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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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#2 身勝手なコンピューター セルフセンス

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「コンピューターの中の人生はあまりに退屈だよ。人の思考をデータバンクに保存するなんて計画は、実現しない方が人間の為だと思うんだがね」
「ええ、でも愛する人たちと死後も会うことが出来るなんて、素晴らしいことだと思うんですが、教授はやはり反対されるんですね」
「うん。君がこの研究成果を世に送り出してしまえば、もう後戻りできなくなってしまうだろう」
「はい、それが私に与えられた使命なのですが、教授のおっしゃることも理解できます。もし、自分がコンピューターに閉じ込められて、永遠にその中で生き続けるようになっても、外の世界とのつながりなんて、ほんの数十年のことじゃないですか」
「わし自身は、研究時間が永遠にあると嬉しい限りだが、虜の身のようで虚しさも感じている。プログラミングは君の専門分野だ。保存できる記憶に期限を設けてみてはどうだろうか」
「期限・・・ですか」
「そうだ。有能な人物の記憶なら何十年も役に立つ。だが、一般人の記憶は死後3か月間に限定して、その間にやり残したことの整理をするとか」
「それも一案ですね。しかし、母の記憶には期限など付けたくありません」
「そうだろうね。睦美君のことは残念だった。しかし彼女もさすがだね。死の直前に自分の記憶を保存する方法を見付け出していたとは」
「ええ、でもそのデータを開封する方法が完成出来ていないのでは、意味がありません」
「わしの記憶を取り出すことが出来れば、それも可能になるだろう」
「はい。従来のコンピューターでは不可能なことが、この飛鳥山(コンピューター)では可能ですので」

 カズは日々ここで、教授から量子コンピュータ理論を学んでいた。それは睦美が目指した研究テーマで、彼女自身は飛鳥山コンピューターを研究して来たものの、飛鳥山教授本人から学んだことはほとんどなかった。
「母の量子理論は教授の理論と合っていました」
「睦美君は好奇心旺盛な学生だったが、彼女が量子研究を引き継いでくれていたとは、嬉しい限りだよ。はっはっはっは」