倫五さんの「ほんのちょこっと街ある記」15/堺、神戸、大津
東京や大阪市のような大都市になると、一部に息苦しささえ感じることもありますが、中堅都市にはそれが少ない。神戸市は、福岡市・札幌市・仙台市・広島市…などと同様の「丁度良い都会の暮らしやすさ」が感じられます。
◆大津市(人口 約34万人)
その日の昼食を神戸市の三ノ宮ガード下の店で済ませた後は、長浜行きの快速電車で大津市へ向かいました。そして午後2時頃に大津駅に到着、同窓会のメンバーとの待ち合わせが午後4時だったので、その間は大津市内見物です。
以前から滋賀県はいつも通過していて、20歳代の頃に比叡山に行った以外は一度も降りたことはありません。従って、今回初めての大津市も果たしてどんな街なのか楽しみにしていました。
人口が約34万人と言うことは、私が訪れたことがある街で同じような規模だと、旭川市や郡山市があります。それぞれ人口に見合った都市でしたが、大津駅に着いてまず感じたのが「あれ、駅前がまるで寂しい…」でした。
お隣の京都駅前などと比べたら、まるで過疎の街とでも言えそうな人通りの少なさではありませんか。駅周辺も特に目立ったビルも建っていないし、駅前を見る限りでは人口詐称ではないかとも思わせました。
まあ、時間があるので琵琶湖畔まで散歩でもしてみようか…駅前の通りを歩いても車はほとんど通りません。それでも10分ほど歩くうちに、琵琶湖の方から何やら太鼓の音や賑やかな演奏などがうっすらと聞こえてきます。
そう言えば街の所々に「大津市ジャズフェスティバル」の貼り紙やポスターなどが目立ち始めていました。琵琶湖に近づくにつれて大きなホテルなども増え、道路を横切る踏切があり、目の前を電車が通過して行きます。
その踏切を渡ったら急にアップテンポの曲を演奏する音量が増えて、多くの人が集まった会場に着きました。琵琶湖畔の公園を会場に、「ジャズ・ビッグバンド」30人ほどのメンバーの演奏で盛り上がっています。
その会場で見た大津市の景観は、大きなホテルと琵琶湖を巡る遊覧船の往来で、いかにもリゾート地の様相です。ついさっきまで閑散としていた大津市のイメージが一変し、やっと人口に見合った規模の街に見えました。
しばらく歩くと、100mほど離れた2ヶ所目ではライブ演奏、3か所目はエレキバンドなどが演奏していました。それにしても琵琶湖畔の公園は1km以上もありそうな広さで、湖岸にはホテルやマンションが立ち並んでいます。
岸辺には大きな噴水があったり、遊覧船も一度に数隻が行き来したりして、大きなリゾート海岸の雰囲気です。さらに先ほど見かけた電車(京阪電鉄)の駅がすぐそばにあり、構内でも数十人が演奏を楽しんでいました。
その京阪電車は大津市内では路面電車となり、市内を通り過ぎると普通の電車になって運行しています。そんな電車の形状は全国には数ヶ所ありますが、やはり初めて訪れる場所で見るとそれなりに珍しいですね。
さて、来た道とは異なる通りを歩いて、同窓会メンバーと落ち合うために再びJR大津駅に戻りました。日曜日だったことを差し引いてもやっぱり人通りは少なく、この周辺はまさに住宅地なんだ…と思わせました。
その日に宿泊するホテルは30階建てほどもあって湖畔周辺の中でも背が高く、グレードも高かったようです。ホテルでの懇親会は楽しく、丁度ラグビーWカップの準々決勝が行われる日だったので、2次会はTV観戦でした。
翌日は今回の同窓会のメイン行事とも言える比叡山延暦寺行きでしたが、私の街歩きの趣旨とは多少異なります。従って、街歩きとしてのコンテンツを考えると、大津市が当面最後の訪問都市となりました。
この5年間、表面上ではありますが20ヶ所の政令指定都市をひと通り巡ってみました。それに加えて、街のほんの一部分を見ただけとしても30ヶ所ほどの街々を訪問出来たことを喜びたいと思います。
訪れてみたい都市はまだまだ沢山ありますので、令和2年に入ってからの楽しみとしておきます。
作品名:倫五さんの「ほんのちょこっと街ある記」15/堺、神戸、大津 作家名:上野忠司