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端数報告2

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「そうでしょ? 去年の1500が、なんでこの世の終わりみたいに大騒ぎする数なんですか」
 
「いや、だって……」
 
ということになって、ようやく世間が池上彰に騙されていたことに気づく。
「ボクはコロナで死なないし、ボクの言うことをちゃんと正しく守る人は決してひとりも死にませんよ」
とニコニコ笑って言ってた池上彰が実はいちばんコロナを甘く見ていたことに世間の人々が皆気づく。この〈コロナ禍〉と呼ばれるものはそういう形で終わったらおもしろいからそうならないかなと、おれは今から思っていたりするのである。
 
ま、どうなるかわからないけどOBEY. OBEY. 『ゼイリブ』も誰も憶えてないけど、『ドラえもん』のたぶんあまり知られていない道具に、
 
画像:大人をしかる腕章
アフェリエイト:ドラえもんエスプリ編
 
というのがある。知らないでしょう。でもひとめ見てわかると思うが、これを着けると子供が大人に注意できる。言うことに従わすことができるのだ。今の日本で「新型コロナウイルス感染拡大防止の観点」を振りかざす者に誰も逆らえないように、「OBEY」と言うのび太に大人が逆らえなくなる。
 
という、しかしいつもの『ドラえもん』だが、〈GHQ〉の腕章を着けた人間に戦後の日本人は逆らえなかった。
 
平沢はそこを突いた。というわけで、これもやっぱり帝銀事件の話だったわけであるが、誰も『ゼイリブ』を憶えていない。おれもよく憶えていない。
 
皆さんの中にあなたの家のお父さんが今年の1月26日、何時に家に帰ってきたか、ちゃんと憶えてハッキリ何時と答えられる方はありますか。
 
千人に聞いてひとりいればたいしたもんでしょう。だがドーマコは前回も見せたがそれを、
 
画像:帝銀事件と平沢貞通氏77-78ページ
画像:帝銀事件と平沢貞通氏表紙
 
こう書く。平沢の事件当時の帰宅時刻が5時だと家族が、
 
証人となり「そのとおりです」と証言した。
ところが、
 
と。平沢がその日タドンを持って帰ってきたのはいいとして、なんでその時刻が5時と皆がハッキリ言えるのか。
 
その日に平沢が、
「帰ったぞおっ! 時計を見ろ。5時だ! 5時だな。5時ちょうどだ! みんな、紙に書いとくから、よく憶えておくようにな。『父は今日、午後5時ちょうどに帰りました』、と。柱に貼っておくからはがすんじゃないぞ。他の日はどうでもいいけど今日だけはダメだ」
とでも言ったというのか。
 
そんな話を前回にした。そしてオーケンがこれを読んで、
 
「確かなアリバイじゃないですか! こんな明かな冤罪の証拠を、検事側は認めないわけですか!」
 
と言っちゃってるんだろうかという話をしました。
 
でもそんな時刻など、普通に考えたら憶えてる者がいるわけないのだ。いちいち父の帰宅時刻を時計を見て確認し、帳面につけてる人間は普通いない。もしいたとしたら普通じゃない。佐伯省の『疑惑α』でも、セーチョーの『小説』でもこれは〈肉親の証言だから〉という理由で認められなかったとなっているが、それ以前にそんなもの、〈憶えているはずがない〉という理由で裁判官は認めなかったんじゃないのか。信じてもいいのはせいぜい次女が、「父がタドンを取りに来たとき、まだ明るかった」と言っているくらいだが、しかしそれもアリバイにならない。
 
ドーマコがここに書いていることはまったくのイカサマだ。頭がマトモでさえいればひとめでわかりそうなのに、オーケンは読んで、
 
   *
 
(略)じゃ、たとえば平沢さんに関してそれだけ冤罪だという証拠がありながら、検事側は認めないわけでしょ。
 
アフェリエイト:のほほん人間革命
 
と言ってしまう。ドーマコにもう完全に操られてしまっている。
 
としか言えまい。セーチョーなんか、前回も書いた通り平沢の次女が山口の妻で、タドンを取りに行った相手。帰ったところでエリーとトランプしていたのは三女のヨーコということさえ忘れて『黒い霧』を書いてる。
 
それがハッキリ活字になって何万部も刷られているのに、読んで気づいて指摘したのがひょっとして十万人目のおれひとりだけなのか。おれ以前にはただのひとりもいないのか。
 
エリーが平沢の帰宅時刻を憶えていると信じる根拠がどこにあるのか。バカバカしい。〈タドンのアリバイ〉なんてもの、まるでアリバイになってないという話を前回にしたわけだけど、それにしてもコロナの禍は早く終わってほしいですね。おれはそのとき感染者差別を受けた人なんかが、池上彰を血祭りに上げてやっぱり宇宙人だったのを暴いてくれたりしないもんかと今から思っているんですが、最後にひとこと、
 
画像:BUY
 
銀行強盗のしかた教えます
https://books.rakuten.co.jp/rk/94423311ab9c31ce9d6fe924d0dd760c/?l-id=search-c-item-img-03

作品名:端数報告2 作家名:島田信之