メイドロボットターカス
「うん!これは美味しいわ!蟹ざんまいの食卓なんて今までなかったのに、どれも美味しいわ!」
「そちらは蟹味噌のスープでございます、お嬢様。少しクセがありますので、ガーリックを入れ、ペッパーを強めに振っております。お口に合いましたでしょうか」
「ええ!とっても!」
テーブルの上には蟹サラダ、蟹味噌のスープ、蟹のクリームパスタ、蟹のほぐし身、蟹爪のコロッケが並び、私はその贅沢な料理を楽しんだ。
「ターカスはやっぱりすごいわ!びっくりしちゃった!」
「ありがとうございます、お嬢様」
それから寝る前までは少しだけ私は勉強をして、眠たげなコーネリアを撫でて眠らせてから、ベッドに入る。
「ターカス、おやすみなさい」
「おやすみなさいませ、お嬢様」
その時私は思い出した。
「ねえ、ターカス…今日のことよ、昼間の…」
すると、ターカスはベッドの横でかがみ込むのをやめ、少しだけ身を引いた。
「本当に、何もなかったのかしら…すごく大きな、爆発音みたいだった…びっくりして、コーネリアも怯えてしまって…」
ターカスはそこで、ベッドの脇にある、星空を映した四角い窓を振り返った。
「大丈夫です、お嬢様。もうあんなことはありませんよ」
そう言った時にはターカスは控えめに微笑んでこちらを見ていたけど、私はずっと気になっていたから、なかなか諦められなかった。
「あんなことって…?何があったの?教えてちょうだいターカス…」
「お嬢様が気に病むことではございません。もう決してあんなことは起きませんし、お嬢様に危険が及ぶことではございません。さあ、ミミと一緒にお休みになってください」
ターカスが一生懸命そう言うから、私はむしろ、「何か大変なことがあったんだ」という思いが確信に変わった。
でも、ターカスは「絶対に大丈夫」と言ってくれているし、ターカスが私に嘘をつくはずがないわ。きっと、本当に大丈夫なのよ。
私は自分を説得し、もう一度ターカスにおやすみを言った。
作品名:メイドロボットターカス 作家名:桐生甘太郎