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端数報告2

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それがエリートどもの本音だ。それにはどうすればいいか。
 
感染者数だ。コロナは一日の感染者数で、〈波〉を起こすときを決めるのだ――と、古代進になりたい者達は考えた。今日はコロナの感染者が50人。これはいつ第2波が起きても不思議のない数字です。今日はコロナの感染者が60人。これはいつ第2波が起きても不思議のない数字です。
 
と4月頃に言ったが、起きない。変だな。二桁じゃダメか。それでは検査する数を増やそう。日に千人検査してたのを二千人に増やすのだ。それで一日の感染者数が倍になってくれるじゃないか。
 
というのでやった。今日はコロナの感染者が100人。最大数を更新しました。もういよいよいつ第2波が起きても不思議ありません。今日はコロナの感染者が110人。最大数を更新しました。もういよいよいつ第2波が起きても不思議ありません。
 
しかし起きない。変だなあ。感染者数が〈彼ら〉の目標数値になれば〈波〉が起きて、百万が死んでくれるという考えに間違いあるわけないんだが。検査する数をもっと増やそう。三千……いや、四千だ。一日に四千人を検査するのだ。
 
というのでやった。今日はコロナの感染者が200人。最大数を大きく更新いたしました。今度こそ第2波が起きるに違いありません。今日はコロナの感染者が210人。最大数をさらに更新いたしました。今度こそ第2波が起きるに違いありません。
 
しかし……と、切りがないけれど、これが今年にエリートどもが考えやってきたことじゃないのか。どうしてこれをやるかと言えば、大衆の方はただひたすら厭戦気分で、危機感を持つようすが全然ないから。
 
「早く終わってほしいよ」と言うだけ。「カンセンのカクダイボーシのカンテン」と口で言うけどただ口だけ。社会人としてカンテンを持ってるように見せなきゃいけないからそう言うだけ。老人が日に何人か死ぬだけだから。
 
マスクを着けてはいるけどしょうがなくマスクを着けているだけ。マスクを着けずに歩いたりしたら〈れいわ新党〉だとかに投票するような頭のイカレたやつらに囲まれ、山本太郎がやって来て家の窓に石を投げられ、
 
「換気を良くしてやったんだ。ありがたく思え!」
 
などとやられないとも限らん。コロナでなくてそっちの方が何億倍も怖いものだからマスクしている。
 
という、それが大多数。大衆が危機感を持ってくれねばこの危機から世の人を救う古代進になれないから、どうしても百万人を殺してもらわなければ困る。
 
それがエリートの事情だ。だからひたすらに、感染者数を増やそうとする。この数字は増やせる。だから、増やすのだ。今日は感染者3456人。今日は感染者3567人……まだか。まだなのか。一体、これを何人にすれば、コロナは〈波〉を起こすのだろうか?
 
なぜだ。どうして起きないのだ。コロナは感染者数で〈波〉を起こす時を決めるんじゃないのか。そんなはずはない。絶対にあるはずがない!
 
画像:四方修(そんなばかなことあるわけない)
 
と言うのはおれの方だよ。だからウイルスは意志を持たねえ! 感染者数が何人に達したときに〈波〉が起こる、という考えが最初から完全に間違っている。学校で勉強のできた人間が人間の考え方で考えるな!
 
とね。よって何もかもバカげていると言うしかないのだ。が、さて今日はほんとは昨日の続きをしたかったんだがこれだけで長くなっちゃったな。だからこれで終わりにしましょう。それではまた。
 
作品名:端数報告2 作家名:島田信之