フリーソウルズ Gゼロ ~さまよう絆~
湊の運転する覆面車が車列の横を猛スピードで通りすぎ急停車する。
車を降りて病院前の鈴木を注視する湊。
湊 「(呟くように問う)あれ、鈴木じゃないか・・・」
湊 「鈴木!!!(病院の向かって叫ぶ)」
遠くから聴こえてくる湊の声にほんの少し反応する鈴木。
あげた手の指先に熱を感じる鈴木。
指先に光が当たっておりキラキラと発光する。
光が来る方向に目をやる鈴木。
上空を見上げる鈴木。
星のような小さな光点がキラリと輝く。
光点が輝きを増す。
強烈な光の柱となって鈴木の頭上に落下してくる。
鈴木の身体が光に包まれるや否や、爆風、爆音とともに鈴木の身体が吹き飛ぶ。
病院玄関建造物の一部が破壊され、ガラスが粉々に飛び散る。
鈴木のいた場所に半径数メートルの陥没痕。
粉塵が舞う。
病院玄関バルコニー部分も激しく崩壊している。
瓦礫の下敷きになっている遠藤。
湊 「何だ、いまのは? 鈴木は・・・?」
腰を抜かした湊が呟く。
空を見あげていた周囲の隊員たちが、誰とはなしに囁き合う。
“すごい” “あれが軍事衛星か” “初めて見た”
通信員が遠藤と無線交信を試みている。
通信員 「遠藤監査官、応答願います。遠藤監査官! だめです。通じません」
湊 「遠藤さんが中にいるのか?」
通信員 「はい。解除コードを伝えないと、建物ごと吹っ飛びます」
湊 「解除コードは?」
通信員 「無理です。あと1分しかありません」
湊 「解除コードはと訊いている」
通信員 「これです」
数字が羅列された紙片を引っつかむ湊。
湊を引き留める枢木。
枢木 「だめだ。何人も規制区域内に立ち入ることはできない。長官命令だ」
湊 「悪いな。ここは、俺の町だ」
湊の運転する覆面車が病院に向かって突っ走る。
脇にいた隊員からM24狙撃銃を奪いとり、スコープで覆面車を狙う枢木。
そのスコープに映る画像が突然真っ暗になる。
枢木が顔をあげると永井が銃口を塞ぐように立っている。
永井 「(枢木に)行かせてやってください。市民の生命を守ること。それが我々警察官の仕事ですから」
病院の玄関に突っ込む覆面車。
湊 「遠藤さん! 遠藤監査官!」
バルコニーの瓦礫の下で、遠藤がうごめく。
遠藤 「湊さん」
バルコニーに上がる階段は破壊されている。
血まみれの腕をあげて無言で湊に応える遠藤。
瓦礫に阻まれて遠藤に近づけない湊。
湊 「解除コードを読みあげます。いいですか。コードは八桁です。ふた、まる、よん、まる、ふた、きゅう、まる、まる。もう一度繰り返します。ふた、まる・・・」
遠藤が傷ついた指先でテンキーを押す。
タイマーが三秒前で停止する 。
作品名:フリーソウルズ Gゼロ ~さまよう絆~ 作家名:JAY-TA