倫五さんの「ほんのちょこっと街ある記」20/青森、弘前、秋田
【青森市・弘前市・秋田市】令和2年10月
◆青森市(人口 約28.5万人)
九州の人間にとって、東北地方の都市の中で仙台市に次いで名前が浮かぶのは青森市だと思います。有名な「ねぶた祭り」が知名度アップに貢献しているのでしょうが、しかし私にとっては思ったよりも人口が少ないのです。
青森県といえば八戸市や弘前市などの市名がすぐ出てくるうえに、地図の形も特徴のある下北半島などがあって分かりやすいですね。
八戸市では少し残念な思いをしましたが、青森市はそんなことはないだろうと期待しながらの訪問でした。
野辺地駅から乗った1両編成の電車は混雑していたので、何故1両だったのか理解出来ないままに青森駅に到着。着く前に一応スマホで市街地の地図を見たのですが、青森駅も門司港駅や高松駅と同様に頭端駅かと思いました。
しかし全国の頭端駅リストに青森駅がなかったのは、港の方向に100mほど伸びた線路があったからです。今の青函フェリーには車は乗せても列車は乗せないでしょうから、線路はフェリー乗り場に通じていた名残りなのでしょう。
青森駅に着くや否や、まず観光案内所で「青森ねぶた会館」の場所を確認すると、何と駅のすぐそば(徒歩30秒)ではありませんか。
ねぶた会館は結構新しい建物で、案内では「物産等も置いてあり、ちょっとしたミュージアムになっている」とのこと。
その「ねぶた会館」の実際の名称は「ねぶたの家、ワ・ラッセ」と言うらしく、知らない人は何だそりゃ…と思いますよね。パネルの説明によると、ねぶた祭りの掛け声が「ラッセラー」と言い、加えて「和」「市民の環」などを混ぜた名称らしいのです。
駅からは何とも拍子抜けするくらい近かったので、ホテルに荷物を預けて見学することにしました。泊まったホテルも本当に駅前の立地で、6階の部屋の窓からすぐ下に青森駅舎の全貌が見えるほどでした。
そのホテルからも歩いて1分、青森市訪問の第一義である「青森ねぶた装飾」を見学出来る時間がやって来たのです。TVでしか見たことがなかった勇壮なねぶた祭りの山車の実物は、果たしてどんなものだろうかと期待が高まりました。
ワ・ラッセへの入場料金は600円、結構安い料金で入場出来て、ついでにオマケの小さな鈴も貰いました。展示室入口から展示スペースまでは40mほどの薄暗い通路になっていて、すぐには山車を見ることが出来ない作りです。
通路を抜けて目にしたのは、普通の体育館以上の広さがあるような建物内に3台の山車とやや小さめのパーツが20点ほど展示されていました。令和2年のねぶた祭りはコロナ禍で中止になったので、その年に製作されたのは展示されている3台だけだったのでしょうか。
今回、山車を見ての第一印象は「大きい、フォルムが大胆、明るく派手、但し表面は和紙製なので軽そう…」でした。しかし案内スタッフによると実際の重さは台車まで入れて4tほどもあり、台車サイズはどれも大体同じとのこと。
青森市内には「ねぶた師」と呼ばれる方が十数名いて、何と毎年製作されているとの説明に驚かされました。
例年だとまつりが終了すると、会館に展示される山車を除いて廃棄されるとのことで「えっ、勿体ない」と誰もが思うと思います。
ワ・ラッセにはその年に製作されたねぶた山車のうち代表的な作品を翌年まで展示されるようです。案内スタッフに促されて、ねぶた本体を下から覗くと「繊細で計算された針金の芸術品」の複雑な骨組みが見えました。
青森ねぶた作者が、日本や中国の有名な場面を表現した題材をデザインし、下書きからスタートして作り上げていくとのことです。
製作費用は主に地元の企業が提供するらしく、台車にはバッチリ企業名が見えています。しかし今年は中止になったことで、ねぶた師の方々の出番と収入がなくなり、コロナ禍がこんなところにも影響したようです。
館内の大きなモニターには例年のねぶた祭りのVTRが映し出されて、見物客200万人の本来の賑わいを映し出していました。
さて、30分ほど楽しんだ後はオマケの小さな鈴をショルダーバッグに付けて、チリンチリン鳴らしながら青森市街地を彷徨です。
青森港に沿って歩くこと5〜6分、正面から見ると尖った3角形の建物が青森市の紹介写真に良く見かける「青森物産館」です。15階建ての上部は段々頼りない形になっていますが、1階スペースは結構広くてそれなりに商品数もあるように見えました。
物産館を20分ほど見物した後に中心市街地に進みました。人口に相応した街の規模でしたが、盛岡市には少し届かない感じがしました。規模の比較をしても仕方ないのですが、敢えて比べれば盛岡駅と青森駅の「駅前のイメージの差」があったのは否めません。
