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倫五さんの「ほんのちょこっと街ある記」6/岡山、倉敷、福山

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【岡山市・倉敷市・福山市】平成30年4月
 
◆岡山市(人口 約72万人)
 
岡山県は瀬戸内海に面した温暖で少雨な地方…そして上質な果物の産地のイメージがあります。モモやマスカットなど、贈答品としても人気のようです
 
私が岡山市に行こうと思ったのは、政令指定都市であるというのが一番の理由でした。それまでほとんど縁がなかった岡山市が、はたしてどの程度の規模なのか確認したかったのです。
 
中国地方の雄として、広島市と比較してみたい部分も結構ありました。
岡山県には人口47万人とされる倉敷市もあり、2つの街に行けるので都合が良かった。また、私の中では東海地方や湘南地方と並んで、瀬戸内地方は「明」のイメージです。瀬戸内海国立公園は、九州の雲仙や霧島と共に昭和9年に日本最初の国立公園に制定されています。
 
そして岡山と言えば、なんと言っても「桃太郎」。日本人なら桃太郎のお伽話を知らない人は恐らくいないでしょう。

新幹線(のぞみ)を利用したら、博多駅〜岡山駅間は約1時間20分で到着です。岡山駅前の広場には「桃太郎とお供の銅像」が設置されて「いらっしゃ〜い」と出迎えてくれます。
 
駅前からまっすぐ伸びた大通りの名称は、岡山そのものの「桃太郎通り」。何だかネーミングが単純ですが、約1km先まで片側3車線の直線的な大通りは印象的でした。
桃太郎通りには所々に高層ビルもあり、政令指定都市の規模であることを感じさせます。
岡山駅前は広島市と比べてもそれほど遜色なく、やや車は少なかったものの立派な通りに見えました。
 
当日泊まるホテルは大通りの突き当り付近にあり、時間も早かったので荷物だけ預かってもらいました。その付近から先は昔ながらの道路と思われる狭い道で、そのまま岡山城方面へ続いています。
 
狭くなった道路を進むと15分ほどで岡山城に行けるとフロントで聞き、早速出かけました。歩き始めてすぐに川(旭川)の流れに沿った道になり、ゆっくり左にカーブしています。
 
200mほども歩くと、黒く塗られたように見える岡山城がすでに見えています。近付くにつれて旭川と同化しているように見えた岡山城ですが、実は旭川は天然の外堀でした。近くに行って初めて分かったのが、お城への入口が川から反対側に回り込んだ裏側にあること。
少し戸惑いながらも城門をくぐると、敷地は狭く、天守の中に直接入れるのではと思うほどです。
 
見た目が黒いので「烏城」とも言われていて、それを聞くと「白鷺城」の姫路城と比較してしまいます。そばで見るとやや小さく感じる天守閣ですが、その壁が黒いので精悍さを感じさせます。
 
江戸時代になる直前の1957年の築城となっていて、当時の流行の色が黒だったのでしょうか。もちろん全体が黒色ではなく、側面の漆喰はあくまで白色で、そのコントラストがきれいですね。
 
せっかく岡山に来たなら、そのまま目の前にある後楽園を見物しようと思うのが普通だと思います。しかし翌日には倉敷市に行く予定もあり、私としては「街中を見る」ために中心街まで歩くことにしました。
 
しばらく歩いてみるとそれなりに大きい市街地でしたが、駅前に比べてやや古い感じをうけました。街なかは昔からの建物などもあり、趣のある喫茶店など懐古的な場所も多い印象でした。
 
大通りを歩くうちに「←岡山県庁」の標識があったので、角を曲がって県庁を見てみることに。「岡山県なので」近代的な建物かとの予想に反して、建てて数十年は経っていると思われる建物でした。
 
県庁があった場所も、何故か裏通りのような道に面していたのは意外でした。もしかしたら、県庁だからと言って街の中心やメインの通りにあるものと思うのは間違いですね。
 
岡山と言うと雨が降らないイメージを持っていたのに、今にも雨が降りそうな天気でした。とりあえずしばらく市の中央部を巡り、そろそろ夕刻になったのでホテルに戻ってチェックイン。
 
受付の数人のうち、20歳くらいの外国人女性の研修生(見た目は東南アジア系?)の対応でした。研修生は別に構わないのですが、横で指導する男性が必要なくらいのレベルだったのはいただけない。
何だか私が練習台になっているようで、「ちゃんと研修を済ませて対応して…」と言いたかった。
それはともかく、たま〜に海外からの研修生に出会うことがあり、頑張っているなと思いますね。
 
ホテルを出る頃からポツンポツンと雨が降って来たので、ホテルで傘を借りて食事のために外出。歩いて10分ほどのアーケード街には飲食店もあり、「大阪名物・串カツの店」の看板が目に入りました。
 
岡山で何を食べるか決めてはいなかったので、そのまま「二度付け禁止」の串カツ屋さんへ。大阪名物を岡山で…?とは思いましたが、未経験だったこともあり、フラッと寄ってみることに。
 
その店ではたまたまTVでプロ野球中継、阪神VS中日の試合の放送中でした。店のご主人に「岡山では阪神が人気でしょうね?」と聞くと「そらそうでしょう」と素直な返事。
 
つい、「昨年優勝した広島の監督も、西武の新監督も佐賀出身でして」と一応自慢して来ました。まさかその年、両リーグで優勝監督になるとは夢にも思わなかったのですが…。
 
ところで、岡山の言葉はどことなく半分くらい関西弁が入っているようにも聞こえます。それなら食べ物も大阪名物があっても変ではない…串カツ屋さんがあったのは当然だったかも。
 
食事を済ませてアーケードを出る頃には雨もやんで、本格的な雨にはなりませんでした。やはり「岡山県は雨が少ないイメージ通り」と思いながらホテルに戻りました。
 


◆倉敷市(人口 約47万人)

さて翌日は天気も回復、朝8:30頃に岡山駅から出て、全国的にも名前が知られている倉敷市へ。岡山駅から倉敷駅まで数駅、普通電車に乗って約15分で着きました。
 
私たちが持っている倉敷市のイメージは、言わずと知れた「美観地区と川舟流し」です。白壁の建物の間をぬって運行している「観光川舟の情緒」は、誰もが一度は経験してみたいでしょう。
 
50年以上も前、中学生の頃に親戚に連れられて行った大原美術館の「ゲルニカ」は忘れられません。作品の一部と説明された記憶がありますが、たとえ一部でもピカソの「生の作品」だったのです。
 
わずかな記憶を辿れば、大原美術館の前には雰囲気の良い河畔に柳の枝が揺れていたような…。自分の中にわずかに残っている倉敷の風景を思い出しながら、倉敷行きを楽しみにしていました。
 
美観地区はもちろんのこと、駅前も観光都市にふさわしい賑やかな街では…との想像していました。そんなことを期待しながら駅から外に出た途端、「人口47万人の街」のイメージが瓦解!
「ありゃ、駅を間違ったかな…」と思うくらいで、駅の前も反対側もいかにも寂しい景色でした。それは何か問題があるとかではなく、「私にとっての47万人の街の感覚」とは異なったのです。
 
私の中では、その人口なら駅前には広い通りがあり、人が行き交い、交通機関も華やかです。背が高く大きなビルが3つ4つ建っていて、私を迎えてくれると期待していたのです。