」
猿子、百目鬼の顔に頭突きをし、体が少し反り返ったところで、ボディにパンチを食らわし、顔にもパンチを加わす。
蟹江「すこし頭を冷やしな」
蟹江、百目鬼をプール内に突き飛ばす。
プール内に入り込む百目鬼、沈んでいく。
百目鬼、下に沈んだまま浮かんでこない。
蟹江、怪訝そうにみて猿子に近づいてくる。
プールの底面に塊のように動かない百目鬼。
浮かんでこないままの百目鬼。
猿子、蟹江、二人とも沈んでいる百目鬼を見ている。
蟹頭「死んでんじゃないだろうな」
猿子「俺たちにゃ関係ねえ。金はもらったし、さぁ帰ろうぜ」
其の瞬間に、急に水面から両手がでてきて二人の足首を掴む。
〇 中学校 正門前
《翌日》
〇〇中学校始業式会場の看板が掛けてある。
〇 中学校 校舎内 体育館 始業式会場
生徒たちが整列して並んでいる。がやがやと生徒たちの話声。
壁際に整列した教職員たちの列。
教職員の一人が、マイクを握り、静粛さを促す。
静まりかえる生徒たち。
学校長が階段を上がりステージに向かう。
ステージの壇上の後ろには「始業式」の横断幕が掲げてある。
演台の前に学校長が立つ。
〇 屋上 プール
用務員の伊達とリードに繋がれた犬がプールサイドに向かう
突然、犬がワンワンと吠えだし疾走する。
伊達、犬に引っ張られリードを掴んだまま小走りする。
犬が、プールサイドで立ち止まり、プール内に向かってワンワン吠える。
伊達、水面を見る。
驚愕する伊達。
プール内の水面に仰向けに浮かんだ二人の人間。猿子と蟹江。
〇 学校内 校舎 体育館 始業式会場
ステージ内、檀上の学校長、
学校長「皆さん、おはようございます」
生徒たちも一斉に、復唱する。
学校長「今日から二学期がスタートします。一人一人が新たな目標と「それをやるんだ」という決意を持って登校してくれたらと思います」
突然、出入り口の扉がドンドンドンと叩かれる音。
皆、一斉に出入り口の扉の方を見る。
近くにいた教職員の一人が扉を開く。
息を切らし、ゼイゼイしている伊達が上を指で刺し
伊達「大変です、屋上のプールで人が死んでいる。子供たちのようです」
教職員たち、互いに顔を見合わせる。
教職員の一人が駆け出すと、続けて三人が後を追う。
生徒たち、急にがやがやとなる。
教職員の一人が
《 登場人物 》
百目鬼 進士(15歳) 主人公
鬼束 陽菜乃(きづか ひなの)15歳
東頭 力也(15歳)いじめグループのリーダー
蟹江 千斗(14歳) いじめグループ
猿子 文太(14歳) いじめグループ
東頭 千也(12歳) 力也の弟
蝶野 英二 定年間際の刑事(64歳)
玉川(32歳)若手の刑事
長沼 (62歳)学校校長
笹森 (53歳)学年担当教師
寺西(28歳) 百目鬼の両親の印刷会社の従業員
我孫子(24歳)印刷会社の従業員
富田(56歳) 百目鬼印刷所の工場長
阿部子(15歳) 百目鬼の同級生 母が看護師
生徒B(15歳) 百目鬼の同級生
教職員
伊達 (68歳) 用務員さん
〇 某中学校 校舎 夏
コンクリート壁で四方を囲まれた要塞のような学校校舎。
シーンと静まり返って校庭には誰一人いない。
〇 校舎内 階段
階段を急ぎ足で駆け上がっていく中学三年の百目鬼進士(15歳)
半袖ワイシャツに半ズボン。
背中に黒い小さめのリュックサックを背負っている。
階段を上がるたびにリュックサックの中の荷物が揺れる。
〇 屋上 プール
屋上に設置された長さ50メートル、横が6コースのプール。
四方が3メートル以上ある鉄のフェンスで囲まれている。
四隅に設置されている防犯カメラ。
防犯カメラを見上げている私服姿の二人の中学生。猿子と蟹江。
猿子「蟹江、防犯カメラ、確かに作動していなんだな」
蟹頭「夏休み期間中は、スイッチはオフにするって用務員のおやじが、言ってた」
猿子「水泳部の練習があるときは万が一の事故に備えていつもオン、だけどな」
蟹江「今日は練習ないから切ってあるだろ」
猿子「本当だろうな、信用できねえな」
プールサイドに腕組みしている蟹江と猿子。
猿子「それにしても遅いな、あのバカ」
猿子、イライラしている。
〇 校舎内 階段
屋上にたどり着き、鉄の扉を押す百目鬼。
〇 屋上 プール
鉄の扉を開けて出てくる百目鬼。
逆光が、百目鬼の視線を遮る。
百目鬼、手をかざしてプールを見る。
足を開いて腕組みして立っている蟹江と猿子
蟹江「(猿子に)あのバカ、今来ました。」
