ほんのちょこっと街ある記 1/札幌、小樽、余市、富良野、旭川
しかし私の場合はどうしても人口規模から街を見るので、小樽市の人口の少なさが気になったのです。
◆余市町(人口約2万人)
そろそろ午後3時になるという頃に小樽市を出ましたが、本当はもう少し小樽にいても良かったのです。しかし前年のNHK朝ドラで人気があった「マッサン」の舞台である余市に足を延ばすことにしました。
女房殿が番組をよく見ていて、ウイスキー工場を見学してみたいとの気持ちがあり寄ってみたのです。
余市は小樽から約10kmで、そんなに時間もかからずに到着しました。しかしニッカの工場に入場する頃はすでに午後3時半過ぎ。50〜60台は入りそうな駐車場に10台ほどの駐車で、見学時間が残り少ないことを示していました。
工場内は「マッサン」の舞台としての期待を裏切らない建物とTVドラマの雰囲気がありました。一時的にも時間を忘れてしまい、つい長居をしてしまうようです。
工場の雰囲気は、小樽と同様に昭和時代を彷彿とさせる非日常的なレトロ感がいっぱいです。
やや古い木造建物内部の展示室は薄暗く、博物館の中にいるような情緒などを楽しめました。
そんな中、見学に浸っていた女房殿を急かし閉門時間を過ぎてやっと門の外に出ました。とうとう最後の1台になっていた車を駐車場から出そうとして、「あれっ駐車券がない!」 車の中にも服のポケットにもバッグの中にも駐車券がない!
駐車場の出入り口の小屋にはすでに管理人さんの姿はありません。
あたふたしていると、30mほど離れていた所から管理人らしきおじさんが近寄って来ました。
私たちの様子が見えたのでしょうか、手動でバーを挙げて通してくれたのは助かりました。あと2〜3分駐車場に着くのが遅かったらどうなっていたのやら。
さてさて余市を出てから、小樽市へ逆戻りして定山渓温泉へ。
ナビの案内に従って札幌市の市街地をかすめ、その後はほとんど山の中の道路を約30分。定山渓温泉へひたすら走り、すれ違う車と言えば4〜5分に1台くらいではないかと思うほど。
そろそろ日が暮れると言う時間でしたが、なんとか宿泊するホテルにたどり着きました。
◆富良野市(人口約2.3万人)
札幌から旭川へは高速道路に乗れば簡単でしょうが、当然のごとく富良野を経由しました。
富良野と言えば何と言ってもあの景色……悠然たる大地全体を覆う花畑の広がりの風景です。北海道を案内するパンフレットには、高い確率で富良野の花畑を掲載していますね。
途中、ここもTVドラマで有名だった「北の国から」の舞台になった場所に立ち寄りました。原作と脚本を手がけた倉本さんゆかりの建物と言われる森の中のカフェで一服。
森林浴を楽しめる木立の中を歩く植物好きの女房殿も何となく嬉しそうでした。付近は雑木林と思いきや「雑木林風に整備された森」の感じでしたが、気持ちが落ち着きました。
30分ほど休憩した後、上富良野と書かれた道路標識で国道の分岐点を左折。
特に目的の場所もなく、国道沿いに看板が出ていた「藤田ファーム」に立ち寄りました。
もともと荒野であった広大な土地を切り開いて作られた富良野のラベンダー畑。デザイン性に溢れた花のキャンパスは素晴らしく、壮大で一望のもとに観覧できます。
立寄った藤田ファームの畑では、まだラベンダーは見ることは出来ませんでした。ファームの資料には「富良野地方ではオイルを得るラベンダーを栽培した」との説明があります。
もともとアロマオイルの採取用として栽培されたとのことでした。
しかし昭和50年代の頃から人工香料や廉価な輸入品が増加して経営も厳しくなったようです。
挫折しそうになった時にラベンダーを乾燥させて袋に入れた「香りの袋」を開発。「自然の香り」を前面に出した商品が親しまれ、少しずつ息を吹き返したとのことです。
その後は「富良野ブランドとしての芳香剤や石鹸」など、自然の香りの商品が人気のようです。あのラベンダー畑も消滅するのを回避出来て、毎年見事な姿を見せています。
上富良野から旭川に向かう車窓から見える山地(大雪山系?)の上部に雪が残っていました。
「5月なのに北海道ならではの景色だ…」と女房殿と話しました。
◆旭川市(人口約34万人)
午後4時頃に旭川市に到着、北海道第2の都市と言うことで、私の楽しみの一つでした。人口から考えてみても、それなりに妥当な街の規模には見えました。
事前に市街地の地図は簡単に見ていましたが、やはり明治以降に設計された街です。札幌市ほどではないものの道路が碁盤の目のようになっている街づくりとの理解でした。
小樽市と同様に、車での訪問だったので最初は街の玄関である駅には行きませんでした。私としては、やはり気になる都市の駅周辺はどうしても見ておきたい。
ホテルに車を置き、少し休憩した後に歩いて15分ほどの旭川駅へ。
旭川駅はどうやら建設してまだ数年しか経っていないのか、真新しいきれいな駅です。
駅内の通路も土産品売り場も広く、駅前広場も歩くのに楽しいスペースが確保されていました。駅前の商業ビルにもつながっていて、ちょっとしたプロムナードのイメージが良かったですね。
ただ、35万人規模の都市にしては人の流れが寂しかったのが残念でした。
訪れた時間帯が人の少ない時間だったのか、大きな駅の建物とのバランスが取れていない気がしました。
とは言っても駅前の広い歩道から続いた商業街では、駅での寂寞感に比べたらさすがに賑やかでした。歩行者を優先する道路作りを意識してあるのか、車の通行を規制してあったようです。
北海道に来たのでカニを食べようかと女房殿と話しながら、夜半の繁華街を回って店を探すことに。
ただ、カニと限定した為に適当な店が見つからずに、玄関先が和風の小さめの店で夕食を済ませました。
さて翌日、九州に帰るのに、福岡空港行きの出発時間が午後4時30分頃。
高速道路利用で新千歳空港までの時間はどれくらいか、ホテルのスタッフに聞いてみることに。「4時間くらいでしょうか…。」との返事。
4時間かかるとしたら、お昼前には旭川を出る方が安心と思い、11時30分頃には旭川を離れること。本当は有名な旭山動物園にも行ってみたかったのですが、飛行機に乗り遅れるのはマズイ。
高速道路ではスムーズに走行、途中で簡単な昼食を済ませても、札幌通過の頃はまだ午後1時40分頃。
あら〜、何と午後2時前には千歳ICに到着、つまり実質2時間ほどで着いたのです。
その距離を事前にチェックしなかったのが大きなミスでした。後で確認したら実は約180km・2時間くらいだったので、午前中に旭山動物園に行けば良かった…。
着いてしまったのは仕方ないので、新千歳空港で余った1時間30分ほどを過ごしました。しかしその時間はそれほど悪くはなく、むしろ楽しい時間でした。
ANAサロンの窓から、世界の飛行機の多彩なデザインを見ながら、離着陸の様子が見えました。そしてチョコレート製造ブースや子どもエリアを見学するなど「新千歳空港の見学会」が出来るかも。
作品名:ほんのちょこっと街ある記 1/札幌、小樽、余市、富良野、旭川 作家名:上野忠司