第四話 くらしの中で
自分がいなくなったとき その1
今までは自分が居なくなった時のことを考えたことはなかったのだが、親しかった友人や同級生がぽくりぽくりとあちらに逝ったとの情報を知ると自分もきちんとしなければという思いが強くなった。
3年前に賃貸ししている土地の借主が亡くなり息子の名義に変更する時契約書を作り変える必要があった。依頼している不動産に勧められて公証役場で書類を作った。その際ついでに私名義の土地その他の相続の書類も作り遺言書として保管している。
娘二人にはそれぞれ相続させる土地を決めて本人にも伝えている。
知り合いのお宅では奧さんが生き残った場合、すべてとは言わないが、子供に相談をして何かを決めているようだ。但し持ち金はしっかり握っているようだがそれ以外は娘が勧めたことを実行している。
例えば家のことでも将来のことでも娘に相談している。
最近近所の奧さんが県外の娘と同居することになったことを知った。
自分が誘いかけたとのことだが娘たちの意見も大いに影響しているのではないかと思う。
これまでも毎日のように自分の行動を電話で報告しているようだから娘が口を出すのは自然のなりゆきと思える。
作品名:第四話 くらしの中で 作家名:笹峰霧子