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端数報告4

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700で割ってパーセントの数字を掛けろ


 
前回、「またしばらく休むかも」と書いて終えましたが、その後にまた話すことができましたので〈端数報告〉を続けます。とりあえずこの1回だけね。
 
――って、何、また図書館に行ったわけだよ。ここしばらく雨が続いていたけれども、久しぶりに晴れたからさ。どこへ行ってもマスクを着けた人間しかいないから晴れても図書館行くくらいしかできないっていうのもなんだが。で、新聞の棚へ行き〈朝日〉の日曜のものを取った。
 
例の妖精率のデータが載っているかどうかをまず見たわけだ。去年8月から1年間、〈朝日〉の毎日曜に載ってたあれがこの7/25・8/1・8/8の3週にわたってなぜか掲載されなかったことは報告したね。
 
前回のログを書いた時点でおれは次の8月15日分を見ていなかった。が、今回、ようやく棚に置いてあるのを手にしたわけだ。で、
「どうせねえだろう」
と思いながらにめくってみると、今度はあった! 4週ぶりにまた掲載されていたのだ!
 
「えーっ!?」
 
と、驚きながらに早速トイレに持ち込んで、撮ったのが下に見せる、
 
画像:8月第1週のデータ
 
これである。なんと、この8月第1週の東京の妖精率20.9パーセント。
 
20.9! これまでずっと3パーだとか5パーとか、7パーだとかでずっと横這いだったものが20.9! すげえ! 今度の今度こそ、感染の大爆発だあ――っ!!!!!
 
――などと思った人がいるかもしれないが、おれはもちろん全然そうとは感じなかったわけでした。《20.9》《22.8》という数字こそ意外に感じはしたけれど、でも同時に、
 
「おいおい、なんだよこの数字は。計算したら全然合わねーんじゃねえの?」
 
とニンマリ笑いながら考えた。そこでこいつは棚に戻して、代わりに別の日の分をトイレに持ち込み撮ることにした。適当に抜いてみたのが8月7日のだったのだが、それが下の、
 
画像:8月6日の感染者
 
これである。ただし見てほしいのはこの画の中でただ一箇所、8月6日の東京での新規感染確認数が《4515》とあるとこだけだ。
 
4515。この日、それだけの妖精が東京で検査により確認された――って、言葉を言い換えただけだが、最初の画の《20.9% 94963件》または《22.8% 81073件》と2枚目の画の《4515》が計算したときもしもまったく合わないようだと、話がおかしいということになる。
 
わかるかな。簡単な算数の問題なんだが、〈検査数〉の《94963》を700で割って〈陽性率〉の《20.9》を掛ければいいのだ。あるいは同じく《81073》を700で割って《22.8》を掛ける。
 
電卓くらい持ってんだろう。やってみたまえ。すると答は、
 
 
   94963÷700×20.9=2835.3
   81073÷700×22.8=2640.6
 
 
となる。《2835》《2640》。これは《4515》とかけ離れている。3分の2以下だ。
 
それはおかしい。こないだまでは、データを計算した数字がテレビが言ったその週の平均と差があることは決してなかった。こないだ――つまり、3週間のブランクの前まで。
 
前回見せた、
 
画像:20年7〜12月のデータ
20年7月 8月 9月 10月 11月 12月
 
画像:21年1〜6月のデータ
21年1月 2月 3月 4月 5月 6月
 
この画をもう一度見せよう。たとえば、アタマの去年7月だ。《28764》を700で割って《6.5》を掛けると答は《267》。その頃テレビは「東京の今日の感染者260」とか「270」などと言っていた勘定になる。こう書いたらあなたもおそらく、
「ウンそのくらいだったと思う」
と言ってくれると確信する。
 
次に今年の4月末を見てみようか。《44424》を700で割って《8.7》を掛けると《552》。その頃テレビは、「昨日は550人、今日は560です! これはゴールデンウィークがどうのと言える状況じゃありません!」だとか言っていた計算になり、やはりあなたは、
「ウンそのくらいだったと思う」
と言ってくれると確信する。
 
この新聞に掲載される7日間の検査数を700で割って妖精率を掛けた数字がニュースが伝えるその週の平均新規確認数と違うことは有り得ないのだ。と言うか、ふたつが違うことはあってならないことなのだ。そしてこれまでは違いはなかった。先月。この7月までは。
 
だが、
 
画像:データ拡大1 2
 
これはどうだろう。左の画のふたつのデータを計算しても《2835》《2640》としかならず、《4515》の3分の2以下。まるで違うのはどういうわけか。
 
わかりますね。厚労省はまったくの嘘をつき始めたということだ。前回に書いたように今月になって、急にそれまでを大きく超える妖精が出たように言い始めたが、それは完全なフカシってことだ。今月の第1週に94963人、一日あたり13500人を東京で検査したのは仮に本当のことだとして、日に4400や4500の妖精を確認したというのは大嘘だろう。本当は、5パーセントの625人というとこだったのではないか。
 
だがそれをマスコミには、
「昨日は4400人! 今日は4500人! 今度こそ感染の大爆発です。我々があれほどやめろと言ったのにオリンピックなどするからですよ!」
と発表する。一方で妖精率と検査数の公表も続けなければならないわけだが、そこでハタと困ってしまう。
 
《4515》と言うためには東京都民を日に10万人検査しなければならないわけだが、無理だ。どう頑張っても、13500が限度だ。それにまさか《700000》なんて数字を新聞に載さすわけにはいかない。
 
てわけで、嘘をつくのなら妖精率を《33%》とするしかないことになるが、それもいかん。何しろこれから、5千、7千、1万、2万と下駄を上げていく作戦なのだ。今から33パーセントじゃ、来月にも「妖精率120%」と言わなきゃならないことになる。
 
というので《20.9》と、低めの数字を出すことになった。そんなことをするからここでこのおれに今、
「計算すると合わねえぞ」
と書かれてコッソリ読んでいる何十万という者に知られることになるのだが、先方はそんなの夢にも思ってないわけだからな。
 
――と、わかるだろう。厚労省はとうとう真っ赤な大嘘を発表するようになったのだが、それをやるから計算が合わなくなっていずれ露見したときに言い逃れができなくなる。けれどそれがわかっていない。
 
こないだまでは【〈銀の当たり〉を集めるにはチョコボールを買わねばならない】という考えでいて、東京で日に8千を検査して5パーセントが妖精ならば、
「今日は400」
と言ってきた。この数字で嘘をついたら〈金の当たり〉と換えてもらえん、という考えでいたわけだ。
 
作品名:端数報告4 作家名:島田信之