小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

端数報告2

INDEX|60ページ/67ページ|

次のページ前のページ
 

それは個人の感想ですというお話


 
みなさまぁーっ! スノービームゴードム! と、これがロシア語の〈あけましておめでとう〉らしいのですが、今年初めのこのブログも上坂すみれさんの話からです。去年最後の『ればかろ』で、
 
「どのサイト見ても、酒は適量ならオッケーって書いてあって適量のこと何もね、誰も適量とはどのくらいかって書いてないから、おいしい量が適量なんですよ」
 
と言っておられましたが、おっしゃる通りでございます。おっしゃる通りでございますが、よい子は本気にしないでください。未成年者はそもそも酒を飲まないでください。
 
   ※未成年者の飲酒は法律で禁じられています
 
酒の味なんて、どうせ大人にならないとちゃんとわかるようになりません。ガキはミルクでも飲んでろ。というわけで前回は、テレビの通販番組の、
 
   ※個人の感想です
 
の話をちょっとしたけどその続きだ。今は自分が日本を救う古代進のつもりのやつらが、
 
   ※換気をよくしましょう
 
と言う。実を言うとおれはまさかと思ってたんだが、とうとう今年になってから、
 
   ※寒さが厳しくてもよく換気しましょう
 
と言い出した。まさか、まさか、まさかだよな。何を言ってるかわかってるのか。わかったうえで言ってるのか。もはや後者としか思えぬが、『よく』と言うけど『よく』のこと何もね、誰も『よく』とはどのくらいかって言ってないから、窓を全部開け、家の中でもマスクを着けて、風呂に入らず肘までだけをゴシゴシ洗い、ストローでマスクしたままチュウチュウと吸えるものしか食ってこなかったようなやつらが熱を出して病院に行き、
 
「先生、なぜ! なぜワタシがコロナに罹ってしまうんですか! ワタシはこれこれこういう生活をしてきたと言うのに!」
 
「いえ、そういう極端な生活するから罹るんですよ。症状は軽微ですからどうぞお大事になさってください」
 
「ワタシを見捨てるんですか! それでも医者か! あんたそれでも医者なのか!」
 
「だからそれだけ元気なら何も心配要りませんって」
 
と言われて家に帰り、庭にタライを置いて冷たい水を張る。肘まででは足りなかったと言うならもはやこれしかないのだ。尻の割れ目やへその中までゴシゴシとタワシでこすり洗いする。オレが生きるにはこれしかない。
 
オレは死なんぞ。絶対に死なん。120まで生きてやるのだ。それまでは死んでも死なん。
 
というくらいに元気な人はものには限度があるのを知らない。その体にマスクひとつを着けただけで家に入り、〈強〉にした扇風機の前に立つ。風よ、ウイルスを吹き飛ばせ! オレの体とこの家から、一匹残らずコロナを外に追い払うのだ!
 
   ※これをやると肺炎になります
 
というテロップを出す人間がいないので、これをやって肺炎で死ぬ人間が何百人。という話をここ何回かしてきたけれども、まさかだよなあ。やっぱり、前に書いた通り、12月も半ばを過ぎるといちんち窓を開けっぱなしで肺炎で死ぬ人間がいなくなった。それでは困る、というわけで、
 
「寒さが厳しくてもよく換気を! 寒さが厳しくてもよく換気を!」
 
と叫び出しちゃったわけだ。古代進どもが。その一方で感染者は増えている、毎日毎日最大を更新し続けてるとニュースは言うが、どのニュース見ても割合のこと何もね、誰も割合でどのくらいって言ってないから、何パーセントが感染していて推定何人となっているのかてんでわからないのですよ。検査によって〈感染者〉とされた者だけが感染者。ニュースが「累計十万人になりました」と言えばその十万人だけがコロナの感染者ということになる。
 
「まったく大衆は愚かですね。実際には国全体で何千万も感染してるのがわからないとは。誰も割合でどうなのかと聞かずにマスクして歩いている」
 
「そうだ。感染の割合は、4月に12パーになってその後は変わってない。〈米字路(べいじろ)〉とでも呼ぶべき道があるとしよう。〈十字路〉や〈丁字路〉でなく米字路だ。8つの方向に人が流れて、その数量が全部同じものとする。一時間に計千人なら、ひとつの方から来て逆側に抜けていく人間の数は125人だ」
 
「12.5パーセント」
 
「そしてひとつの道の先に、消防署があるとする。交差点に一時間いて千人を数えたら、125人が〈消防署の方から来る人〉だ。一分間にふたりだな。同じことを明日61分やれば、消防署の方から来る人の数は127。62分で129人。131、133……」
 
「二時間で250人。そのようにして我々は、増えていない感染者を増えてるように見せかけてきました」
 
「チョロイもんだ。愚民どもが、こんな手に疑いもせずにかかりおって。『新たに○人の感染を確認』なんていうのはこれをやってるとわかりそうなもんだろうに」
 
「これをやっているからこんな言い方になる。これをやっているのでなければ絶対にしない言い方なのですからね。ただひとつ、気になることがあるのですが。ここのところ我々は、日に三千を検査して360人前後を毎日〈新たに確認〉してきました。ところがおととい350、昨日に340、今日に330人と、検査で陽性と出る人数が減ってきているようなのです」
 
「それがなんだね。日に十人くらいの誤差が出るのは当然じゃないか」
 
「ええ。二日続けてくらいならボクも心配しないのですが、三日続けて十人ずつの減少というのは統計学的に有り得ませんよ。これでは今日の感染者の割合は11パーになってしまいます。もしこのまま、明日に320人、あさって310人と減り続けるようであると……」
 
したらその場合、感染者が日に日に減ってるということだ。コロナが自然消滅を始めたということであり、12月の初め頃からそうなってんじゃないのかしらん。おれが予想した通りにさ――と、しかしコロナと戦う〈愛の戦士たち〉にとって、それは困る。困るのだ。自分達が〈愛の戦士たち〉になれないということだから。
 
彼らとしてはバタバタと百万人ほど死んでもらい、実はコロナは初めから日本を狙っていたということにしたい。そこで絶対安全で完璧なワクチン、〈コスモクリーナーD〉の開発に成功、みんなに射ってコロナを撃退できました、もう少しで人類滅亡、地球自体も粉々に吹き飛んでしまうところでしたヨ、と言ってけれども池上彰ひとりだけ、
 
「我らはコロナと愛し合うべきだった」 
 
アフェリエイト:池上彰『コロナウイルスの終息は撲滅でなく共存』
 
と言って泣く。神よウイルスのために泣け! というシナリオが出来ててその通りになってもらわねばならぬのだ。だって来年には消費税を99パーセントにすると決めてあるんだもの。
 
だったらただの食塩水でも、ワクチンと言って国民全員に射てばよさそうなもんであるが、さすがにそれはできんのだろうか。イザとなったらやるんじゃねえかとおれは疑ってるところなんだが。
 
と、こんな話をおれは以前に、『コロナについて付け足すことも繰り返すことももうないだろう』と書いときながらここ何回か、付け足し繰り返しているわけだけど、実はまだまだ付け加えなきゃならないことがあるのに気づいたわけなんである。それが今回の、
 
作品名:端数報告2 作家名:島田信之