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第四話 くらしの中で

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その三


そんなわけで、今までなるべく会うまいと思っていた老女との行き来が最近頻繁になってきた。以前先方の気持ちもわからずにしょっちゅう出入りしていて話し慣れているので、信頼関係を疑うようになっても会えば話しやすい。

陰で悪く言われていたのには自分も相手にとっては厚かましい言動があって嫌だと思われていたのかもしれない。

最近本人が話すところによると娘さんはとても頭が良かったらしい。もしかして老女への気遣いが足りずプライドを傷つけていたかもしれない。

大人になると他人の心はなかなか判りづらいものだ。

ほとんどの友人や知り合いは私宅を訪ねては来ないが、私がそれらの人を拒否しているわけではないけれど、友人といえど相手に対して配慮をするのが常識なんだろうかと思ったりする。


 完
作品名:第四話 くらしの中で 作家名:笹峰霧子