「ほんのちょこっと街ある記」5/北九州、鹿児島、下関
そして、当時の日本情勢や薩摩藩出身の人物像を紹介する「維新ふるさと館」にも寄りました。映像やドラマ仕立ての動くモニュメントなどで、明治維新の頃に薩摩藩から出た人材を紹介しています。
維新ふるさと館の後は、そろそろ滞在時間も無くなってきたので鹿児島中央駅へ向かいました。駅では新幹線の発車時刻まで30分ほど時間があったので、賑わう駅舎の中に入ってみることに。
駅ビルの5階から眺める大通りの向こうには、でっかいサイズの桜島が鎮座しています。その景色は、いかにも「ここは鹿児島市でごわす!」というメッセージ性を持っていました。
政令指定都市に近い、もしかしたらそれ以上のイメージを与えてくれた鹿児島市。街には有名な人物像が点在し、約60万人の人口に見合った規模に満足、印象的な都市でした。
【下関市】平成29年10月
◆下関市(人口 約26万人)
下関市と言えば一番に思い出すのは「ふぐ」なのは間違いなく、加えて北九州・門司の対岸の街と言うこと。どうしても北九州市の門司地区と1セットで見てしまうのは仕方ないと思います。
数ヶ月前に北九州市を訪ねた際に、本当は下関市まで足を延ばしたかったのですが、日帰りだったので出直しました。今回、小倉駅のホームで鹿児島本線から山陽本線に乗り換え、関門トンネルを抜ければもう下関駅です。
鹿児島本線と山陽本線は繋がっているのでそのまま行けると思いましたが、乗換えが必要だったのですね。小倉駅から出た下関行きの電車はたまたま3両編成で、通勤時間帯でもなかったのにかなり混雑していました。
まあ、短い乗車時間だったので特に気にもならないうちに下関駅に到着、駅の前には初めて降り立ちました。30年ほど前に車で行った赤間神社や市内を見学してフグ料理を食したこともあったのに、もうほとんど覚えがありません。
下関駅に関しては中学生の頃から列車では何度となく通過、この10年間でも新幹線に乗ってもすべて通過です。そう考えると、北九州市へ行くことと大体同じように、ほぼ初めてと言っても間違いではない。
駅を降りて市役所方面への大通り沿いには少しは高い建物も見受けられますが、交通量はそれほど多くはありません。26万人くらいあればもう少し賑やかでも良さそうなのに…メインストリートは別の通りかも知れんと思いながら歩きました。
駅前を進むと間もなく高い塔が見え、15分ほど歩くうちに関門海峡を望める「海峡ゆめタワー」と言う建物の近くを通過。そのまま大通りを進み、途中には水族館もありましたが、目指した場所は私が行ってみたかった「唐戸市場」でした。
歩いて行く途中には右手に関門海峡の海が広がり、対岸には門司のレトロ地区が何となく見えています。事前にネットで少し調べていたのは、市場内では漁業関係者ばかりでなく、一般の人も自由に行動出来ると言うことでした。
唐戸市場の横のエリアは、関門海峡に面した芝生のような堤防のような、いかにも公園風な楽しいスペースが数百m続いています。
そして目の前には(実際には1kmくらい向こう)関門大橋が堂々たる威容を見せて九州と繋がっています。
そろそろお昼時でもあったので、その唐戸市場の横のエリアはお弁当タイムを楽しむ人たちにとって恰好の場所でした。お弁当は、私が見てみたかった市場の中に数10軒もある鮮魚卸屋さんが営む弁当販売所で購入出来ます。
150m四方はありそうな市場が多くの人たちでガヤガヤと混雑、いかにも新鮮でお手頃の料金なので、つい手が伸びます。私は800円の海鮮丼を購入、缶ビールを合わせても1,000円ほどの昼食を、大勢の人で賑わう芝生風堤防でいただきました。
佐賀市の人間にとっては、リゾート地のようにも見える海岸沿いの芝生で食べる海鮮弁当は憧れますね。関門海峡の風景も含めて、佐賀県民自慢の「イカで有名な呼子」とはまた一味違うシチュエーションが楽しめます。
歴史を考えると、幕末期の長州藩の藩士たちは、この付近をどんな気持ちで眺めていたのでしょうか。「この付近は江戸末期の頃には長州と英国海軍が大砲を打ち合った場所だなァ」などと思いやれるのです。
そんなことを考えながら海峡の向こうに見える門司港レトロ地区を見ているうちに、あっちにも行ってみたくなりました。車で来ている訳でもないので、唐戸市場のすぐ横の連絡船乗り場から20分単位で出ている関門連絡船に乗ることにしました。
下関から門司までわずか5〜6分の乗船時間ですが、景色が良いのでもう少し乗っていたいのは誰もが思うところでしょう。定員が25〜30人ほどの連絡船で、たまたま女性の船長さんでしたが、潮の流れが速いので見た目よりずっと操舵が難しそうです。
◆北九州市門司地区
さてさて到着した門司港レトロ地区は主に大正時代に栄えた場所のイメージがそのまま残り、全体的に何となくお洒落な雰囲気が漂います。その日はイベント開催中で、周辺エリアではマルシェや数多くの飲食店の出店なども出ており、散策しながら40分ほど楽しみました。
チャプチャプと音が聞こえる港の岸壁の周辺に出ている既存のお店やイベント用のブースには、若い人たちも大勢集まっています。
現代の若者でも、デジタルのテーマパークとは違った、どこか大正ロマンを感じさせるこんな場所への憧憬はあるのでしょうかね…。
あるテントブースに欧州のコインがザクっとまとめて売ってあるのが見えたので、つい100枚ほど入っている袋を安く購入しました。私が持っている各国のコインに加えてみたら、20ヶ国ほどのコインの種類にもなり、高い価値の物は無くても何となく嬉しい気分です。
佐賀へ帰るために、レトロ地区の門司港駅から電車に乗り込んだのですが、行き止まり駅(頭端駅)から乗るのもたまには良いものです。博多駅を通り過ぎても快速電車が走っているのでうまく使えば特急料金も不要、交通費が節約出来る区間でもあります。
佐賀市から北九州市や下関市を訪れるのは日帰りでも出来るので、何かの時には気晴らしに出かけるのに丁度良いかも知れません。
作品名:「ほんのちょこっと街ある記」5/北九州、鹿児島、下関 作家名:上野忠司