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端数報告3

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〈マックス〉の手下「言っておくが、誰も〈マックス〉の顔を見ることはできない」
ハント「会いに来たんだぞ」
手下「そのマスクを被ったまま、〈マックス〉の顔を見ずに話をするんだ」
ハント「こんなの被ってたら話なんかできない」
手下「〈マックス〉が機嫌を損ねると、お前はそのマスクの代わりに白い布を顔にかけられることになるんだぞ」
ハント「その覚悟は出来てる」
(マックス、手真似で「外してやれ」という合図)
手下「いいだろう」
 
アフェリエイト:ミッションインポッシブル
 
となる。吹替のセリフでは。なぜ〈かい人21面相〉はこの映画とは逆に、自分達が覆面をして、縛る相手の眼を塞ぐことをしないのか。
 
映画と一緒にするなって? いや、プロならばこのやり方をしそうだろう。だが彼らのは、プロはプロでも、
 
アフェリエイト:大誘拐
 
この小説の誘拐団のやり方に近い。人質を最初だけ目隠しするが、監禁した後は自分達の方が覆面をし続けるのだ。攫った相手を大事にする者達だから。これがカネを手に入れられなければ、人質に5日目がないやつらのやることなのか。
 
やはり2日だけ監禁し、逃げられるようにしたうえで消える計画でいたと見るのが自然なのではないだろうか。
 
 
 
――と、言ったところでウィキによると、NHKスペシャルでは描かれないが3月18〜21日の〈社長誘拐〉と4月8日の〈最初の挑戦状〉の間にもうひとつシークエンスがあるという。引用すると、
 
   *
 
1984年4月2日、江崎宅に差出人不明の脅迫状が届く。内容は4月8日に指定場所へ現金6000万円を持ってくるよう要求。脅迫状には塩酸入りの目薬の容器が同封されていた。4月8日に現金受け渡し指定場所に警察が張りこむも、犯人は現れなかった。
 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%82%B3%E3%83%BB%E6%A3%AE%E6%B0%B8%E4%BA%8B%E4%BB%B6
 
こうだが、よくわからん。要求額が6000万円というのがセコいし、〈塩酸入りの目薬の容器が同封〉ってのもなんだかねえ。4月2日に届いた手紙に「8日に指定の場所へ」なんて、なんでそんな何日も後を。
 
その日が日曜だからかしらん。けどこいつはトーシロ臭いだけだよなあ。それに何より、NHKの再現ドラマでこの通り、
 
画像:消印
 
〈毎日〉と〈サンケイ〉への手紙を4月7日の消印で送ってるのがわかり、ウィキによれば差出人は〈不明〉ではなく〈江崎勝久〉の名を使っていたらしいのだが、これと同時にそんなことをやってるなんて。
 
ウィキのただこれだけの記述で言うのもちょっとなんだけど、これは便乗犯じゃねえのか。天藤真の『大誘拐』にも金持ちの誘拐事件に便乗するのがすぐ出てくるのが描かれるが、おれにはこれはそれとそっくりのように思える。指定の場所に行ってみたけど警察が張り込んでたのが見え見えだったから素通りしたというところでは……。
 
 
 
――と、こんなこと書いてると、自分の考えに合わないものはなんでもかんでもミスグリ加藤の記事を読んで刺戟を受けた人間がやったことにしようとしてると思われそうだが、アハハハハ。そう思ってくれてもいいです。
 
でもって、ついでだからもうひとつ書いてしまおう。と言うか、例によってここまでが長い前置きで、ここから先がやっと今回の本題だ。おれもこないだウィキで読んで初めて知ったが、事件に関連する謎として〈53年テープ〉というのがあるのだそうな。
 
引用しよう。
 
   *
 
53年テープ
 
事件発生の6年前の1978年(昭和53年)8月17日、グリコに金を要求するテープがグリコ常務に送られた事件である。1時間弱のテープの内容は部落解放同盟幹部を名乗る初老の男性の声で、送り主の男は過激派の学生が江崎の誘拐、グリコへの放火、青酸入り菓子のばらまきなどの犯行と引き換えに、グリコに対して3億円を要求する計画を立てているとし、これらの犯行を抑えられないまでも3億円の要求額を1億7500万円に減額できるとして金を要求し、応じるなら指定した手法の新聞広告を出すこととなっていた(グリコは応じなかった)。江崎の誘拐、グリコへの放火、青酸入り菓子のばらまき、連絡に新聞広告を使うなど、後のグリコへの犯行を予告するような内容であった。
 
このテープが届く2年前から、江崎グリコ常務宅に黄巾族と名乗る人物が手紙や電話で脅迫を続けていたという。
 
グリコ・森永事件の捜査本部はこの送り主の男をグリコ・森永事件の犯人グループの一味と断定して、犯人グループの一員と目された人物の声紋鑑定の材料にした。同時にこのテープの存在が犯人グループの過激派説の一因ともなった。
 
1993年(平成5年)末に兵庫県警が53年テープを1分ほどに編集して公開した。
 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%82%B3%E3%83%BB%E6%A3%AE%E6%B0%B8%E4%BA%8B%E4%BB%B6
 
ってんだけど、うーん、これもなんだかなあ。やっぱりよくわからん話だ。
 
《江崎の誘拐、グリコへの放火、青酸入り菓子のばらまき、連絡に新聞広告を使うなど、後のグリコへの犯行を予告するような内容であった。》 
なんてとこだけ見ると、「なるほど同一のグループなのか?」という気もするがしかしなあ。そんなもんで3億だとか1億7500万円だとか本気で取れると思ってたのか? 青酸菓子のばらまきと言うが、1978年と言えばその前年1月に青酸コーラ事件とか、2月に青酸チョコレート事件なんてのがあった直後と言える時期だろう。そのチョコ事件で毒が入れられたのはグリコのアーモンドチョコだったらしい。
 
画像:青酸チョコレート事件
画像:報道写真1978表紙
 
つまり誰でも言いそうなことだ。〈社長誘拐〉や〈放火〉にしてもこの手の脅迫の決まり文句のように思えんこともないし、〈連絡に新聞広告〉もまた然り。大阪の四方と同じで、兵庫県警本部長のヨシノが断定しちゃったから断定されてるだけだったりしねえの?
 
画像:四方修(そんなの全然ダメだ)
 
ねえ。1時間弱の長さがあるものを、事件終息から8年も経った後で1分ほどに編集して公開っていうのがやっぱり。キャリア官僚がキャンキャン言うから部落解放団体とかをしつこく何年もつついた結果、
 
「なんだお前ら、本部長が替わるたんびに『部落のもんがやったのに違いない』と言い出すから何年かおきにやって来んのか。ええ、おい、ああ?」
 
ということになってしまって言い訳のためにそんなもの作って出さなきゃならなくなった、なんて話じゃねえんだろうな?
 
画像:四方修(そんなの全然ダメだ)
 
作品名:端数報告3 作家名:島田信之