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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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メイドロボットターカス

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廊下には白い絨毯が敷かれていて、私達は足音を気取られずに済んだ。とは言え、何者かが侵入している事はもう知れているだろう。

でも、警報も鳴らないし、ロボットも出てこなかった。不気味な程、中は静かだ。

「おかしいよな…」

「ええ…」

子供達は不安そうだった。博士は、あちこちの部屋を吟味したそうにきょろきょろしていて、中将は危険がないかを常に確認していた。

その内に目の前に大きなホールが現れて、その向こうに、2階へ上がる階段が見えた。階段の上には灯りが点いていないので、その先は暗くなっていた。そこで中将が口を開く。

「俺は、恐らく“エリック”と思しきロボットに連れられて、ここを降りた。そうだ、この景色だ。だから、盗まれたGR-80001が居るとしたら、この奥かもしれない」

中将は身振り手振りをまじえてそう言い、私達はそれを聞いて、上を目指そうとした。すると、階段にパッと灯りが点く。

「ああっ!」

私達はその時、叫んでしまった。

メルバとアルバは反射的に後ずさる。さすがの博士も警戒して、銃を構えた。

階段の上には、傷付いたGR-80001が立っていて、こちらを向いていたのだ。

アルバは“ターカス”に機能停止にされた事を思い出したのか、悔しそうに顔を歪め、メルバも危機感を持って、アルバを後ろに隠そうとしていた。

中将はじっとGR-80001を見詰めていたが、やがて彼はこう言う。

「あれだ。アームストロング殿。同じロボットですよ。どうやらまだ動けるらしい」

「弱ったな…」

私達を見下ろしてGR-80001は黙っていたが、不意にこう叫んだ。

「…帰って下さい!早く…!」

その叫びは、小さかったが悲痛な響きで、彼の全身に残っている傷が、余計に辛そうに見えた。

私は、彼に向かってこう叫ぶ。

「帰るわけにはいかない!君をメキシコに戻す!」

すると、彼は後ろの暗い廊下を慌てて振り返り、もう一度繰り返した。

「ダメです!帰って下さい!“彼”が来る前に!私は、“彼”の命令を拒否出来なくされたのです!お願いします!引いて下さい!ああ!バチスタ博士!私は貴方を殺したくなどないのです!」

その時、博士は大急ぎで叫んだ。

「“ターカス”じゃ!あれは、脳細胞を移植されておる!引け!恐らくオールドマンが来たら、ターカスはただの兵器になってしまう!」

私達は博士の言う事を理解した。ターカスも、「そうです!そうです!」と繰り返していた。私達は悔しいながらも、彼の言う通りにせざるを得なかった…



表に引き返してから、博士はこう言った。

「ホーミュリア邸の、ターカスの抜け殻を連れて来るんじゃ。それか、それ以上のロボットを。それ以外に、連れ戻す術はない」