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百代目閻魔は女装する美少女?【第十章】

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 生徒会メンバーが声を失い、生徒会室は深夜の静寂に包まれた。四人とも俯いて何も放そうとしない。人間界でのお通夜と言えば、静かそうに思われるが、実際は久しぶりに集まった親族たちが故人を偲びつつも、酒を飲みながらわいわいがやがや過ごすことが通例である。いわば親族の同窓会でもある。しかし、この四人は本当に一言も喋らず、これぞ真のお通夜状態である。
「う、う、う。うああああ~。」
 背伸びをするオレ。
「あれっ?みんなどうしたんだ。」
「・・・都!」
((都はん!))
「・・・生きてたんだ都!」
「良かった、都たん!」
 四人が一斉にオレに抱きついてきた。
「ど、どうしたんですか?」
「さあな、この神にもよくわからん。とにかく復活して良かった。」
((はらはらはら。都はん。))
「グスン、グスン。都。あら、目から汗ができたわ。この部屋暑いのよ。」
「ぶわわわ。都たん。生きかえったんだね。」
 四人に抱きつかれて重たい都であった。とりあえず四人を引き剥がしつつ、李茶土に質問した。
「みんなの反応からするとオレは死んでたのか?」
「その通りにございます。死んだと言うか、無意識時間と完全停止時間とに分けられますけどね。」
 にこやかに回答する執事。
「事情がさっぱりわからない。キチンと説明してくれ。」
 李茶土が執事らしく、順序立て、かつ論理的にこれまでの経緯を話して聞かせた。
「なるほど、そんなことがあったんだ。だが、肝心の点がわかりかねる。」
「それは、どうして都さんが助かったのか、ということですよね?」
「そうだ。それはいったいどんなマジックがあるんだ。」
「別にマジックということではありません。ある意味当然の帰結であると思いますよ。」
「それはどういうことなのだ?」
 美緒がツッコンできた。本来ツッコミはオレの担当だが。美緒のお面には『疑問』の二文字が点滅している。かなり強い疑惑のようだ。
「あ~あ。」
 李茶土は意味不明の言葉を発した。
『ガシャ!』美緒が薙刀を抜いた。
「この神を愚弄するとはいい度胸だな。李茶土よ。」
 お面が瞬時に薙刀に変わっている。美緒はすっかりいつもの様子に戻っている。
「こ、これは生徒会副会長らしからぬ感情的な行動ですね。その物騒なものを下げていただけますか。」
「李茶土。お主がこのようなことをさせたのだ。本当ならこの場で成敗してくれるところだ。」
「そこまで言われるならば申し上げましょう。この根本的な原因は美緒さんのミスによるものだからです。」
「なんと!どういうことだ。」
「嘘つき少女逮捕の時に、少女を霊界への収監に成功しましたが、もうひとつの魂を逃してしまいましたよね。それはあなたの失敗です。」
「うむ。それは否定できない。」
「その逃れた魂、隼人さんって言いましたか。それが都さんに侵入して以後都さんは意識を喪失しました。」
「そうだ。」
「そのまま今日を迎えて、さきほどの溺死事故が惹起されました。」
「たしかに。」
「その後、都さんは無事に復活した。なぜか?」
「「「「なぜか?」」」」
 一斉に質問。
「魂が死んだのは『隼人さん』の方だったからです。」
「「「「なに~!!!!」」」」
「というわけで良かったですね、都さん。」
「はあ。何かよくわからないが。みんなが喜ぶならそれでいいんだが。」
 狐につままれた表情のオレ。回りは大騒ぎになっている。
「何が何だか。とにかく良かったわね。」
 由梨が軽く笑顔を作り、目を伏せたまま、オレの肩を叩いた。『ズルッ』。由梨の身長からはオレの肩は東京スカイツリーのようなものではあるが。
「あれっ?どうしたのかな。このセレブの労いを避けようとするのは千年早いわよ。都、肩を下げなさい。」
 都からは何の反応もない。
「何をやってるのよ。セレブに時間を待たせるなんて、言語道断、今後淘汰よ。」
「おい、由梨よ。いったい何をしているんだ。それに頭のソレはなんだ。」
 美緒が小首をかしげながら、由梨を見ている。
「えっ、どういうこと?今セレブとして都の肩をなでなでしようとしてただけよ。それと頭のソレって?」
 由梨は自分の頭を触る。異物感。カチューシャなのか?毛皮作りで、両サイドに三角の小さな山がある。
「由梨たん、萌え~。」
 万步が由梨を抱えるようにして、顔をスリスリしている。
((ネコミミどすな。))
 絵里華が単刀直入に説明した。
「うむ。都の全身が消滅した。代わりに由梨の頭上に鎮座した。どうやら都はネコミミに変身したらしい。」
 美緒が結論を下した。
「「「「はああああ~???」」」
 またも難題に遭遇してしまった。