盛岡駅が新幹線ホームを併設していたのに対して、青森市の場合は「新青森駅」が数kmも離れていて別の物件のようです。
何となく旧型に見えた青森駅、もし新幹線駅との併設だったら一段グレードアップした駅前の雰囲気があったのではと思いました。
私が青森駅に立ち寄ったのは令和2年10月ですが、数年後に10階建ての新しい駅ビルに変身するような報道もありました。
ただ、今の青森駅を造り直したからと言って、果たして周辺地域に活況を呈するような影響を与えるかどうかは厳しいかも知れません。
全国的に見ても東北地方の人口減少のペースが速く、青森県も御多分に漏れません。新しく作る10階建てのビルの内容を知っている訳ではありませんが、3階までが商業施設で4階以上はマンションなど他の施設などでしょうかね。
新幹線の駅がくっついているならともかく、青い森鉄道の駅としては「ねぶた祭り期間」以外には乗降客があまり見込めないのでは…。
もちろん1度行っただけの私が言うことではありませんが、うまく運営されることを願いたいと思います。
青森市は20年ほど前に、国の事業として富山市と並んで「コンパクトシティ」のモデルケースに設定されて一時期話題になりました。
但し、必ずしもうまく機能しなかったと言うか、むしろ10年くらいで一度頓挫したイメージが残っているのは残念ですね。
まあそんなことは別にして、青森市の街の規模から考えても全国的に知名度が高いのは間違いないと言えます。
九州では想像できないような寒冷の東北地方、その代表都市のひとつとして訪問して良かったと思える街でした。
●弘前市(人口 約17.5万人)
弘前市は何と言っても弘前城公園の桜が全国的に有名で、八戸市よりも名前が通っていると思います。もちろん10月に桜はないので弘前に立ち寄るかどうか迷いましたが、秋田市までの通過点でもあり、せっかくなので寄ってみることに。
ただ、立ち寄るのを何故迷ったか…この地域は旅程計画に綿密さがないと、列車を使う旅程が組みにくいことが分かっていたからです。
何しろ青森駅〜秋田駅のJR特急は3時間に1本ほどなので、それに乗り遅れたら秋田空港からの飛行機搭乗にも影響するのです。
その日は青森駅から7時50分頃の弘前行き普通列車を利用、のどかな風景の中を約50分で着いた弘前駅はやや狭いながらも割と新しい建物でした。
◆青森市(人口 約28.5万人)
九州の人間にとって、東北地方の都市の中で仙台市に次いで名前が浮かぶのは青森市だと思います。有名な「ねぶた祭り」が知名度アップに貢献しているのでしょうが、しかし私にとっては思ったよりも人口が少ないのです。
青森県といえば八戸市や弘前市などの市名がすぐ出てくるうえに、地図の形も特徴のある下北半島などがあって分かりやすいですね。
八戸市では少し残念な思いをしましたが、青森市はそんなことはないだろうと期待しながらの訪問でした。
野辺地駅から乗った1両編成の電車は混雑していたので、何故1両だったのか理解出来ないままに青森駅に到着。着く前に一応スマホで市街地の地図を見たのですが、青森駅も門司港駅や高松駅と同様に頭端駅かと思いました。
しかし全国の頭端駅リストに青森駅がなかったのは、港の方向に100mほど伸びた線路があったからです。今の青函フェリーには車は乗せても列車は乗せないでしょうから、線路はフェリー乗り場に通じていた名残りなのでしょう。
青森駅に着くや否や、まず観光案内所で「青森ねぶた会館」の場所を確認すると、何と駅のすぐそば(徒歩30秒)ではありませんか。
ねぶた会館は結構新しい建物で、案内では「物産等も置いてあり、ちょっとしたミュージアムになっている」とのこと。
その「ねぶた会館」の実際の名称は「ねぶたの家、ワ・ラッセ」と言うらしく、知らない人は何だそりゃ…と思いますよね。パネルの説明によると、ねぶた祭りの掛け声が「ラッセラー」と言い、加えて「和」「市民の環」などを混ぜた名称らしいのです。
駅からは何とも拍子抜けするくらい近かったので、ホテルに荷物を預けて見学することにしました。泊まったホテルも本当に駅前の立地で、6階の部屋の窓からすぐ下に青森駅舎の全貌が見えるほどでした。
そのホテルからも歩いて1分、青森市訪問の第一義である「青森ねぶた装飾」を見学出来る時間がやって来たのです。TVでしか見たことがなかった勇壮なねぶた祭りの山車の実物は、果たしてどんなものだろうかと期待が高まりました。
ワ・ラッセへの入場料金は600円、結構安い料金で入場出来て、ついでにオマケの小さな鈴も貰いました。展示室入口から展示スペースまでは40mほどの薄暗い通路になっていて、すぐには山車を見ることが出来ない作りです。
