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端数報告2

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書いたけれども、おれ自身がどこに書いたか忘れたけれど憶えてますか。別に殺したわけではない。散歩させていたら野良犬が寄ってきたので綱を外して遊ばせてやったのだ。そしたらその野良犬達がジステンパーを持ってたらしい。ウチの犬は元気がなくなり、数日後に死んでしまった。
 
おれが殺したわけではない。だが、おれが殺したのだ。わかっている。まだ何年も生きられたのにおれが殺した。おれがあいつの命を奪ってしまったのだ。
 
そのことで誰も「お前が殺した」なんておれを責めたのはいないのだけどおれ自身がおれが犯人だということをよくわかってしまっている。おれは悪くないのだと自分に言い聞かせることもできなくないけどおれが悪い。だから言い聞かすことができない。谷口ジローの『犬を飼う』を文庫で持ってると前に書いたが、そのカバー裏に、
 
画像:犬を飼うカバー裏
アフェリエイト:犬を飼う
 
こう書いてある。たかが犬。たかが犬だ。けれどもおれは、未だに脳内ハードディスクを探っていてあいつに会うと、許してくれ、おれがお前をと泣いて言わずにいられない。しかしあいつは何もわかっていないから、おれに向かって尻尾振ってる。おれは生きている限り、この呪いを払うことはできないだろう。
 
たかが犬だ。
 
しかしコロナでお年寄りが死んだなら、それはアナタが殺したのだと魔女狩りをするやつらは言う。違う。おれの場合には、たとえ過ちであろうとも犬を死なせたのがおれであるのがはっきりしている。だから罪を背負うしかない。
 
しかしコロナは違うのだ。それを説明しよう。ひとりの老人がコロナで死んだものとして、周りに100人の人間がいる。感染者の割合が10パーセントだとすれば、老人にうつしたのは100人のうちの10人のひとりだ。
 
画像:10×10の白丸の中に10の黒丸
 
図にすればこう。10の黒丸の中にひとり、その老人を死なせた者がいることになる。
 
全員を検査すればそれがわかるが、しかしやってどうなると言うのだ。10の黒丸のうちの誰がうつしたのかはわからないじゃないか。ところがそのうち、上から三番目の列だけを抜き出して、その10人だけを検査するとしてみよう。すると結果は、
 
画像:三番目の列
 
こうなる。左から4番目のやつが「こいつだ」ということになってしまうが、違う。検査で確認してないだけで黒丸は他に9人いるはずであり、その9のうちのひとりである確率の方が9倍も高いのに、これだけ確認したがために3列目の4番目が殺したことになってしまう。
 
それはスケープゴートなのがわかりますか。政府とマスコミが大々的に、日本全国でやってることはこれなのである。魔女狩りなのだ。芸能人やスポーツ選手を特に検査するのも、スケープゴートに仕立て上げるのにうってつけの者達だから。
 
であるがゆえに割合を言わない。野党議員も首相に訊かない。言うと魔女狩りができなくなるから。自分達が古代進になれなくなるから。
 
というのがおわかりになりますか皆さん。感染者差別は魔女狩りだ。そしてあなたもいつ魔女にされないとも限らない、というのがおわかりになりますか皆さん。検査なんかしなければこの通り、
 
画像:10×10の丸のすべてが薄いグレー
 
100人の全員がグレー。それも薄いライトグレーでいられて誰も老人が誰から感染したかなんてことは気にしない。肺炎ですか。怖いですねえ。風邪はほんとは怖い病気だとよく言いますがほんとですね。けれどもあまり苦しまずに畳の上で死ねたということですから、それがせめてもの救いでしょうね。
 
なんて言って済んでしまう。
 
それでいいではないか。
 
何が悪いのだ。本来、肺炎なんてものは、それで済んできたはずである。死に方としてはそんなに悪いものじゃないのだ。誰が感染させたか検査で明らかに、なんていうのをやってどうする。できるものか。犯人の特定はおれが犬を死なせたあれと違ってまず不可能である。やったところでスケープゴートにする人間を出すだけだ。
 
そしてそんなことをすれば、人間関係が壊れてしまい、社会が立ち行かなくなる。今の状況がそれだ。こともあろうに首相や都知事がそれをやるから、国がこうなってしまっている。
 
というのがおわかりになるでしょうかねえ皆さん。おれにははっきりわかっているが、コロナなんてどこからどう見てもただの風邪だよ。毒性は普通の風邪とまったく変わるところがない。なのにバカが冬だというのに窓開けるから今は死ぬんだ。
 
画像:寒さがきびしくてもよく換気を
 
世界で百万死んだというのも、前から言っている通り貧しい人が貧しさのため死んでいる。人種差別や階層差別が生む貧困が、風邪で死ぬ人間を年に百万生み出している。このコロナの前の年もその前の年もそのまた前も、ずっとずっとそうだったのをWHOが知らぬわけない。
 
なのにこうなっているのはやつらも魔女狩りがしたいからだ。やつらも決して割合を言わずに、「新たに○人を確認、累計○人」と言ってるわけだろ。
 
それは魔女狩りの数字。というわけで集団の中からひとりをスケープゴートに仕立てるような小説でおもしろいのが何かないかとお探しの方がありましたら、おれが書いて小説投稿サイトに出してる次のものなどいかがでしょうか。それではまた。
 
セントエルモの灯
https://2.novelist.jp/68292.html
作品名:端数報告2 作家名:島田信之