猿子はスマホで誰かと話をしている最中。
猿子、やたらぺこぺこしている。
猿子、百目鬼を見ると、スマホを切る。
猿子と蟹江の前まで近づく百目鬼、息が荒い。
蟹江、百目鬼の首を鷲掴みして
蟹頭「きっさまぁ、俺たちを何時間待たすつもりだ。何様のつもりかよ」
百目鬼「どうもすみません。お金の隠してある場所がいつもと違っていて探すのに時間がかかりましたので」
百目鬼の襟首をつかんでいる猿子が
蟹江「じゃ、金は用意できたんだな」
百目鬼「もちろんです。少し遅くなってすみません」
猿子「離してやれよ、金を持ってきたんだから」
蟹江「そうはいかねえ、俺たちは、この炎天下でずっと待っていたんだ。すこしは気のすむようにさせてくれ」
百目鬼、急いで駆け上がってきたせいか、まだ息を切らしている。
猿子「ふん、好きにしな。おい、百目鬼、先に金をよこせ」
百目鬼、二人を見て
百目鬼「あれ、もう一人は」
猿子「リーダーのことか?。リーダーは今忙しいとさ。おまえから金をふんだくったらいつもの場所で待ち合わせって寸法さ」
百目鬼、うんうんと頷いている。
百目鬼、背中にかけていたリュックサックを外し中に手をいれる。
蟹江「そのリュックに金が入っているのか、よこせ」
猿子、リュックサックを奪い取ろうとする。
百目鬼「(掴みかけていた蟹江の手を振り払うようにどかし)これは渡さない。お金なら渡す」
蟹江「ふん、そうかい。偉そうに」
猿子、百目鬼がリュックサックに手をいれ探している仕草を見ながら
猿子「ずいぶん、重いな、鉄でもはいっているのか」
百目鬼、リュックの中から百万円の札束を掴んで蟹頭に渡す。
受け取る、蟹頭。
蟹江「(にやりと薄ら笑いし)俺の番だ。ちょいと顔を貸しな」
蟹江、百目鬼の襟首を掴み、プール脇に強引に引っ張っていく。。
蟹江「百目鬼、おまえは泳ぎが苦手だったよな」
百目鬼、返事をせず、下から上目遣いで見る。
百目鬼、襟首を引っ張られながらも、黒縁の眼鏡の中央を少しあげて睨みかえす。
猿子「遅れてきた分のお礼だ、しっかりと受け取れ」
猿子、百目鬼の顔に頭突きをし、体が少し反り返ったところで、ボディにパンチを食らわし、顔にもパンチを加わす。
蟹江「すこし頭を冷やしな」
蟹江、百目鬼をプール内に突き飛ばす。
プール内に入り込む百目鬼、沈んでいく。
百目鬼、下に沈んだまま浮かんでこない。
蟹江、怪訝そうにみて猿子に近づいてくる。
プールの底面に塊のように動かない百目鬼。
浮かんでこないままの百目鬼。
猿子、蟹江、二人とも沈んでいる百目鬼を見ている。
蟹頭「死んでんじゃないだろうな」
猿子「俺たちにゃ関係ねえ。金はもらったし、さぁ帰ろうぜ」
其の瞬間に、急に水面から両手がでてきて二人の足首を掴む。
〇 中学校 正門前
《翌日》
〇〇中学校始業式会場の看板が掛けてある。
〇 中学校 校舎内 体育館 始業式会場
生徒たちが整列して並んでいる。がやがやと生徒たちの話声。
壁際に整列した教職員たちの列。
教職員の一人が、マイクを握り、静粛さを促す。
静まりかえる生徒たち。
学校長が階段を上がりステージに向かう。
ステージの壇上の後ろには「始業式」の横断幕が掲げてある。
演台の前に学校長が立つ。
〇 屋上 プール
用務員の伊達とリードに繋がれた犬がプールサイドに向かう
突然、犬がワンワンと吠えだし疾走する。
伊達、犬に引っ張られリードを掴んだまま小走りする。
犬が、プールサイドで立ち止まり、プール内に向かってワンワン吠える。
伊達、水面を見る。
驚愕する伊達。
プール内の水面に仰向けに浮かんだ二人の人間。猿子と蟹江。
〇 学校内 校舎 体育館 始業式会場
ステージ内、檀上の学校長、
学校長「皆さん、おはようございます」
生徒たちも一斉に、復唱する。
学校長「今日から二学期がスタートします。一人一人が新たな目標と「それをやるんだ」という決意を持って登校してくれたらと思います」
突然、出入り口の扉がドンドンドンと叩かれる音。
皆、一斉に出入り口の扉の方を見る。
近くにいた教職員の一人が扉を開く。
息を切らし、ゼイゼイしている伊達が上を指で刺し
伊達「大変です、屋上のプールで人が死んでいる。子供たちのようです」
教職員たち、互いに顔を見合わせる。
教職員の一人が駆け出すと、続けて三人が後を追う。
生徒たち、急にがやがやとなる。
教職員の一人が
作品名:プールサイドフィクション 作家名:根岸 郁男