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「ほんのちょこっと街ある記」5/北九州、鹿児島、下関

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【北九州市】平成29年1月、3月
 
◆北九州市(人口 約96万人)
 
日本での初めてだったでしょうか、大規模な合併のはしりとも言える「北九州市」。中年以上の方なら、昭和38年に5つの市が合併して誕生したのはご存知でしょう。
 
ところで、何のメリットがあって当時の5つの市が合併したのか、よく分かりません。合併当時の人口を合計すれば100万人を超えたようで、福岡市より前に政令指定都市になっています。
 
政令指定都市と言う名称をステイタスと考えての合併だったのでしょうか。その中で地域的に、そして歴史的に考えると、門司と小倉は明治以前からの歴史ある地域です。
 
八幡は国営の製鉄所が出来た明治後期から大きく変遷した地域。そして戸畑、若松は、昭和になって石炭産業が華やかりし頃に頭角を現した新興地域と言えます。
 
九州の最北端のここは「北九州工業地帯」として、日本でも有数の工業地域なの間違いありません。ただ私としては何故かこれまで「行ってみたい…」と言う気にはならなかったのも不思議なことです。
 
北九州市は人口減が言われて久しく、中心地の小倉でもデパートの閉店などの話題があり寂しいですね。福岡市と比較出来ないものの、今となっては何だか無理に合併したようにも感じます。
 
これまで門司港付近とか小倉の一部には行ったことはあっても、特に北九州市には出かけていません。とは言え、全国の政令指定都市を回ると言う目標を持つと、改めて北九州市を歩いてみたくなりました。
 
実際に北九州市のそれぞれの市街地に行くと、各地区がしっかりした地域を形成して、悪くはありません。それぞれの駅前の周辺地域を歩いてみても、個性があって面白い街々のように感じられました。
 
ただ、市として広い面積のどこが中心地域なのか、曖昧ではっきりしないところが難点でしょうか。政令指定都市となるために北九州市が合併したなら、今更ですが何となく間違いだったかも知れません。
 
もちろんそんなことを言っても仕方ないので、とりあえず日帰りで出かけました。
それぞれの地域で1時間半〜2時間ほどの滞在時間でしたが、若松を除く4つの地域に行きました。
 
福岡方面から順番に、黒崎−八幡‐戸畑‐小倉‐門司の各駅に降りることに。地図で見る限りでは内容がよく分かりませんが、それぞれの地域が適当に離れているのが分かります。
 
【黒崎(八幡)】
八幡は工業地帯そのもののイメージがあり、北九州市の名称が一番似合うかも知れません。その中で「黒崎」は八幡の中では商業的な地域ではないかと思っていたので、まずは黒崎駅で下車。
 
駅前通りは歩道にアーケードがあったものの、予想に反して人通りも少なく八幡の中心には見えません。周辺の雰囲気もおとなしく、都会地のイメージと思っていた分、やや拍子抜けだったかも。
 
少し歩くと国道3号線と交差していて、その周辺までは何とか街の形態にはなっていました。私が勝手に商業地域と思っていただけで、実は八幡の中ではむしろ文化的エリアと感じました。
 
【八幡】
黒崎を早めに引き揚げて、次に進むための電車に乗りました。JR電車は結構短い間隔で走っているので、移動には助かり10分足らずで八幡駅へ。
 
次の「八幡駅」前には高層ビルが2棟建っており、何とか街としての面目を保っているようでした。もともと八幡は工業地域で、工場などの規模は相当デカイのでしょうが、私にとっては別の話です。
 
八幡駅周辺を歩いてみましたが、駅前の高層ビル以外に特徴的なランドマークも見当たりません。小倉と並んで中心地のイメージがある八幡ですが、私にとってはこの周辺も期待外れの感がありました。
 
「北九州市」と言うカテゴリーで見ると、八幡の中心となるのは大規模な工場群なのでしょう。そのことを考えないと、私が見たい市街地とのズレを補うのはもともと無理があるのは仕方ないですね。
 
当然のこととして工業地域としては有無を言わさず日本の中でも不動の地域であると思います。やはり八幡を語るには、八幡製鉄所(新日鉄)の工場群に触れるのが一番なのでしょうか。
 
途中、車窓から見えた「スペースワールド」では、実物大スペースシャトルの撤去が始まる時期でした。テーマパークの盛衰も各地から聞こえて来て、コスパに合わなくなっている施設も多いのでしょうね。
 
【戸畑】
私はよく知らなかったのですが、駅前は思いがけなく商業地域に見えて、落ち着いた街のようです。駅前広場を囲むような形で歩道橋があったのは「予想外に街なのだ」と思わせました。
 
ただ、小倉・門司・八幡の他の地域に比べてどんな特徴があるかと聞かれると、答えに窮します。私が戸畑の名前を知ったのは若松〜戸畑を結ぶ「若戸大橋」が完成してからでしょうか。
 
もともと明治期までは半農半漁を代表するような、割とのんびりした地域だったようです。その実、八幡製鉄所との関連で、明治後期頃から鋳造・製鉄・ガラス等の工業も盛んになっています。
 
いろいろなお祭りや芸能的な行事もあるようで、思いのほか独特な文化を持っている街のようです。ただ、わずかに駅前を見ただけの感想では心もとないので、なかなか表現は難しいですね。
 
今後の戸畑の立ち位置として、北九州市内ではより文化的な方向に進む意向があるように思えます。次の機会に若松地区に行く予定ですので、少し踏み込んでもう一度戸畑を見てみることにします。
 
【小倉】
一度は行ったことはありましたが、北九州市の中心地である小倉を再訪するのは楽しみでした。小倉駅に下車して、すぐ目にするモノレールはインパクトがあり、100万都市にふさわしい雰囲気です。
 
小倉城の方面に歩いて行くと、なるほど期待に違わない、それなりの都市のイメージがあります。ただ、駅周辺の幹線道路の車両通行量は大都市の玄関口にしては少なく、地方都市のように感じます。
 
どうしても100万都市という感覚で見てしまうので、それが物足りなく感じさせるのでしょう。所々に背の高いビルが見えていても、歩道を歩く人も少なく、駅前の迫力に比べたらやや残念です。
 
良い方に考えれば、メインの道路から100mほど入り込む小倉城周辺がゆったりして落ち着けること。小倉城そのものは訴求力があり、小倉藩は細川家が治めていたことも初めて知りました。
 
小倉城やその周辺は文教地区としてのイメージが感じられ、良い雰囲気で散策出来ました。北九州市全体として街を整備してきたなら、小倉の街並みは最も恩恵を受けているんでしょうね。
 
北九州市の一員と言うより人口30万人の「小倉市」単独ならもっと存在感があるかも知れません。新幹線の窓から見る時は、都市高速道路なども見えて、「小倉」は大きな街なんだ…と思わせます。
 
小倉については、もう少し街の中心部分(繁華街)に行ってみても良いかな、と思います。小倉単独でも地方中核都市のレベルは十分にありそうに思えるので、何となく興味を持たせてくれます。
 
【門司】
今回は有名な「門司港駅」周辺ではなく、初めて「門司駅」に行ってみました。よく混同されますが、門司港駅は特別な駅で、門司駅は一般的な駅と言えるでしょうか。