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端数報告2

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今でもこれで読めるというのは前回に書いた通りだが、そのアイデアを何で得たかと言えばあらためて録画した〈NHKスペシャル〉の中の、
 
画像:グリコ工場
 
これなんだけど、おわかりになりますか。
 
大阪にあるグリコのネオン。それを撮ったものなんだけど、これが番組の冒頭部だ。計4時間の番組の中の最初の最初。
 
伊福部昭の『ゴジラ』と言うか、『ノストラダムスの大予言』みたいと言うか、オー人事オー人事なメロディが流れ、ナレーションが、
 
『人は憶えているだろうか。この日本がかつて沈没寸前にまで至ったことを。この地球そのものが、破裂寸前になったことを。だが、そうなのだ。今も我々が生きているのは奇跡に等しい。ほんの数人の悪魔のような者達によって、当時50億の人口すべてが地獄の苦しみの中で死ぬ寸前までいった。それは疑いようのない事実である……』
 
とか言って、それに重ねてこの画がチラリとほんの1秒だけ映る。1秒しか映らない。
 
それがこれだ。おわかりだろうが、当時のビデオテープから取り出したもので、こっからズームインして〈300メートルの男〉をアップに映し出す。
 
それもタッタ1秒だけね。1秒と言えば周防正行の、
 
アフェリエイト:それでもボクはやってない
 
これでも「実験してみるものねえ」と瀬戸朝香が言った痴漢実験の画像をほんの1秒しか映画は見せなかったけど、この4時間スペシャルもまたこれを見せるのはほんの1秒。
 
ほんの一秒間のあいだに。ためになんだか水爆にでも怒った原始の怪獣か、月の無慈悲な大王が、ノストラダムスの大予言でも果たしにやってきたように見える。『ずいぶんな見せ方するな』と5年前、おれは見ながらチラリと思った。
 
チラリとしか見せてくれないもんだからね。番組を流して見てから全削除し、その後でふとこの画を思い出して『待てよ』と思った。
 
待てよ。あの画はカトリックのキリストの磔(はりつけ)像みたいだったな。あの番組は看板をあんな見せ方しかしなかったが、どうして……と思ったそのときに『小説:グリコ・森永』が生まれたというわけなんだが、それについてはもう一度下に貼りますリンクをどうぞ。それではまた。
 
ヤマト航海日誌
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作品名:端数報告2 作家名:島田信之