倫五さんの「ほんのちょこっと街ある記」19/盛岡、八戸
翌日、「わんこそば」を昼食にしたかったのですが、それよりも八戸市と青森市行きを優先、ここでも八戸駅まで新幹線を利用しました。何しろ盛岡から北の青森方面に向かうのに、列車の時間表を見る限りでは予想以上に不便だと思ったからです。
◆八戸市(人口 約22.5万人)
今回、東北地方へ出掛けるまで「JR東北本線は上野駅〜青森駅まで」と私の中で認識していました。ところが自分でスケジュールを組む時に、盛岡駅から先の青森方面への鉄道路線の名称が異なることを初めて知りました。
元々は東北本線だったのが、盛岡駅〜八戸駅は「いわて銀河鉄道」、八戸駅〜青森駅は「青い森鉄道」となっていて戸惑いました。名称はなかなかお洒落ですが、東北新幹線が開通した後は鉄道運営を第三セクター形式に変える必要があったと言うことでしょう。
第三セクター路線にしたのは、運営費の半分は自治体がバックアップする半官半民でないと運営出来ないからです。
さて、到着した八戸駅では駅前の姿に驚いた…街らしいイメージが皆無で、小さな駅前ロータリーにバス停がポツンとありました。人口が22万人なのに何だろう?と思ったら、中心市街地は4〜5kmも離れていて、バスを利用しなければ行くことが出来なかったのです。
都会地なら駅から中心地まで数kmあってもおかしくありませんが、八戸駅前はまさに田舎町の駅前そのものです。その駅前の風景に驚きながらも街の中心に向かうバスに乗車、15分ほどでやっと街並みと言えるエリアに着きましたが、とても22万人の街には見えません。
ネット検索での市の資料を見れば「南部地方の中心地として栄え、漁獲高も国内有数の水産都市で、工業都市でもある」と書いてあります。それなら市街地も賑わっている違いないと思いましたが、少なくとも私が訪れた市街地は整った商業地域とは思えませんでした。
実際に港の方向にでも行ってみれば良かったかも知れませんが、何しろ駅を降りた途端に気勢をそがれたのが大きかった。後で地図を見たら八戸駅から中心市街地へ向けて支線のような鉄道路線があったのですが、初めての人間にとっては知る由もありません。
しかしせっかく来たのだから市街地を歩こうと思い、市役所周辺まで歩いてみても取り立てて特徴がありません。道路も狭くて、少なくとも期待した八戸市の街の様相としては、私の期待に添わなかったのは残念でした。
それでも何とか1時間ほど歩いた後に八戸駅に戻ろうとすると、今度は中心街からのバスの路線が15ほどもあって何が何だか…。行き先は書いてあるものの地図が分からず、どのバスがどっち方面に行くのか初めての人間にはチンプンカンプンです。
バス停にバスが到着する度に運転手さんに「八戸駅に行きますか?」と3台も尋ねる始末で、とんだ八戸市の思い出になりました。そんな八戸市街地には特筆するような内容も無く、やはり立寄ってみなければ分からないことが分かりました。
そして戻って来た八戸駅で新幹線を利用せずに「青い森鉄道」の切符を購入して青森駅に向かうことにしました。ところがこの鉄道路線にも戸惑ったことがあって、まさに行ってみなければ分からない…のです。
八戸駅では青森駅方面には30分に1本とか40分に1本とか、新幹線以外は1回乗り遅れると最短でも30分くらいは待つことになります。
たまたまホームには、青い森鉄道の2両編成・始発快速電車が出発待ちで、行き先が「大湊行」となっていました。
ホームに停まっている電車は当然青森行きと思っていたので、ちょっと不安になって2両目の後尾に乗務していた車掌さんに聞きました。
「青森に行くにはこの電車で良いですか?」
「青森だったらノヘヂで乗り換えてください。」
「ノヘヂ?」それが分かれば苦労はない…のです。
取りあえず電車を逃さないように乗車し、スマホで地図を調べることで、やっと行く方向を理解しました。その電車はたまたま下北半島の陸奥湾沿いにある大湊行きで、1日に数本運行しているようでした。
「野辺地駅」は青い森鉄道と大湊線の分岐駅でしたが、事前に調べていなかったのがいけなかった。そして10分ほどの待ち合わせで野辺地駅で乗り換えた青森行きの電車が何と1両編成、確か準急となっていたと思いますが気のせいだったかも知れません。
わずか1両なので乗客が半分以上も立っており、せめて2両編成にしてくれんかなア…と思わず愚痴をこぼしそうになりながら乗っているうちに青森駅が近づいてきました。
ところで、使えると便利な交通系ICカードですが、JR線は盛岡駅さえも使えないらしいのも何だか驚きです。どうやら一関駅あたりが境界線のようです。
そう言えば、佐賀県でも佐賀駅から長崎方面や唐津線の駅ではICカードが使えない寂しさがあります。
作品名:倫五さんの「ほんのちょこっと街ある記」19/盛岡、八戸 作家名:上野忠司