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第四話 くらしの中で

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その4



栃木まで行き来しながらの半年が過ぎ私は初めての神戸を経験することになった。
娘は生後半年の赤子を連れていたが無職であった。インターネットで洒落たアパートを見つけたと娘は自慢げだった。
田舎者の私は神戸の生活に少し楽しさを期待していたが、実生活は甘酸っぱい悲しい思い出も詰まっている。彷彿とするその思い出ははっきり脳裏に刻まれていて、ぎゅうぎゅう詰めの箱の中のカラフルな色紙に包んだ思い出というキャラメルは今も美味しいんだ。

一日一日が様々なカタチで変化して行った。
娘はハローワークで職種を探しては替えた。
赤ん坊は離乳食から普通食へと代わり、意思を伝えられるほど順調に生育した。
私は身体はへとへとだったが気持ちは新しい生命を育てることに吾を忘れていた。

手を繋いで近くの公園まで歩き、誰にも相手にされないママらの輪を横目で見ながら幼児が遊具で遊んだり砂場でお山を作る相手をした。
子育てのときには味わったことがなかった愛しさを幼児に向けていた。

続続・人生は短いに続きます。
作品名:第四話 くらしの中で 作家名:笹峰霧子