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端数報告3

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21時20分、本社から約3km離れたグリコ栄養食品でも車庫に止めてあったライトバンが放火される。こちらはすぐに消し止められた。犯人はガソリンの入った容器に布を詰めたものに火をつけていた。
 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%82%B3%E3%83%BB%E6%A3%AE%E6%B0%B8%E4%BA%8B%E4%BB%B6
 
こう書かれる。30分後に3キロ離れた子会社でライトバンに火をつけられてこちらはすぐに消し止められた、か。ちょっと妙だよな。ふたつの結果に差があり過ぎる。やっぱり本社の方にしても、ボヤを起こす気でやったのが大火になってしまったのじゃないのか。犯人は既に現場を離れていたため知らずにクルマを燃やしたんじゃないのか。
 
というような疑いも持ってみるべきじゃなかろうか。そして時間だ。9時20分。ウィキにそう書かれるだけで正確にどうかわからないけど、本社放火の30分後。NHKの『未解決事件』ではナレーションは「直後」と言ったが30分後。直後と言えば直後だが、二点間の移動になんらかのアシが使われているのは確か。
 
だけどそれって、
 
 
   自転車じゃないのか?
 
 
そう思う。言うまでもなく自転車は、バカにしたもんではなくて3キロ程度を移動するのに勝手のいい乗り物だ。使い方次第でプロの道具にもなる。けれども、やっぱり何もかもがおれには素人臭く思える。
 
それにこいつは、やはり単独の犯行だ。『初等ヤクザの犯罪学教室』に、
 
  *
 
 少々古い話になりますが、かの「かい人21面相」などはこうした警察のウィークポイントをよく心得ていて、重要な行動に出るときは必ず大阪府警と兵庫県警の所管を股にかけています。兵庫でさらった人質は大阪で解放する、という具合です。
 これをやられるとわが国の警察は必ず指揮権が混乱し、捜査行動が遅滞します。
 
画像:初等ヤクザの犯罪学教室表紙
 
こうも書いてあるのは前に見せましたね。〈かい人21面相〉ならばもし放火をやるにしても、二手に分かれて一方が大阪のグリコ本社に、もう一方が兵庫にある支社や子会社に火を放つとかするんじゃないか。彼らなら。プロだし複数なんだから。
 
ウィキにはその年の10月に、森永の菓子に毒を入れた件が、
 
   *
 
1984年10月7日から10月13日にかけて、大阪府、兵庫県、京都府、愛知県のスーパーやコンビニから不審な森永製品が相次いで発見された。江崎勝久が当時居住していた自宅のすぐそばにあるコンビニもターゲットにされた。
 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%82%B3%E3%83%BB%E6%A3%AE%E6%B0%B8%E4%BA%8B%E4%BB%B6
 
こう書かれる。大阪・京都・兵庫・愛知の二府二県だぜ。だから放火が大阪だけ、二点間の距離がタッタの3キロというのは〈彼ら〉らしくない。おれはそう思うのだけどどうでしょう。
 
だから、〈彼ら〉がやったんじゃないのだ。
 
無関係なアカウマが、新聞記事やニュースを見て刺戟を受けてやったことなのだ。
 
それも、ひょっとしてミスグリ加藤がボックス閉鎖の憂き目を見ての逆恨み、毎日とサンケイにだけ手紙を送り自分には寄越さなかった怨恨をぶつけた記事を読んでメラメラと気持ちを燃やし、やったことだったりしないか。実は、
 
画像:加藤譲
 
こいつの記事のせいで起きた放火だったのでは――と、おれはそのように考えるのだけどどないでしょうか。いや、こいつはあくまでも、おれの邪推というものですが。
 
   *
 
電話の相手「なんでウチには来(け)−へんねん!」
加藤譲「そんな知りませんわ!」
 
画像:NHKスペシャル『グリコ・森永』番組タイトル
 
と。
 
アフェリエイト:中島らもの特選明るい悩み相談室
 
『明るい悩み相談室』のショッカーの話はこれで読めるかも。読めないかも。と、さて市橋達也の諸君。前回おれが書いたことはよく考えてみたかね。盗用が不可能なのがわかったならばその地獄を抜け出す道をひとつだけ与えてやろう。
 
自分のブログなりなんなりで、今まで島田が書いたものを盗んでいたと告白しろ。それをするなら、おれは許して君を責めないと約束する。
 
『ヤマト航海日誌』を読んでいるならば、〈アサヒカメラ〉の記事をおれが引用したのもちゃんと見ているだろう。そこからちょいと一部抜いて見せるけれども、
 
   *
 
 相手は匿名。しかも盗用発覚に気づいたのか、ツイッターアカウントを削除してしまった。相手の特定は困難だと思っていた小澤さんだが、フェイスブックの投稿がきっかけで情報が集まり、わずか1日で本人を直接知る人にまでたどり着いたという。そこで小澤さんはその人に、自分の電話番号とともにT氏から連絡がほしい旨を伝えた。
「具体的に相手に何かを求めていたわけではありませんが、これは犯罪行為。どうしてこんなことをやったのか聞きたいと思いました」(同)
 T氏本人からは、その日のうちに電話がかかってきた。今回の騒動について迷惑をかけたと謝罪してきたものの、「アカウントが乗っ取られたため、自分がやったのではない」と、盗用の事実は否定。
 そこで小澤さんは直接会って話をしたいと提案した。あわせて今回の経緯と報告を、署名と連絡先、捺印入りの書面にしてほしいと頼んだ。
「あとで言った言わないになるのは困るので、書面にしてもらうことにしました」(同)
 小澤さんがT氏と対面する日、複数の人のアドバイスに従ってインターネットに詳しい知人に同席を依頼し、ICレコーダーも持参した。
「弁護士など専門家の同席もアドバイスされましたが、予算や時間の都合を考えるとできませんでした。ただ、第三者の同席やICレコーダーによる録音は、中立的な立場を保つ上で意味があるものだと感じました」
 
(アサヒカメラ2017年2月号 写真無断使用者への損害賠償&削除要請マニュアル)
 
こんなことが書いてあった。しかし、そのときにも書いたが、おれはこういうのは好まん。君の名前や住所を突き止めネットに晒すなんてことはしたくない。小澤というのと違って人にもそんなのやめてくれと言いたいのだ。
 
おれはおれの小説が売れてくれればいいんだからね。逃げられると思うなら全部消して逃げてもよかろう。何百人もが盗んでいるのでひとりひとりをいちいち全部突き止めようなんてことにもならんだろうから、大丈夫かもしれないけれど、どっちにしても成功はない。
 
さすがに思い知ったんじゃないのか、おい。君の読者の誰も盗みに気づいてないと思ってんのか。なわけねえだろう。気づかれてるよ、全員にね。けれどもその全員が、自分が盗めるもんと思って黙ってるだけだ。今では百万もがな。自分が他人の作品を盗んだことを忘れている〈京アニ放火〉の犯人と同じに。
 
作品名:端数報告3 作家名:島田信之