端数報告2
12月は無慈悲な冬の魔王の到来
えーといつか、おれはここに、池上彰があいつのテレビ番組の中で、
「これから寒くなりますが、雪が降ろうが風が吹こうが窓を開けて生活しましょう。いっそ戸なんか外しましょう。凍死がなんだと言うのですか。強盗に遭って包丁でブスリと刺されて死ぬのがなんだと言うのですか。新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から考えたら、個人が勝手なことをしていいわけないのがわかりますよね。女性の方も絶対に、窓を閉めてはいけませんよ」
なんつってるとどこかから、「そうだそうだ」と周防正行が言ってる声が聞こえてくる。なんて書いたことがありましたが、皆さん、窓開けてますか。おれ? するわけないでしょう。換気は普通にやってますが、別にコロナのためじゃない。普通に生活するうえで普通にやってるだけですわ。人が窓を開けてたら「寒いだろ」と言って閉める。
相手が「いや……」とでも言おうもんなら、「あんたは寒くないかもしれんが、おれは寒いんだよ。寒くてたまんねーんだよ。閉めるぞ!」と怒鳴って閉める。それがおれがやってることです。最近コロナの死者が増えたなんて話を聞くが、おれに言わせりゃたぶん換気のし過ぎだろうね。おれが〈楽天コボ〉に出してる、
あした天気にしておくれ
https://books.rakuten.co.jp/rk/c08804ca92ec34878de526355c67ea8d/?l-id=item-c-seriesitem
これが実は換気のし過ぎが人を殺す話なんだが、〈コボ〉で出す前に今は亡き〈DLマーケット〉で値段を付けて売っていました。誰も買わなかったが……しかし、おれのPCの中にまだあるのでちょっと見せると、
画像:あした天気にしておくれDLマーケット版より換気扇についてのページ
こうだ。行き過ぎた換気のために人が死ぬ。なんだけれどもいちばん上の行に重ねて細くうっすらと見えるものがわかりますか。それは、
画像:あした天気にしておくれDLマーケット版より購入データ部分拡大
こう書いてある。〈DL〉の著作権保護を掛けて売ってた証拠ね。2018年6月17日――この日より前におれがこいつを書いていたという証拠でもある。
さて、何が言いたいかと言えば換気も結構だけど程度をわきまえましょうということである。今はコロナの恐怖から、『宇宙戦艦ヤマト』の古代進――それも木村拓哉が演じた実写映画版古代のように、
*
「ひとりも死なさない!」
アフェリエイト:SPACE BATTLESHIP ヤマト
なんて感じの政治家なんかが「換気! 手洗い!」と叫ぶの信じて一日中窓を大きく開けてたり、日に何度もジャブジャブと肘まで長い時間をかけて洗ってる人が何百万人もいるんだろうけど、まさに年寄りの冷や水。それ以外のなんでもないやろ。自分からコロナで死のうとするのと同じだ。
だから風邪で良くないのは体を冷やすことだろうが。感染してもあったかくしてさえいれば無症状でいられるのに、体を冷やすことをするから発症し、こじらせて肺炎になるんだろうが。なのに誰もがそれを忘れてしまっている。〈古代進〉どもが唱えてることはこれからますます寒くなるのに、
「体を冷やせ! 体を冷やせ! 決してあったかくするな!」
と言ってるのと同じなんだから、そりゃあ、死ぬよ。大勢死ぬよ。『ヤマト』の古代進気取りの、
「ワタシがこの〈禍〉から世の人を救う!」
なんてやつらが老人を殺してんだよ。誰もが「換気、手洗い」と叫ぶが、やり過ぎが何を生むかを考える者はひとりもいない。
それが今この師走の日本ということだろう。でもまあ、それも今月一杯ってとこじゃないかな。前に見せたこの写真の、
画像:文庫本16冊とバッグ
本の中に、『B級ニュース大行進』というのがあるのわかりますか? この本から1ページをスキャンして見せると、
画像:B級ニュース大行進22-23ページ
こうある。詳細はいいでしょう。冬の間を刑務所で過ごそうとして何かやらかすホームレスの話なんだが、このケースでは1月6日にそれをやってコート・イン・ジ・アクト(現行犯逮捕)。このテの事件はほとんどが年末年始に起こるらしい。おれがいくつか読んだ限りではそうだ。
つまり、1月になったらもう本格的に寒くなるから池上彰が何を言おうと窓を開けてられなくなるし、肘までジャブジャブ手洗いなんてできたもんじゃなくなるか、やるにしても湯でやるようになるんじゃないか。それで一日あたりの死者も減るんじゃないかとおれは思うがどうなんだろ。キムタク古代みたいなやつらはヤレ乾布摩擦だの、冷たい水を頭からかぶれだの言い出すんじゃないだろうな。
言い出すかもしれんなあ。と思わんでもないのだが、古代進的人間というのはとにかくタチが悪い。この〈コロナ禍〉と呼ばれるものを〈自分が英雄になれるチャンス〉ととらえ、その手柄への欲望にくらむ頭で霧の中に迷い込む。彼には大きな黒い影が自分に向かってくるのが見えるが、それが〈ブロッケンの怪物〉なのに気づくことはもうできない。コロナは敵だ。最初から、全日本人の抹殺が目的だったに違いない。わかっているぞ。わかっているぞ。油断させようとしても無駄だ! オレにはキサマの策略が、すべてお見通しなのだ! オレがこの国の人々を護る! そして世界を救うのだ。それができるのはオレだけなのだ!
ということに完全に自分の中でしてしまうから、独断専行で何するかわからん。そしてマスコミ人種だの、政治家だのは必ず古代進である。信じてついていっちゃう人はもう救えないけれど、しかし大抵の人間は、この〈禍〉というのが始まったときからずっとただただ厭戦気分で、
「どうでもいいから早く終わってほしいよ」
としか思ってないでしょう。おれもそうだ。最初から、これが〈ブロッケンの怪物〉なのがはっきりわかっているんだからなおのこと。
――なんてことをついこないだ、『コロナについてはもう繰り返すことも付け加えることもないだろう』と書いときながらまた書いちゃいましたが、でもしかし、おれに言わせりゃ今年のコロナと帝銀事件の平沢無実/GHQ実験説は根っこが同じなんだからしょうがないのだ。世のエリート――古代進的人間どもが勝手に日本が侵略者に襲われてると錯覚して、
「ワタシが救う!」
と叫び出す。古代進が〈ヤマト〉の戦闘班長になるには人類を脅かす敵が必要だ。それがかつてはGHQのアンドーナツで、今年はコロナだということだ。〈敵〉がいないと古代進は地球を救う英雄になれない。だからガミラスがやって来て、人をバタバタ殺してくれないと困る。
松本清張はアンドーナツの陰謀を暴くことで古代進になろうとした。アンドーナツが起こそうとしている第三次世界大戦から日本と世界を救うのだ。それが己の使命だと本気で考えちゃってた。バカだ。やっていたのは自分の影とのシャドーボクシングに過ぎず、今年のコロナで政治家やマスコミ人種がやっているのもまた同じである。滑稽なひとり芝居に過ぎない――と、言ったところでさてなんだっけ。前回は〈酒鬼薔薇〉と〈グリコ・森永〉の話をしたね。