通路を抜けて目にしたのは、普通の体育館以上の広さがあるような建物内に3台の山車とやや小さめのパーツが20点ほど展示されていました。令和2年のねぶた祭りはコロナ禍で中止になったので、その年に製作されたのは展示されている3台だけだったのでしょうか。
今回、山車を見ての第一印象は「大きい、フォルムが大胆、明るく派手、但し表面は和紙製なので軽そう…」でした。しかし案内スタッフによると実際の重さは台車まで入れて4tほどもあり、台車サイズはどれも大体同じとのこと。
青森市内には「ねぶた師」と呼ばれる方が十数名いて、何と毎年製作されているとの説明に驚かされました。
例年だとまつりが終了すると、会館に展示される山車を除いて廃棄されるとのことで「えっ、勿体ない」と誰もが思うと思います。
ワ・ラッセにはその年に製作されたねぶた山車のうち代表的な作品を翌年まで展示されるようです。案内スタッフに促されて、ねぶた本体を下から覗くと「繊細で計算された針金の芸術品」の複雑な骨組みが見えました。
青森ねぶた作者が、日本や中国の有名な場面を表現した題材をデザインし、下書きからスタートして作り上げていくとのことです。
製作費用は主に地元の企業が提供するらしく、台車にはバッチリ企業名が見えています。しかし今年は中止になったことで、ねぶた師の方々の出番と収入がなくなり、コロナ禍がこんなところにも影響したようです。
館内の大きなモニターには例年のねぶた祭りのVTRが映し出されて、見物客200万人の本来の賑わいを映し出していました。
さて、30分ほど楽しんだ後はオマケの小さな鈴をショルダーバッグに付けて、チリンチリン鳴らしながら青森市街地を彷徨です。
青森港に沿って歩くこと5〜6分、正面から見ると尖った3角形の建物が青森市の紹介写真に良く見かける「青森物産館」です。15階建ての上部は段々頼りない形になっていますが、1階スペースは結構広くてそれなりに商品数もあるように見えました。
物産館を20分ほど見物した後に中心市街地に進みました。人口に相応した街の規模でしたが、盛岡市には少し届かない感じがしました。規模の比較をしても仕方ないのですが、敢えて比べれば盛岡駅と青森駅の「駅前のイメージの差」があったのは否めません。
盛岡駅が新幹線ホームを併設していたのに対して、青森市の場合は「新青森駅」が数kmも離れていて別の物件のようです。
何となく旧型に見えた青森駅、もし新幹線駅との併設だったら一段グレードアップした駅前の雰囲気があったのではと思いました。
私が青森駅に立ち寄ったのは令和2年10月ですが、数年後に10階建ての新しい駅ビルに変身するような報道もありました。
ただ、今の青森駅を造り直したからと言って、果たして周辺地域に活況を呈するような影響を与えるかどうかは厳しいかも知れません。
全国的に見ても東北地方の人口減少のペースが速く、青森県も御多分に漏れません。新しく作る10階建てのビルの内容を知っている訳ではありませんが、3階までが商業施設で4階以上はマンションなど他の施設などでしょうかね。
新幹線の駅がくっついているならともかく、青い森鉄道の駅としては「ねぶた祭り期間」以外には乗降客があまり見込めないのでは…。
もちろん1度行っただけの私が言うことではありませんが、うまく運営されることを願いたいと思います。
青森市は20年ほど前に、国の事業として富山市と並んで「コンパクトシティ」のモデルケースに設定されて一時期話題になりました。
但し、必ずしもうまく機能しなかったと言うか、むしろ10年くらいで一度頓挫したイメージが残っているのは残念ですね。
まあそんなことは別にして、青森市の街の規模から考えても全国的に知名度が高いのは間違いないと言えます。
九州では想像できないような寒冷の東北地方、その代表都市のひとつとして訪問して良かったと思える街でした。
●弘前市(人口 約17.5万人)
弘前市は何と言っても弘前城公園の桜が全国的に有名で、八戸市よりも名前が通っていると思います。もちろん10月に桜はないので弘前に立ち寄るかどうか迷いましたが、秋田市までの通過点でもあり、せっかくなので寄ってみることに。
ただ、立ち寄るのを何故迷ったか…この地域は旅程計画に綿密さがないと、列車を使う旅程が組みにくいことが分かっていたからです。
何しろ青森駅〜秋田駅のJR特急は3時間に1本ほどなので、それに乗り遅れたら秋田空港からの飛行機搭乗にも影響するのです。
その日は青森駅から7時50分頃の弘前行き普通列車を利用、のどかな風景の中を約50分で着いた弘前駅はやや狭いながらも割と新しい建物でした。
作品名:倫五さんの「ほんのちょこっと街ある記」20/青森、弘前、秋田 作家名:上野忠司